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第六章 【二つの世界】
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しおりを挟む「……え?」
エレーナはラファエルから聞かされた年月に、冗談ではないかという思いが最初に浮かんだ。
その横で見る真剣なサヤの表情……いや、このあとで急に”嘘でした!”という可能性もあるはず。
だが、そのことを伝えたのは、これまでこの世界の最高地位にある大精霊のうちの一人、ラファエルが発言した。
サヤとラファエルが組んで、悪さを仕掛けていることも考えられる……が、その考えはすぐに消えていく。
ハルナの顔には、悲しみの表情が浮かんでいた。
「ハルナ……この話……」
エレーナの心が、ズキズキと痛む。
どうしてだかはわからないが、何か大きな不安がエレーナの心を塗りつぶしていく。
「エレーナ……私、みんなとお別れしなければならないの」
ハルナの目には、涙がギリギリのところで溜まっていて、零れる前にソフィーネがそっとハンカチを当てた。
「ハルナ……どういうことか、教えてもらってもよいか?」
信じがたい年月の時間を耳にし、この場にいる者たちを代表してステイビルがその詳細を聞く。
まずは、どういった理由でそのような年月になるという結論に至ったのかを。
そこには、”ハルナたちが考えた方法以外に何か良い手が見つかることもあるかもしれない”という、期待を込めての発言だった。
が、返ってきた内容はステイビルたちには、どうがんばっても手が出せない内容だった。
ステイビルからの質問には、サヤとラファエルが答えた。
闇の石は、剣の創造者の資源を使って作られているため、この大きさでも恐怖に感じるほどのエネルギーを持ったものであるという。
サヤたちも最初はこの石をハルナの光で打ち抜いて壊そうと考えたが、もしこの資源の量が一気に流出した場合は、この世界が崩壊してしまうほどのエネルギーとなる。
盾の創造者がこの世界を崩壊させるために、相手を消そうとしていたことと同じ行動を取ってしまうことになる。
さらに言えば石だけではなく、その中にはもう一体の創造者が収まっている。その二つの存在を一気に崩壊させてしまうことが、どれだけ恐ろしいことになるかはこの場にいる者たちに説明をする必要もなかった。
「そ……そんな……」
ステイビルは、自分たちが関与できる範囲ではないと悟り、絶望に染まり背中を椅子の背持たれに預けた。
「ステイビル様……」
隣にいたニーナが、ステイビルの肩に手を置き、受けた心の衝撃を和らげようとする。
「ちょっと待って……千年って言っても、人間がそんなに生きられるわけないじゃない!?ハルナだってそこまで生きていられない……よね?」
人間の寿命に気付いたエレーナが、ハルナの発言の不可解な点を指摘する。だが、それも途中で”何かあった”のではないかと気付き、その確信が薄らいでいく。
ラファエルは、エレーナの言葉とその変化に気付きながら、エレーナの言葉に返した。
『……エレーナ。もう、ハルナに課せられた試練は、そういうものではないのです』
「アタシたちは……創造者と連結しちゃったから、寿命もアンタたちとは違うみたいなんだよ」
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