短編集【5話執筆中】

薄明 喰

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それでも君と(旧:君が僕から離れても)

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お付き合いを再び開始してから日が経ち、僕達は今日高校を卒業する。



あの事件の後に僕の家族に一汰君のことを話した。
始め両親は難しい顔をしていて、だけど一汰君も交えていっぱい話し合った結果、僕達のことを受け入れてもらえることになった。


両親から「何があっても縁を切ろうと思わないこと。そう思うような付き合いをするなら別れなさい」と言われ、その時に僕はこの両親の元に産まれてきてよかったって心底思った。






今日までに色んな出来事があって、傷つきもしたし苦しい思いもしたけど…それでも一汰君とこの先ずっと一緒に生きていたいって思ったし、その度に一汰君としっかり話し合って気持ちの確認と整理を繰り返した。

そんな僕を一汰君は面倒がらずに、真剣に話し合ってくれた。





「嵐、平ノ助。沢山助けてくれてありがとう」

「本当に…二人には感謝しかない」


卒業式が終わって、僕と一汰君と嵐と平ノ助で近くのファミレスに来て、そこで僕達は改めて今まで沢山助けてくれた友達にお礼を告げた。

僕達のことで嵐と平ノ助を沢山巻き込んだのに、彼等は嫌な顔せず当たり前のように僕達の味方でいてくれたし、手を差し伸べてくれた。
こんな友達って他にいない、本当に最高の友達に出会えた自分って何て幸せ者なんだろうって思う。


助けられてきた分だけ、僕も二人が困った時は助けになりたい。





「俺達は俺達が2人を助けたくて助けただけ。それに俺達は高校生になってすぐ透鯉に助けてもらったから」

そう言って笑う嵐に首を傾げる。

だって二人を助けた何て格好いいエピソード僕にはない。
始めの頃を思い出しても、ぼっちだった僕がグループを決める授業の時に嵐と平ノ助にお願いして入れてもらったところからの関係だって記憶してる。


助けたどころか、僕が助けられてきた記憶しかないんだけど…




「俺達中学の時にちょっとやんちゃしすぎててさ…周りから嫌がられたわけ。でも透鯉は俺達に普通に話しかけてきてくれただろ?それに、透鯉のおかげでクラスメイト達とも普通に話せるようになった」

「特に俺な」


自分を指さして笑う平ノ助に、確かに嵐と違って平ノ助は周りから距離置かれてたなっと思い出す。

僕は平ノ助が同年代の子と比べて大きくて体格が良いから怖がられてるって思っていたのだけど…別の理由があったんだと驚く。




「んー…助けたって感じないんだけど」

「はは!まぁ、俺達もそういうお前と同じ感覚でいるって思っといてって話」


笑ってそう言ってくれる嵐に僕も笑って頷く。








「それにしても透鯉と一汰は本当すげぇよな」

「それな」


不意に嵐と平ノ助がそう言うから僕達は顔を見合わせて首を傾げた。




「周りに負けずに2人の好きって気持ち大事にしててさ…俺正直2人の関係にめっちゃ憧れてる」

「俺も」


頬杖ついてそう言ってくる2人の目はキラキラしていて、何だか照れくさくて顔が熱くなってくる。






「これからもそう思ってもらえるように大切にする」

「「おう」」

「何で2人は僕の保護者みたいなの…ぼ、僕も一汰君のこと大切にするよ!」

「「保護者みたいなもんだろ」」














2人と別れて、僕達は二人で借りたアパートに帰ってきた。

アルバイトをして共同貯金をして、両方の親から許可を得て借りた僕達の家。


一汰君は大学に進んで、僕は短大に。
2人の通う大学の中間地点で探して決めた。

同性で借りるってなるとやっぱり難しい部分があって…それでも理解のある不動産と大家さんと巡り合えて決めた物件だから大切にしたい。





「これからもよろしくね一汰君」


「こちらこそ」




これからの僕達には不安もあるけど…今は不安よりも素敵な未来が見えている。









________

これにて『それでも君と』完結です。

「君が僕から離れても」というタイトルでしたが
終わってみてから違うなっと思ったので変更しました。

思ったよりも二人の話を書くのが楽しくてなかなか終わりを見つけられず…w

楽しんでもらえたら嬉しいです。
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