王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第2章

強くあろうとするその心はsideノヴァ

とある案件で必要な資料を国立図書館で耽読たんどくしていると魔法送書まほうそうしょがきたので封を開けばルナイスにあったこと。直ぐにアーバスノイヤー家へ来るようにということが記されてあった。


読んでいた本を棚に戻し、早足で国立図書館を出て人目の少ないみちへ入る。

人の気配が近くにないことを確認して転移魔法を展開し目的地へ急ぐ。





瞬きの間に目的地、アーバスノイヤー家の門前へと到着した。

突然現れた私に門番は驚いた様子もなく、私が通るのを頭を下げて見送る。


通達があったのだろうが、すぐに僅かな魔力から誰の魔力なのかを察知したのだろう。
初めて此処に来た日よりも使用人達が更に強くなっているように思う。



公爵家の屋敷内へと足を踏み入れ、ルナイスの部屋を目指す。

使用人の案内はないがあらゆる所から視線は向けられている。
決して居心地の良いものではないが、これくらいの警備でなければルナイスだけでなくアドルファス様も既に儚くなっていたことだろう。






ルナイスの部屋の前には女性の使用人が立っており中でルナイスが眠っており、傍にアドルファス様が居ることを告げられる。

私が来たらノックをせず、部屋に入れるように言付かっているとのことでそっと扉が開かれた中にそっと体を忍び込ませた。




中ではベッドにルナイスが眠っており、近くの椅子に腕を組んで座っていたアドルファス様が私に気が付き、立ち上がりソファの方へ腰をかけるように促す。




「突然呼び出してすまない。」


「いえ。ルナイスの状態は?」


遠目に見る限りではルナイスに怪我等はないように見える。
アドルファス様も落ち着いた様子であるし、使用人達も静かだ。だからなんら問題はないだろうと思いながらも尋ねればアドルファス様は問題ないと答えた。




「問題はないのだが、しばらくルナイスの傍にいてやってくれないか。」


ブラコンな彼が僕にルナイスを任せてどうするのか?と首を傾げれば、額に青筋を浮かべて片方の口角を上げて笑った。

よほど怒り心頭らしい。





「3名の処分が決まったらしいが、納得いかない。抗議しに行く。」


そう言ったアドルファス様の言葉になるほど、と頷く。

どういった処分になったのかは知らないが、アドルファス様が納得なされなかったのなら私も納得できるものではないだろう。


所詮は他人の私が乗り込んでは問題になるし、アドルファス様が乗り込むのが1番平和的である。





「お任せ下さい。」


「任せた。行ってくる。」



私が頷けばアドルファス様は颯爽と部屋を出ていかれた。

暫くして、離れたところからドン!という音と微かな振動を感じたのできっと応接間の扉はなくなっていることだろう。











アドルファス様が居なくなった部屋で、私は先程までアドルファス様が座っていたベッド横の椅子に腰掛け眠っているルナイスの様子を観察し始めた。

うん。

やはり問題はなさそうである。




ルナイスは弱いことに不安を感じる子だ。

『弱いと沢山傷つけられるでしょ?』

いつの日だったか魔法を教えている時にどうしてそんなに強くなりたいのかと尋ねた時、ルナイスは目を伏せて少し寂しそうにそう言った。



これについてルナイスが詳しく話すことは無かったが、恐らく前世かこのことが関係しているのだろうと思う。





確かにルナイスが強くなろうとせずにいたら、今日のようなことが起こった時ルナイスは呆気なく死んでしまっていただろう。

死んだ理由がいかに馬鹿馬鹿しく幼稚で理不尽なことであったとしても、死んでしまった事実は変わらない。





前世でもルナイスは強くなければ殺されてしまうような世界であったのだろうか。

私には想像もできないことだが、今世で少しでもルナイスが傷つかない人生を歩むことを切に願う。



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