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第六章 【二つの世界】
6-426 パソコン
しおりを挟む盾の創造者の要望通りに、サヤは自分が行ったことを説明した。
「……そして、最終的にこの座標にアンタの存在を固定させたっていうわけ」
『……え?』
その説明を聞いた盾の創造者は、サヤの説明に対し半分も理解できていなかった。
”固定”など言葉の意味は分かっているため、自分の能力がサヤによって意図的に封じられていたことは理解できた。
だが、それを行った”手段”については、言葉は聞こえてくるがその内容については理解できなかった。その内容はまるで別な世界の話をしているかのような内容で、盾の創造者には理解できる材料がないことを悟った。
その中でハルナは、サヤに自分の疑問点を投げかけてみた。
「ねぇ、サヤちゃん……それって”パソコン”の話し?」
「そうだね。まったく同じとは言えないかもしれないけど、考え方には近いものがあるんじゃないかな?あの世界でも、その考えが似てたところ……いや、元々の人が使っていた考え方をそっちに用いたんだろうからねぇ」
二人のやり取りを見ていた盾の創造者は、目をパチパチさせながら二人の会話が終った後に声をかける。
『”パソコン”?……それは一体?』
「あぁ、アンタは別に気にしなくていいよ。きっとアンタたちは、そんなこと考えずにこの世界を”運営”してたんだろうし……」
『……?』
盾の創造者は、サヤの言葉が理解できないということを隠すことは無くなった。
先ほどのことからも、サヤは自分の知らないことを知っていた……ハルナの身体を借りていた時に見たこの世界での記憶からも、ハルナとサヤの考え方は、自分の知らないことを知っている。
そのことをどうしても引き出したかった盾の創造者は、ほんの僅かの間だがサヤとの距離が近づいていると判断し、自分の知らないことを聞いた。
サヤはその問い掛けに対しても、今までからは考えられない程、盾の創造者に伝わるようにかみ砕いで説明をしていく。実際に実物をしらないことと、ただの道具として使っていたサヤとハルナには、細かなところまでは理解をしていなかった。だが、電気の力とプログラムによって便利になる機械があったことを盾の創造者に説明をした。
『確かに……私の知る”創造の理”と、あなた達が言っていた”プログラム”というのは、類似しているところがありますね?』
「あぁ…アタシも、こことは違う別の世界にいた時にもそう思っていたんだよ。だけど、そこにあった”神”っていう存在は本当にいるかどうかわからなかったしね。人間っていう生き物だって、元々は違う生物が進化して生まれたって言われてたんだ。アンタが創ったみたいに、いきなり人間っていうのはその世界にはいなかったんだよ……多分ね」
その説明は自分も同じ認識であると、ハルナは付け加えた。
二人は同じ内容の教育を受けていたため、その辺りの情報については相違はなかった。
ただ、ハルナはその当時には今のサヤが思っていたほどの考えは持っていなかったが、あの世界の人間がプログラムに近いと言われて、納得するところは多少なりともあった。
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