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9話 長い付き合い
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9話 長い付き合い
惇希side
久しぶりの同室は、なんだか気恥ずかしさで、いっぱいだった。
透弥もお風呂を済ませて、俺の隣のベッドへごろんと横になって、こっちを向いた。
『ねぇ、今日はさ、ゲームじゃなくてさ、おしゃべりしようか?』なんて、少し掠れた落ち着いた声で言われて、胸がトクンと鼓動を速めてしまった。
だけど、平静を装って
『はぁ?俺はもう寝るけど?明日初日だぞ!!万全の状態で臨むぜ』と、言った。
ほんとは、嬉しかった。
すごく嬉しかった。
透弥とこうして話している時間が、穏やかで心地よくて、大好きな時間だから。
この時間が、ずっと続けばいいのにとさえ思う。
でも、ふと、雪の顔がよぎる。
透弥に腕を絡め、嬉しそうにハシャグ雪の顔。
今まで、俺の片思いの人だった透弥は、今では雪の恋人と言う肩書を背負っている。
もう、雪のものなのだ。
透弥はもう、雪と付き合っているのだから…。
俺が好きって思ったらだめな人。
『じゅんくん、じゅんくん、あれさぁ~、あそこのターンふたりで合わせた方がいいよな?』
『あぁ、あそこな!タイミングムズイな!でも、今までの感じで、ワンツーでターンでいいんじゃない?それより、あれ!あれ!その後のセンステからのバクステ移動はマジでヤバいって!』
『ひゃひゃひゃっ、あれはないよな!!マジで全力で走っても間に合わないって!!昔もあったよな?間に合わなくてさ、ふたりで全速力で走った事あったよな?あれはいつのやつだったけ?』
透弥の少し掠れた低い声が、耳をくすぐって心地よい。
結局なんだかんだと透弥とおしゃべりしてて時間はあっという間に過ぎていった。
話のネタなんか15年分持ってるわけだから、話が尽きる訳もなくて、少し掠れた透弥の低い声をうっとりとしながら聞いていた。
こいつの声には、安定剤みたいなのが入っているのか?ってくらいに、落ち着いて穏やかな気持ちになれた。
あぁ、あれか…マイナスイオン的なやつが発生してるのか…?
なんて、リラックスしすぎた頭で考えてたけど、気が付いたら透弥の声に包まれて、スヤスヤと眠りに就いていた。
朝、目覚めたら久しぶりに体調がいい。
マイナスイオン的な透弥の声に包まれて、眠ったおかげだろうか?
起き上がった時の、体のだるさをこれっぽちも感じない!!
透弥の声を、たっぷり浴びたからなのだろうと、勝手に思っている。
俺より先に起きて、すでにストレッチを始めている透弥に視線を落として
『おはよ。朝メシ、行く?』
『おん、おはよ。雪が一緒に行こうって!』
ズキンっ…う゛っ…
左胸が痛んで、咄嗟に胸を押さえた。
『ん?どうした?胸…痛むの?』
透弥は、ストレッチを止めて、俺を心配そうに見上げた。
『いや…、大丈夫…。じゃあ、俺は…いいや。邪魔しちゃ悪いし…俺は別で行くし』
『え?!別にいいじゃん、俺と雪が付き合ったからって、今までとなにも変わらないだろ?一緒に行ったっていいじゃん』
…変わらないわけない。
雪と透弥が付き合ってから…全てが変わったと言ってもいいくらいだ。
何も変わらないなんて思ってるのは、お前だけだよ。
雪だって、俺が居ない方がいいだろうし、俺だって、ふたりのイチャイチャを目の前で見たくなんかない。
『だいちゃんも一緒だから、いいじゃん!じゅんくんも一緒に行こうよ』
甘えるようなねだるような声で透弥は言った。
まぁ、大輝も一緒だと言うなら…
俺が一緒でも…いいか。
『わかった…、顔洗って来るから』
準備をして、透弥と一緒に部屋を出た。
部屋を出ると、雪たちもちょうど部屋から出て来て
『ふ~じ~の~く~ん!おはよ。』って、誰にも負けないキラキラな笑顔で雪は、透弥の腕に絡みついた。
その後ろから『おはよ』って、大輝が顔を出した。
透弥と雪が、俺たちの前を歩いて、俺と大輝はその2人の背中を見ながら歩いた。
『大丈夫?』って、大輝が小さな声で聞いてきて、
『うん、大丈夫…』って、俺は笑って見せた。
レストランに着くと、すでにひとり一善朝食が準備されていた。
『あぁ~あ。な~んだ。朝食はバイキングを期待してたんやけどな』
雪が可愛くがっかりして、四人掛けのテーブル席に座った。
『こんなもんだろ?』
透弥と雪は隣に座って、透弥の向かいに俺、雪の向かいに大輝が座った。
いただきますって、手を合わせて食べ始め
『今日のリハ8時30分からだったよね?』って、透弥が言いながら、俺の皿に玉子焼きを乗せてくれた、
『そう、そう』って、ひじきの小鉢を透弥に渡した。透弥はそれを受け取って直ぐに食べ始めた。
『昼何だろ?ケータリング楽しみだな!!』
『お前!まだ朝食だぞ!』
なんてやり取りしてたら
『ちょっと!ちょっと待って!なに?その自然なやり取り?なんなの?』
雪が、俺と透弥の顔を交互に見て言った。
惇希side
久しぶりの同室は、なんだか気恥ずかしさで、いっぱいだった。
透弥もお風呂を済ませて、俺の隣のベッドへごろんと横になって、こっちを向いた。
『ねぇ、今日はさ、ゲームじゃなくてさ、おしゃべりしようか?』なんて、少し掠れた落ち着いた声で言われて、胸がトクンと鼓動を速めてしまった。
だけど、平静を装って
『はぁ?俺はもう寝るけど?明日初日だぞ!!万全の状態で臨むぜ』と、言った。
ほんとは、嬉しかった。
すごく嬉しかった。
透弥とこうして話している時間が、穏やかで心地よくて、大好きな時間だから。
この時間が、ずっと続けばいいのにとさえ思う。
でも、ふと、雪の顔がよぎる。
透弥に腕を絡め、嬉しそうにハシャグ雪の顔。
今まで、俺の片思いの人だった透弥は、今では雪の恋人と言う肩書を背負っている。
もう、雪のものなのだ。
透弥はもう、雪と付き合っているのだから…。
俺が好きって思ったらだめな人。
『じゅんくん、じゅんくん、あれさぁ~、あそこのターンふたりで合わせた方がいいよな?』
『あぁ、あそこな!タイミングムズイな!でも、今までの感じで、ワンツーでターンでいいんじゃない?それより、あれ!あれ!その後のセンステからのバクステ移動はマジでヤバいって!』
『ひゃひゃひゃっ、あれはないよな!!マジで全力で走っても間に合わないって!!昔もあったよな?間に合わなくてさ、ふたりで全速力で走った事あったよな?あれはいつのやつだったけ?』
透弥の少し掠れた低い声が、耳をくすぐって心地よい。
結局なんだかんだと透弥とおしゃべりしてて時間はあっという間に過ぎていった。
話のネタなんか15年分持ってるわけだから、話が尽きる訳もなくて、少し掠れた透弥の低い声をうっとりとしながら聞いていた。
こいつの声には、安定剤みたいなのが入っているのか?ってくらいに、落ち着いて穏やかな気持ちになれた。
あぁ、あれか…マイナスイオン的なやつが発生してるのか…?
なんて、リラックスしすぎた頭で考えてたけど、気が付いたら透弥の声に包まれて、スヤスヤと眠りに就いていた。
朝、目覚めたら久しぶりに体調がいい。
マイナスイオン的な透弥の声に包まれて、眠ったおかげだろうか?
起き上がった時の、体のだるさをこれっぽちも感じない!!
透弥の声を、たっぷり浴びたからなのだろうと、勝手に思っている。
俺より先に起きて、すでにストレッチを始めている透弥に視線を落として
『おはよ。朝メシ、行く?』
『おん、おはよ。雪が一緒に行こうって!』
ズキンっ…う゛っ…
左胸が痛んで、咄嗟に胸を押さえた。
『ん?どうした?胸…痛むの?』
透弥は、ストレッチを止めて、俺を心配そうに見上げた。
『いや…、大丈夫…。じゃあ、俺は…いいや。邪魔しちゃ悪いし…俺は別で行くし』
『え?!別にいいじゃん、俺と雪が付き合ったからって、今までとなにも変わらないだろ?一緒に行ったっていいじゃん』
…変わらないわけない。
雪と透弥が付き合ってから…全てが変わったと言ってもいいくらいだ。
何も変わらないなんて思ってるのは、お前だけだよ。
雪だって、俺が居ない方がいいだろうし、俺だって、ふたりのイチャイチャを目の前で見たくなんかない。
『だいちゃんも一緒だから、いいじゃん!じゅんくんも一緒に行こうよ』
甘えるようなねだるような声で透弥は言った。
まぁ、大輝も一緒だと言うなら…
俺が一緒でも…いいか。
『わかった…、顔洗って来るから』
準備をして、透弥と一緒に部屋を出た。
部屋を出ると、雪たちもちょうど部屋から出て来て
『ふ~じ~の~く~ん!おはよ。』って、誰にも負けないキラキラな笑顔で雪は、透弥の腕に絡みついた。
その後ろから『おはよ』って、大輝が顔を出した。
透弥と雪が、俺たちの前を歩いて、俺と大輝はその2人の背中を見ながら歩いた。
『大丈夫?』って、大輝が小さな声で聞いてきて、
『うん、大丈夫…』って、俺は笑って見せた。
レストランに着くと、すでにひとり一善朝食が準備されていた。
『あぁ~あ。な~んだ。朝食はバイキングを期待してたんやけどな』
雪が可愛くがっかりして、四人掛けのテーブル席に座った。
『こんなもんだろ?』
透弥と雪は隣に座って、透弥の向かいに俺、雪の向かいに大輝が座った。
いただきますって、手を合わせて食べ始め
『今日のリハ8時30分からだったよね?』って、透弥が言いながら、俺の皿に玉子焼きを乗せてくれた、
『そう、そう』って、ひじきの小鉢を透弥に渡した。透弥はそれを受け取って直ぐに食べ始めた。
『昼何だろ?ケータリング楽しみだな!!』
『お前!まだ朝食だぞ!』
なんてやり取りしてたら
『ちょっと!ちょっと待って!なに?その自然なやり取り?なんなの?』
雪が、俺と透弥の顔を交互に見て言った。
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