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第六章 【二つの世界】

6-401 崇拝の対象

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「それじゃあ、行こうか?」


「うん、元素?資源?……も溜まったみたいだし。アーテリアさん、ステイビルさん。お世話になりました」


「サヤ様、どうかお気をつけてください。ハルナ様”も”」



アーテリアに対して投げかけた言葉に対し、まず返した相手はサヤへの配慮だった。ハルナに対する配慮はオマケ程度にしか感じられず、向こうの世界では味方だったアーテリアからの無関心さに、ハルナは少し寂しく感じてていた。


「あぁ……もしかしたら、またこっちに戻るかもしれないしね、それまでの間頼んだよ?」

「はい、お任せください……無事にお戻りになれるように、大精霊の神々にお祈りいたしております」

「大精霊って……あのラファエルたちか?」

「……サヤちゃん?」



祈る先があの大精霊ということに対し、何の効果も得られない気がしたサヤの顔は少し曇った表情をつくる。そのことに対し、ハルナがサヤに注意をする。この国の大勢多数の人間……亜人を含めた存在が、ラファエルたち大精霊を信じて崇めている。
確かに今は、同等もしくはそれ以上の能力を持ったサヤではあるが、多くの者が信じる存在を軽々しく扱うことは良くないことと、ハルナはサヤに注意をした。



「ん?あぁ、悪かったね。アンタたちにとっては、信仰の対象だもんね。馬鹿にしたわけじゃないんだよ」


『……となれば、サヤ様”ご自身”が崇拝の対象としてその地位にお着きになられてはいかがでしょうか?』


その声と同時に、ハルナとサヤの後方に光の塊が現れた。



「――ラファエルさん!」


『遅くなりました……準備が整いましたので、お迎えに参りました』


「……いやぁ、アンタの仕事とるのも悪いしさ。アタシも面倒なことは嫌なんだよね?だから、その辺はアンタに任せるわ」


『フフフ……ありがとうございます。わたくしの”仕事”を奪われなくてホッといたしましたわ!』


「ふん!小賢しいこと言うようになったね、アンタも」



そう口にするサヤも、不快な表情は見せていない。むしろ、そういう口をきいてくれる方が嬉しそうにしているように見える。
とはいえ、ステイビルが同じことを言った場合には、サヤはきっと不快な顔をみせるのだろう。それは、サヤを超える思考の持ち主か、同等の能力を持った者でなければサヤは認めないはずだろうと、その様子を見ていたアーテリアは判断していた。


実際に、今日のためにサヤはラファエルと何度か打ち合わせをしていた。
それは、ラファエルはどの世界も共通の存在だったため、どのようにして世界を渡っているのかを調べていた。
これまでハルナは、盾の創造者の能力を使い世界をわたっていたが、盾の創造者の力を借りれなくなったためラファエルの方法を参考にしようと打ち合わせを行っていた。
最終的には、ラファエルの力をハルナの精霊使いの能力から同期することができたため、世界を渡ることが可能となった。



『準備ができていらっしゃれば……始めますか?』


「あぁ、頼むよ」

「ラファエルさん、お願いします!いってきます!」


「お気をつけて、ご無事を」


ステイビルの声を聞き、ラファエルは転送を開始する。
しかし、その能力を実行するとその先は真っ暗な闇の中だった。





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