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第六章 【二つの世界】
6-444 決戦16
しおりを挟む『……ん!?』
青い光が通り過ぎていった後に、そこにいたはずのハルナの姿が消えていた。
青光の線の先を追いかけると、竜の形をしたシルエットのかぎ爪のなかにハルナの四肢がぶら下がっている姿が見えた。
「――モイス!!」
サヤがその名を呼んで、一旦は安堵した次の瞬間……
――ドン!――ドン!――ドン!!
「――!?」
距離を取っていくモイスから、空に響き渡る爆発音がやや閃光のあとに遅れて数回聞こえてきた。
瞬時に何が起こったのかを、サヤは理解した
「モイス!!!」
爆発した光が収まると、モイスの四つの手足のうちの二つが吹き飛んでいるのと、広げていた翼の被膜に穴が開いていることがシルエットからも判る。
確か羽自体が浮力を生み出しているのではないと”向こうの”モイスから聞いていたが、それでもふらふらとよろけて落下しそうになっているのが見える。
「あ!」
その言葉を掛けた時、モイスが落下していくのと同じタイミングで急に現れた人影が落下していくのが見えた。
その様子を見たサヤは、モイスが爆発の瞬間にハルナを隠してくれてその結果、自分がハルナの代わりになったのだと理解した。
だが、あの落下する二人を助ける術が思い浮かばず、サヤはラファエルの方を見て何とかできないかと視線を送った。
その視線に対しラファエルは、言葉を発して返さずに一つだけ頷いて返した。
「あ……あれは?」
ハルナの落下をやさしく背中に乗せたのは緑色の風の大竜神であるウインガルで、墜落していくモイスを支えたのは土の大竜神のクランプだった。
二つの竜の影は、それぞれの大切なものを運んでこの場から離れ二手に分かれてそれぞれの目的地へと向かった。
『ラファエル……これは、あなたの仕業ね?あなたがあの者たちを呼び寄せたのでしょう?……全く、いいわ。これが終った後のこと、よく考えておきますからね』
――パン!
ラファエルに対しての警告の言葉が終ると同時に、サヤから飛ばされた瘴気の塊を片手で防いだ。
「おら、よそ見してんじゃないよ?こんだけ距離が離れれば、そいつらだって時間がかかるだろうし、投げてきたって充分避けられるんだよ。ハルナもいなくなったし、もう気にするものもないしね!」
『あなた一人で……何ができるっていうの?まあいいわ、あなたもまだ何か隠していることがあるなら出してみなさい?私には通用しないってこと教えてあげるわ』
そこからサヤは、人型を狙うのではなく盾の創造者自身に様々な攻撃を仕掛けていく。
少しずつ小さな人型は距離を詰めてくるが、その距離と同じにサヤもその範囲から逃げて位置を変えてく。
そうすることにより、小さな人型には何の被害もなくこの状況を動かすことができた。
だが、そんなやり取りが続けられるが、盾の創造者には大きなダメージを与えることができない状況が続いていく。
盾の創造者からの攻撃は無いが、サヤの攻撃も効いていない。
そんな時間が過ぎていき、日も徐々に傾く時間になっていた。
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