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第六章 【二つの世界】
6-409 準備
しおりを挟むサヤと盾の創造者は、お互いに感謝の言葉を簡単に言い合った。
そして、剣の創造者とサヤはお互いが結んでいた契約を解除した。
そこから剣の創造者は、自分の中の資源を全て圧縮させていく作業に入る。
サヤはその膨大な資源を制御しながら、さらに周囲から取り囲むように同時に圧縮を重ねていく。
そして出来上がったものは、今にも爆発しそうなくらいの静かな力を持った球体が存在していた。
圧縮する前に感じた大きな力は、盾の創造者から与えられた加護が無ければその圧力によって、消滅してしまうほどの勢いがあった。
その暴発しそうなその流れを上手く制御し中止へと圧縮していくサヤの技量に、ハルナは自分にはない能力をサヤに見た。
「――あ」
サヤがこの空間に色付け、今起きている現状を視覚化させたことにより、いままで各自の脳内で想像していた者よりも鮮明に知ることができた。
。
そこに目にしたものは、黒く輝き球体の中で流動する資源の模様が見えた。
「ハルナ……アンタも元素をこれくらいまでに圧縮することができるだろ?そうだね、アンタの持ってる元素の三分の一位でいいから、まずは圧縮させてみてくんない?」
サヤに言われて、ハルナは手のひらの上で元素を指示のあった量を圧縮する。
『――っ!?』
圧縮された元素は、ラファエルにとっては危険を感じるほどの元素の量だった。しかもハルナの元素への扱い方は、力でだけでねじ伏せている方法で、サヤに比べて安定さの面では不安に感じるレベルだった。その反面、この量を抑え込めているハルナの技量には、脅威に似たものを感じていた。
サヤは、そのラファエルの反応に気付いたが、これで問題ないことを告げる。
「……ラファエル。この不安定さが、必要なんだよ。この規則正しく押し込んだ魔素に対し、この不安定さの元素を合わせることが今回の爆発に必要なことなんだ。だから、盾のヤツが言ってたこの方法も、不安定さが無いと爆発を生む反応を示さないんだよね」
その説明に安心するも、圧倒的な二人の資源を扱う能力に、ラファエルは納得するしかなかった。
「ちょっと……なんか褒められた気がしないんだけど?」
「あぁ……褒めては無いけど、アンタはそのままでいいんだよ」
「ふ、ふーん……」
納得していない様子ハルナの様子を他所に、サヤは最終的な作業に入ることをこの場に残された二人に告げる。
「ハルナ……アタシの合図で、その圧縮した元素をこの中に押し込むんだ。一応剣のヤツがコントロールしてるから、弾かれることはないよ。そしたら、この資源は反応を起こし急激に膨張するから」
「……で、私たちはどうなるの?」
「まぁ、アタシに任せなって。まぁ、失敗したらこの爆発に飲まれて消し去るだけなんだけど、運がよかったらアタシがこの世界に飛ばされた時みたいにボロボロになるだけで、命だけは助かるかもね」
『それは……お二人だからでしょうね。きっと私は……』
「わかってるって、ラファエル。要はアタシがタイミングよく、この空間から逃げ出してあげれば問題ないんだからさ」
「サヤちゃんがやるの?大丈夫?やること多すぎない?」
『私は……お任せいたします』
「うーん、まぁサヤちゃんなら……大丈夫だよね?」
「信頼されてないみたいだけど……、やれるヤツがやるしかないんだよ。もし成功したら、アタシがちょっと無防備になるからアンタたち、任せたよ?」
その言葉に二人は頷いて、自分たちがやるべきことを確認した。
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