王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第1章

受け入れてもらえた喜び

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お昼のひと騒動があっておやつの時間。


目の前には僕の好きなチィの実のタルト。

シェフが作るタルトは絶品だ。
なんならタルト生地だけでも永遠に食べていられる。


でも食べすぎては太ってしまう。

おデブな貴族なんて良い事にならない気がしてならない。


なので、提供されたワンカットで我慢。

まぁ前世と違って、毎日おやつの時間に食べられるのだから満足だ。



おやつが終わると僕はお散歩をする。

この世に生を受けてはや3年。

まだ僕の足では屋敷の全てを歩けていない。
広すぎて1人だと確実に迷子になる。


入っちゃダメなお部屋もあるし、行ってはいけない所もある。

そこは好奇心は湧くけれど行かないようにしている。


とーさまやにぃ様と行かないって約束したから。

誓約書は交わしてないけど、僕を大事にしてくれるとーさまやにぃ様との約束を破りたくないと思うから。



だからダメな所は避けて今日は馬小屋に来てみた。

僕よりも何倍も大きな馬が12頭ほど居る。
とーさまの愛馬は漆黒のナイトアイ。

にぃ様の愛馬は赤毛のザックス。

この2頭は他の馬とは少し離れたところで飼育されている。


愛馬と言ってもこの2頭は戦闘馬なのだ。



にぃ様はまだそういった場に行くことはないけれど、戦場をイメージした訓練はしていると聞いた。

とーさまはナイトアイと何度も死地を駆け抜けてきたとばぁやに教わった。


戦場を知る子だからザックスよりもナイトアイの方が警戒心がとても強い。

だからいつもは離れた所から見てるんだけど、今日は何だかナイトアイが近づいてもいいよって言ってるように思えて恐る恐る近づいていく。



すぐ側にヨハネスが居て、何かあった時にすぐ対処できるよう構えている。

ヨハネスもいつもと雰囲気の違うナイトアイに気がついていて止めたりはして来なかった。



そろりそろりと近づいて遂に目の前まで辿り着いた僕の頬をナイトアイはベロリと舐め上げた。

「うぁ」

一瞬でべっちょりとした顔は少し気持ちが悪いけど、気難しいナイトアイがスキンシップをとってくれたことが嬉しくてべちょついた顔をナイトアイの鼻に擦り付ける。



「初めて会った時から坊っちゃまはナイトアイの性格をきちんと理解して距離を守っていましたからな。ナイトアイも坊っちゃまは安全だと判断したのでしょう。」

ニコニコ顔の馬丁ばていがそう言った。


前世からの動物好きな僕は、僕を受け入れてくれたナイトアイが可愛くてついぎゅーって抱きしめてしまった。

そんな僕をナイトアイはじっと好きにさせてくれるから、僕はしばらくナイトアイから離れなかった。




僕の気持ちが落ち着い頃、惜しみながらもナイトアイから離れ、お礼にナイトアイの好きなリゴルをあげる。

リゴルは前世のりんごに近い果物だ。


ナイトアイがリゴルを食べ終え満足そうな顔をしているのが可愛くてまた抱きしめてしまった。




ナイトアイとお別れをして、次にやってきたのは犬小屋。

犬と言ってもただの犬ではない。
アーバスノイヤー家の番犬である。


アーバスノイヤー家は使用人の戦闘スキルが高い。
つまり彼らも戦闘スキルがすごい番犬である。

侵入者や気に食わない奴には容赦ない。





でも僕は


きゅ~ん

きゅいきゅい


怖い彼等を見たことがない。




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