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第1章
華祭【番外編】
【お知らせ】
にぃ様との楽しいお祭りのお話を考えていたのに、血桜のお話になってしまっていたので番外編として華祭のお話を扱わせて頂きます。
番外編
↓↓↓
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デスコラプションを退治し、次の日には神官達による浄化が行われた。
謹慎中であったけど、何だかんだバタバタしていたのであっという間に謹慎終了日を迎え…そして今日。
にぃ様と僕は街の祭り、華祭へと行くのである。
あんな騒動があって、まだ黒幕のはっきりしていない今…本当はあまり出歩かないで欲しいのだろうけど、とーさまは行ってこいと見送ってくれた。
とーさまも一緒がよかったけど、事件の処理やらなんやらやることが多すぎて無理だった。
とーさまもワイアットも目の下にうっすらと隈を作っていたから、僕の面倒を見るよりもきちんと眠った方がいいと思うので僕は大人しくとーさまに手を振り、にぃ様の手をちゃんと握って馬車に揺られている。
「ルナイス、何か欲しいものはあるか?」
隣に座るにぃ様が不意に僕の顔を覗き込んで尋ねてきた。
僕は顎に手をあてて、んーっと考える。
アーバスノイヤー公爵家はお金を持っているお家なので、欲しいと思う前に欲しいものは家にあった。
遊ぶのに道具は特に必要とせず、魔法で十分に遊べるし…おねむの友にはユラがいる。
外で遊ぶ時はヨハネスや使用人達が相手をしてくれるし。
僕は宝石や洋服に興味もないので、特にほしいものはない。
それに祭りにどんなものがあるのかを知らない。
「にぃ様は?」
僕は質問を質問で返してみた。
聞いてくるってことは、にぃ様には欲しいと思っているものがあるのではないだろうか?
「雲飴をルナイスに食べさせたい。」
雲飴?と聞きなれない言葉に首を傾げると、にぃ様はくすくすと笑って
「楽しみにしてて。」
と僕と繋いでる手とは反対の手で僕の頭をすりっと撫でた。
アーバスノイヤー家はわりと自然豊かな所にあるので、街までは少し距離がある。
でも、先代達皆敷地が広すぎると面倒臭いって理由で屋敷をそんなに大きく作ってないから領民達との距離は他貴族と比べて近い方だと聞いた。
それでも前世の日本に居た頃の記憶を持つ僕としては十分に広大な敷地を持っていると思う。
馬車で15分ほど揺られて街から少し離れた所で降りてにぃ様としっかり手を繋いで賑やかな街へと歩きだす。
街にどーんと停めて降りるとお祭りの楽しい雰囲気を壊しちゃうからね。
街の賑やかな所に何時もより地味目の服をきた僕とにぃ様はするんと入り込んだ。
ヨハネス達護衛も私服警察のように街にするんと馴染む感じでひっそりと僕達の周りにいる。
にぃ様に連れられてやって来たのは噂の
雲飴の屋台。
「ルゥ、何がいい?」
屋台には
晴れ味
曇り味
雷味
雨味
雪味
嵐味
と天気にちなんだ名前のラインナップがあった。
綿飴に似ているけれど、どれも想像がつかない味で迷ってしまう。
ちなみに、街では公爵家の子息だとバレにくいように僕は"ルゥ"にぃ様は"ルファにぃ"と呼び合う事になっている。
同じルから始まる呼び方に兄弟感強まって何だかくすぐったい。
「ルファにぃは何食べる?」
味が決められなくてにぃ様に尋ねてみた。
「僕は嵐味。」
外でにぃ様の一人称が「僕」なのが新鮮でふぉーっとしちゃう。
にぃ様は嵐味か…どんな味なんだろ?
「んー…僕は雷味にしま…する!」
危ない。
平民達は兄に向かって敬語で丁寧に喋りかけたりしないと言われていたのに、うっかり出るとこだった。
セーフ?セーフ?とにぃ様を見るとクスッと笑ってちこっそり頷いてくれた。
店主から嵐味と雷味の雲飴を貰って、近くに並べられていた護衛がさりげなく座っていたベンチに座る。
護衛のさり気なさがプロすぎて僕も護衛をしてみたくなっちゃう。
にぃ様と並んで座って、まずはにぃ様が雲飴を口に運ぶのを見守る。
びゅんびゅん渦巻いている嵐味の雲飴を躊躇なく口に入れたにぃ様は楽しそうにもぐもぐしてる。
僕も自分の手に握られたゴロゴロ鳴ってパチパチ光る雲飴をじっと見つめて、えいっと覚悟を決めて齧り付いた。
口に含んだ瞬間、パチパチと弾けてあま~い味が広がった。
前世にもこんな駄菓子があった気がする。
美味!
「ルゥ、どう?」
ちょっと心配そうに僕に尋ねてきたにぃ様にコクコクと首を縦に振ってみせる。
「美味しい!」
「こっちも食べてみる?」
にぃ様はそう言って嵐味の雲飴を僕の方に差し出した。
普段であればにぃ様が食べているものをこんな風に分けてもらうことはできない。
嬉しくて嵐味の雲飴にかぶりつくと雲飴は口の中で暴れた後にするんと僕の体の中に入ってった。
びっくりしたけど、ほんのり甘いお味にこれもありと思った。
僕の雷味の雲飴もにぃ様にあげて、とても美味しくて楽しい時間を過ごした。
その後も色んな屋台を見て回って、こっそりと僕達はお家に帰る馬車に乗り込んだ。
馬車の中には屋台で買ったご飯やお菓子、魔道具玩具が詰められていて帰り道もとても楽しかった。
にぃ様と近くで触れ合って過ごせる時間は過ぎるのが早くて残念に思うけど、にぃ様とまた一緒にお出かけする約束をしたので、寂しい気持ちと楽しみな気持ちが半分ずつだ。
屋敷に戻った僕はワイアットにこそっと疲労回復ポーション飴を渡し、とーさまにお土産話と晴れ味の雲飴をあげた。
晴れ味の雲飴にはほんのり疲労回復ポーションが入っているらしいので、とーさまもこれで少し元気になってくれるといいな。
華祭編fin.
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