3 / 25
3話 これがはじまり
しおりを挟む
3話 これがはじまり
駿side
この世の中は、つまらないことばかり。
全ては俺の手の中にあって、俺が望めば手に入らないものなんてなにひとつない。
『駿様。もうすぐ着きますよ。しっかり視察お願いします。会長から任せられた仕事ですから!』
そう言ったのは、俺の執事の拓人21歳。俺と同じ歳で、代々俺の家に仕えている執事の息子だ。幼い頃からずっと一緒だし、身の回りの世話は全てこの拓人がしている。
俺、鷹司駿(たかつかさ しゅん)は、頭脳明晰、容姿端整、全てを手にしている誰もが焦がれる男!
この国を動かすほどの力を持つ有名な財閥の御曹司で、姉が2人いるが、ゆくゆくは父が所有している全ての企業グループのトップになる予定の男。
つまり跡取りということっ!
国を動かす男って事っ!!
今回は国営の公園の運営・管理を任され、来たくもない古ぼけた庶民が来るような公園にやって来た。
『拓人…俺…』
俺が言いかけた言葉を、厳しい口調で遮る拓人。
『ダメです!ちゃんと視察していただきます!膨大な面積の国営公園、管理と維持費で赤字なんです。それの改善と今後の方針をしっかりと考えていただきます!公園の再生計画を任されていますから、お願いしますっ!』
こんな面倒な仕事なんて、誰かに任せておけばいいものを…。
なんで俺がやらなくちゃいけないんだよっ!!
車から降りると、拓人が公園を案内するように歩き始めた。
『今回のこの事業が上手くいけば、駿様がトップになるのを快く思っていない人達も、駿様を認めざるを得ませんから!僕は、みんなに駿様の才能を認めてもらいたいんです』
少し顔を赤らめて拓人が言った。
『そんな事、どうでもいいけど…』
『良くありません!!』
そんな会話をしながら、俺たちは公園の管理事務所を訪れた。
ボロボロの建物の中に入ると、中から中年のおじさんが出て来た。
『管理を任されている岡田です。』
肘でコツコツと拓人に合図され、仕方なく
『…鷹司駿です。』
挨拶をした。
『こんな汚いところによくお越しくださいました。』
『ホントに汚いな。これじゃ潰してテーマパークでも作った方がよっぽど儲かるんじゃないか?』
拓人は、強めに俺にぶつかって来て
『赤字解消を一緒にしていきましょう!!駿様なら、きっとこの赤字を回復して、利益を生み出し維持費を捻出できます!!』
誇らしげに拓人は言った。
は?そんな事できる訳ないだろ?このボロボロの公園。今時こんなの流行らないって!!
こんな公園潰してしまえばいいのに…。
挨拶もそこそこに、今までの運営資料を貸してもらい、管理事務所を後にした。
『なぁ、拓人。これ本当にやるの?』
『はい。みんなが嫌がっていた案件なだけに、成功すればかなりの評価が得られます!!』
公園をぐるりと見渡して
『これ、やっぱ無理じゃね?』
目に映るのは、錆びた公園という言葉が良く似合う公園だった。
『やるんです!駿様なら大丈夫です!きっと、みんなが驚くような公園の再生プランを考えられます!』
…拓人のその自信はどっからくるんだよ!
『駿様。私は車にこの資料を運んで来ますので、少々お待ちください。』
『え?俺も行く』
『まだ、ダメです!園内をぐるっと一周します!よく見ておかないと、いい案が浮かばないと思いますので!』
『はぁ~?もう帰ろうぜ!こんな公園無理だろ?諦めて、テーマパークでも作ろ』
『無理でもやるんです!そうじゃないと…駿様の凄さがみんなに伝わりませんからっ!いいですね!しっかりと見て下さい』
拓人は走って行ってしまった。
ひとり取り残されて、公園をぐるっと見渡すと、芝生にはたくさんの子供や、レジャーシートを敷いた家族連れがたくさんいた。
こんなボロの公園に来る奴いるんだな。
こんなところに来て、何が楽しいんだよ?
これだから、庶民の考えていることはわからない。
その時、ボールが足元に転がって来たと思ったら、
『すみませ~ん!ボール投げて下さい!』
遠くから走って来る男の人が俺に言った。
思わずボールを拾って、投げようとしたら、ボールが手からするりと抜けて、上手く投げることが出来ずに、再度足元に転がった。
『ほら!ボールはこう持ってこうっ!』
ボールを拾いに来た男が、ボールを拾って、投げ方を教えてくれた
手にボールを握らされて、大きな口でにっこりと微笑まれて、
『投げてみて?』
言われるままに投げると、遠くまでよく飛んだ。
『イケてるお兄さんありがとっ!』
そう言って、遠くにいってしまったボールを彼は走って追いかけていった。
あれ…なんだったんだ?
すごい元気な人だった…。
大きな口でにっこり笑う姿が印象的で…
爽やかな笑顔がとても素敵だった
彼に握られた手は、まだ彼の温度を覚えていて、なんだか不思議な気持ちになった。
なぜって…今まで俺にあんなに慣れ慣れしく触れた奴はいなかったから…。
金持ちの俺に媚びを売る様に触れて来るやつは大勢いたけど、あんなに無邪気に笑う奴なんていなかった。
いつもなら、勝手に触れられたりすると、ひどく腹が立つ!でも、今はそんな風には思わなかった
この感情は怒りとは違っていて…
なんだか、ふわふわと不思議な気持ちになった。
『…笑顔…なんかすごかったな…ふふ♡っ///』
知らず知らずに笑みがこぼれて、遠くに走っていく彼から、視線を外すことが出来なくて、彼をずっと見ていた。
彼に引き寄せられるように、もっと彼を見ていたくて、ゆっくりと一歩ずつ芝生の方へと歩き出していた。
彼は終始にこにこしながら、ちいさな子とキャッチボールをして、全力で遊んでいた。
そんな彼がなんだかとても気になった
彼の行動のひとつひとつが、気になって仕方がない!
俺…どしたんだ?
誰かの行動が気になるなんて、今まで一度もなかった
俺、どうしたんだろう…?
彼が気になって仕方がない!
駿side
この世の中は、つまらないことばかり。
全ては俺の手の中にあって、俺が望めば手に入らないものなんてなにひとつない。
『駿様。もうすぐ着きますよ。しっかり視察お願いします。会長から任せられた仕事ですから!』
そう言ったのは、俺の執事の拓人21歳。俺と同じ歳で、代々俺の家に仕えている執事の息子だ。幼い頃からずっと一緒だし、身の回りの世話は全てこの拓人がしている。
俺、鷹司駿(たかつかさ しゅん)は、頭脳明晰、容姿端整、全てを手にしている誰もが焦がれる男!
この国を動かすほどの力を持つ有名な財閥の御曹司で、姉が2人いるが、ゆくゆくは父が所有している全ての企業グループのトップになる予定の男。
つまり跡取りということっ!
国を動かす男って事っ!!
今回は国営の公園の運営・管理を任され、来たくもない古ぼけた庶民が来るような公園にやって来た。
『拓人…俺…』
俺が言いかけた言葉を、厳しい口調で遮る拓人。
『ダメです!ちゃんと視察していただきます!膨大な面積の国営公園、管理と維持費で赤字なんです。それの改善と今後の方針をしっかりと考えていただきます!公園の再生計画を任されていますから、お願いしますっ!』
こんな面倒な仕事なんて、誰かに任せておけばいいものを…。
なんで俺がやらなくちゃいけないんだよっ!!
車から降りると、拓人が公園を案内するように歩き始めた。
『今回のこの事業が上手くいけば、駿様がトップになるのを快く思っていない人達も、駿様を認めざるを得ませんから!僕は、みんなに駿様の才能を認めてもらいたいんです』
少し顔を赤らめて拓人が言った。
『そんな事、どうでもいいけど…』
『良くありません!!』
そんな会話をしながら、俺たちは公園の管理事務所を訪れた。
ボロボロの建物の中に入ると、中から中年のおじさんが出て来た。
『管理を任されている岡田です。』
肘でコツコツと拓人に合図され、仕方なく
『…鷹司駿です。』
挨拶をした。
『こんな汚いところによくお越しくださいました。』
『ホントに汚いな。これじゃ潰してテーマパークでも作った方がよっぽど儲かるんじゃないか?』
拓人は、強めに俺にぶつかって来て
『赤字解消を一緒にしていきましょう!!駿様なら、きっとこの赤字を回復して、利益を生み出し維持費を捻出できます!!』
誇らしげに拓人は言った。
は?そんな事できる訳ないだろ?このボロボロの公園。今時こんなの流行らないって!!
こんな公園潰してしまえばいいのに…。
挨拶もそこそこに、今までの運営資料を貸してもらい、管理事務所を後にした。
『なぁ、拓人。これ本当にやるの?』
『はい。みんなが嫌がっていた案件なだけに、成功すればかなりの評価が得られます!!』
公園をぐるりと見渡して
『これ、やっぱ無理じゃね?』
目に映るのは、錆びた公園という言葉が良く似合う公園だった。
『やるんです!駿様なら大丈夫です!きっと、みんなが驚くような公園の再生プランを考えられます!』
…拓人のその自信はどっからくるんだよ!
『駿様。私は車にこの資料を運んで来ますので、少々お待ちください。』
『え?俺も行く』
『まだ、ダメです!園内をぐるっと一周します!よく見ておかないと、いい案が浮かばないと思いますので!』
『はぁ~?もう帰ろうぜ!こんな公園無理だろ?諦めて、テーマパークでも作ろ』
『無理でもやるんです!そうじゃないと…駿様の凄さがみんなに伝わりませんからっ!いいですね!しっかりと見て下さい』
拓人は走って行ってしまった。
ひとり取り残されて、公園をぐるっと見渡すと、芝生にはたくさんの子供や、レジャーシートを敷いた家族連れがたくさんいた。
こんなボロの公園に来る奴いるんだな。
こんなところに来て、何が楽しいんだよ?
これだから、庶民の考えていることはわからない。
その時、ボールが足元に転がって来たと思ったら、
『すみませ~ん!ボール投げて下さい!』
遠くから走って来る男の人が俺に言った。
思わずボールを拾って、投げようとしたら、ボールが手からするりと抜けて、上手く投げることが出来ずに、再度足元に転がった。
『ほら!ボールはこう持ってこうっ!』
ボールを拾いに来た男が、ボールを拾って、投げ方を教えてくれた
手にボールを握らされて、大きな口でにっこりと微笑まれて、
『投げてみて?』
言われるままに投げると、遠くまでよく飛んだ。
『イケてるお兄さんありがとっ!』
そう言って、遠くにいってしまったボールを彼は走って追いかけていった。
あれ…なんだったんだ?
すごい元気な人だった…。
大きな口でにっこり笑う姿が印象的で…
爽やかな笑顔がとても素敵だった
彼に握られた手は、まだ彼の温度を覚えていて、なんだか不思議な気持ちになった。
なぜって…今まで俺にあんなに慣れ慣れしく触れた奴はいなかったから…。
金持ちの俺に媚びを売る様に触れて来るやつは大勢いたけど、あんなに無邪気に笑う奴なんていなかった。
いつもなら、勝手に触れられたりすると、ひどく腹が立つ!でも、今はそんな風には思わなかった
この感情は怒りとは違っていて…
なんだか、ふわふわと不思議な気持ちになった。
『…笑顔…なんかすごかったな…ふふ♡っ///』
知らず知らずに笑みがこぼれて、遠くに走っていく彼から、視線を外すことが出来なくて、彼をずっと見ていた。
彼に引き寄せられるように、もっと彼を見ていたくて、ゆっくりと一歩ずつ芝生の方へと歩き出していた。
彼は終始にこにこしながら、ちいさな子とキャッチボールをして、全力で遊んでいた。
そんな彼がなんだかとても気になった
彼の行動のひとつひとつが、気になって仕方がない!
俺…どしたんだ?
誰かの行動が気になるなんて、今まで一度もなかった
俺、どうしたんだろう…?
彼が気になって仕方がない!
20
あなたにおすすめの小説
病弱の花
雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる