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ご友人です!
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今日もいつものように、もはやルーチンワークと化した仕事が始まる。オフィスにはずらっと机が並び、皆黙々とキーボードを叩いている。そして、これもまたいつものように同僚が俺に話しかけてくる。
「オイオイオイ」
「何だ、やかましいぞ、昌也」
「まぁ、そう言うなって。それにしても、お前もいよいよメイドデビューか~」
昌也が少し感慨深そうに俺の方を見る。ちょっと上から目線のような物言いに、俺はぶっきらぼうに答えた。
「いや、何で知ってんだよ」
「何でも何も、腕に付けてんじゃんかよ」
あぁ、そういえばそうか。俺は、自分の右腕へと目をやった。こいつはメイドアンドロイドに同梱されてたバイタル管理用の端末。相互に位置が解る機能や非常時の通話なんかも出来る代物だ。
「ちなみに何型?」
「……0796型」
俺の答えに、昌也は大袈裟に反応する。
「うわっ! ロリコンがいやがる!」
「うるせぇ! 悪いか!」
「開き直るなよ……からかいがいがねぇなぁ」
もはや俺は自分がロリコン扱いされようがどうでもよくなってしまっていた。こんなんだからメイドアンドロイドに走った側面も無いでもない。
「お前だって4961型なんか買いやがって! ドMが!」
「ど、ど、ど、ど、ドMちゃうわ!」
嘘つけ! お前がドMなのはもはや周知の事実だ!そんなんだから彼女も出来ないんだ! まぁ、俺が言えた口でもないのも事実なんだけど。いかん、なんだか悲しくなってきたぞ。俺はそんな気分を振り払うべく話題を切り替える。
「昌也、真面目な話、俺達の給料だとお前の場合ローンキツくないか?」
「あぁ……今日も昼飯はあんぱんと牛乳だぜ……」
「よくやったよお前も……」
ちなみに、MID型のメイドアンドロイドは型番の数字が大きいほど値段が高い傾向にある。4000番台にもなれば下手をしたら4桁の諭吉が飛ぶレベルだ。俺は比較的安価な3桁で妥協した。それでも新車が買えるくらいは楽に飛ぶんだけどな。
俺も一度昌也のメイドを見たことあるけど、確かに値段相応の気品があった。やっぱり人気の型番は違うぜ。
「そういえばさぁ」
俺がパソコンの方に目を戻そうとすると、飽きずに昌也が話しかけてくる。いいから仕事をしろ、仕事を。
「今度は何だ」
「最近見つかった新種のウイルスって聞いたことあるか?」
何だか昌也らしからぬ話題が口から飛び出した。面白そうだから聞いてやろうじゃないか。
「ウイルス?」
「何でも、アンドロイドに感染する奴でさぁ」
「ほーん」
「感染したら、ドえらいことになるらしいぜ」
このご時世、ウイルス感染とは珍しい。基本的にアンドロイドには外部からの攻撃に備えて防御プログラムが定期的に自動更新されるはずなんだけど。更新頻度も鬼のように多いからウイルスに感染したって事例なんかここ数年聞いたこともない。
「具体的には?」
「知らん! 俺も今朝ニュースでチラッと聞いただけだからな!」
昌也はケラケラと笑いながらこちらを見る。本当に、話題の割には緊張感の欠片もないアホ面だ。
「役立たずが! いい加減な情報を持ってくるんじゃない!」
「まぁ、とにかくヤバイんだって、俺達だってメイドアンドロイドの主人な訳だから、他人事じゃないだろ?」
昌也の顔が少し真剣な表情になる。言っていることは正論なだけに、俺も真面目に答えた。
「まぁ、近々アップデートで対策されるだろ。そんなにヤバイんなら」
「そ~だな。ま、俺達でどうこうできることじゃないし、こんなこと言ったってしょうがないか」
そんなやりとりをしていると、俺の背後から殺気を感じた。俺は恐る恐る後ろを振り向く。
「精が出るじゃあないかぁ~ 響ぃ、関ぃ」
ヤベェ! 課長だ!この課長、この会社では知らぬものはいないほどの手練れ。巻き舌な独特の話し方が耳に残る、今時珍しい熱血漢だ。
「諸君、今はぁ~、なぁ~んの時間かなぁ?」
「紫崎興業営業部、絶賛稼働中です」
「宜しい、解っているようだなぁ。解っているならぁ、真面目に手を動かせぃ!」
「「スミマセンでした!!」」
今の俺たちには鬼の課長の方がウイルスより何倍も驚異だ。下手したら容赦ない物理攻撃が飛んでくる。俺たちは不本意にも仕事に戻るハメになった。さあ、今日も一日、張り切っていきましょうかね。
「オイオイオイ」
「何だ、やかましいぞ、昌也」
「まぁ、そう言うなって。それにしても、お前もいよいよメイドデビューか~」
昌也が少し感慨深そうに俺の方を見る。ちょっと上から目線のような物言いに、俺はぶっきらぼうに答えた。
「いや、何で知ってんだよ」
「何でも何も、腕に付けてんじゃんかよ」
あぁ、そういえばそうか。俺は、自分の右腕へと目をやった。こいつはメイドアンドロイドに同梱されてたバイタル管理用の端末。相互に位置が解る機能や非常時の通話なんかも出来る代物だ。
「ちなみに何型?」
「……0796型」
俺の答えに、昌也は大袈裟に反応する。
「うわっ! ロリコンがいやがる!」
「うるせぇ! 悪いか!」
「開き直るなよ……からかいがいがねぇなぁ」
もはや俺は自分がロリコン扱いされようがどうでもよくなってしまっていた。こんなんだからメイドアンドロイドに走った側面も無いでもない。
「お前だって4961型なんか買いやがって! ドMが!」
「ど、ど、ど、ど、ドMちゃうわ!」
嘘つけ! お前がドMなのはもはや周知の事実だ!そんなんだから彼女も出来ないんだ! まぁ、俺が言えた口でもないのも事実なんだけど。いかん、なんだか悲しくなってきたぞ。俺はそんな気分を振り払うべく話題を切り替える。
「昌也、真面目な話、俺達の給料だとお前の場合ローンキツくないか?」
「あぁ……今日も昼飯はあんぱんと牛乳だぜ……」
「よくやったよお前も……」
ちなみに、MID型のメイドアンドロイドは型番の数字が大きいほど値段が高い傾向にある。4000番台にもなれば下手をしたら4桁の諭吉が飛ぶレベルだ。俺は比較的安価な3桁で妥協した。それでも新車が買えるくらいは楽に飛ぶんだけどな。
俺も一度昌也のメイドを見たことあるけど、確かに値段相応の気品があった。やっぱり人気の型番は違うぜ。
「そういえばさぁ」
俺がパソコンの方に目を戻そうとすると、飽きずに昌也が話しかけてくる。いいから仕事をしろ、仕事を。
「今度は何だ」
「最近見つかった新種のウイルスって聞いたことあるか?」
何だか昌也らしからぬ話題が口から飛び出した。面白そうだから聞いてやろうじゃないか。
「ウイルス?」
「何でも、アンドロイドに感染する奴でさぁ」
「ほーん」
「感染したら、ドえらいことになるらしいぜ」
このご時世、ウイルス感染とは珍しい。基本的にアンドロイドには外部からの攻撃に備えて防御プログラムが定期的に自動更新されるはずなんだけど。更新頻度も鬼のように多いからウイルスに感染したって事例なんかここ数年聞いたこともない。
「具体的には?」
「知らん! 俺も今朝ニュースでチラッと聞いただけだからな!」
昌也はケラケラと笑いながらこちらを見る。本当に、話題の割には緊張感の欠片もないアホ面だ。
「役立たずが! いい加減な情報を持ってくるんじゃない!」
「まぁ、とにかくヤバイんだって、俺達だってメイドアンドロイドの主人な訳だから、他人事じゃないだろ?」
昌也の顔が少し真剣な表情になる。言っていることは正論なだけに、俺も真面目に答えた。
「まぁ、近々アップデートで対策されるだろ。そんなにヤバイんなら」
「そ~だな。ま、俺達でどうこうできることじゃないし、こんなこと言ったってしょうがないか」
そんなやりとりをしていると、俺の背後から殺気を感じた。俺は恐る恐る後ろを振り向く。
「精が出るじゃあないかぁ~ 響ぃ、関ぃ」
ヤベェ! 課長だ!この課長、この会社では知らぬものはいないほどの手練れ。巻き舌な独特の話し方が耳に残る、今時珍しい熱血漢だ。
「諸君、今はぁ~、なぁ~んの時間かなぁ?」
「紫崎興業営業部、絶賛稼働中です」
「宜しい、解っているようだなぁ。解っているならぁ、真面目に手を動かせぃ!」
「「スミマセンでした!!」」
今の俺たちには鬼の課長の方がウイルスより何倍も驚異だ。下手したら容赦ない物理攻撃が飛んでくる。俺たちは不本意にも仕事に戻るハメになった。さあ、今日も一日、張り切っていきましょうかね。
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