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第六章 【二つの世界】

6-413 最後の言葉4

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「――は?」


これまで共に過ごしてきた中で、サヤのことを心配することなどなかった。今までのパートナーに似合わない言葉を掛けられ、サヤは本気で困惑していた。
そんなサヤの様子を見て笑っているような表情で、剣の創造者はその理由を買った。


『……これまで、お主の中に同期させてもらい、お主には負担をかけたことだろう。お主はそのことを聞いても決して辛いという言葉は返ってこなかったな?こんな役目をお願いをして、それを何の不満も言わずに……よくここまで付いてきてくれた。それにお主の生……』

「――おい、ちょっと!!」



何かを言いかけたところで、サヤはその言葉を遮った。



『あぁ、そうだったな。これはお主との”約束”だったな。……うむ、そろそろ時間だ。いままですまなかったな……ありがとう、サヤよ』

「……」



その言葉に対し、サヤは何の反応を示さずに剣の創造者に視線を向けずにこの場にいた。
剣の創造者は、やや苦しそうな状況で再びハルナの名を呼んだ。




『ハルナよ……』

「はい?なんでしょう?」

『これからも……サヤのこと……頼んだぞ……』

「はい!サヤちゃんは友達ですし、何があっても私が守って見ませますから」

『……そうか……頼んだぞ……お主と……話ができて……良かったぞ……』



途切れ途切れの言葉から、剣の創造者がギリギリの状態で対応してくれているのだとハルナは感じ、最後にサヤと話がしたいのだと気を使い感謝の気持ちを伝えた。



「……いままで、ありがとうございました!」



ハルナは剣の創造者に対しお辞儀をして感謝の気持ちを伝え、そのままこの空間から元の空間へと移動させられた。
そして、この場にはサヤと剣の創造者の仏辰野存在だけが残った。





『サヤよ……』

「……なに?いまさらなにか言いたいことでもあんの?」

『ふっ……お主のその態度も……今となっては……そうか……そういうことだったのか……』

「なんだよ……アタシのこと……わかったフリしてんじゃ……ないよ」

『そう言うな……短い間だったが……お前の記憶も悪いが視させてもらった……お主は立派な存在だ……どこで得た物かわからないが知識もありそれを生かす行動力と判断力を持っておる……そして、お主が大切にしていた者たちは……お主のことを信頼しておった……この世に残っている者も、”そうでない”者も……お主のためならばと行動していたのだ……そこはお主が気に病むものではない』

「アンタ……もしかして、アイツらのこと」

『あぁ……そうだ。お主には悪いが、かの存在と接触した……そして言っておったのだ……お主を”信じている”とな』

「……そっか……まだ消えてないんだ」

『うむ……その通りだ。だからこそ、最後にお主に、これまで付き合ってくれたことと、我らの後始末をお願いするために、コレを与えたいのだが』



剣の創造者はサヤに手のひらを向けると、そこに小さな木箱が浮かび上がる。
更にサヤに向けて、手一つ分の距離を突き出した。受け取れという意思を強く感じ、サヤはその木箱を警戒することなく掴んだ。



「これ?……ってなに?」

『この世界の”権限”だ……お主ならば全てではないが、使いこなせるであろうよ……有効に使って……く……れ』


その言葉に、サヤは薄れていく剣の創造者の存在を気にしながらゆっくりと頷いた。






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