王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第2章

何もできない自分への嫌悪sideノヴァ


ルナイスの手を握り、ルナイスが眠ってからしばらく。


本当はずっと私が起きて傍に居て見守ってやりたいが、公爵様から万が一の時に備えて休息をとるようにと言われ2時間交代でルナイスを見守ることになっている。



9歳になったルナイスはまだまだ小さい。
けれど、前世の記憶があるからなのか同年代よりも落ち着いている。

時々心配になるほど達観しているが、偶に子供らしい無邪気さや言動が見られ、そんな様子にほっとする。





昔は可愛い庇護対象としか思っていなかったが、最近は少しルナイスに対する感情が変わったことを自覚している。


守りたい気持ちは変わらない。
色々問題に巻き込まれてしまう子だから尚更そう思う。


そして最近は自分だけに甘えてほしいと思う気持ちが出てきている。


私を見てふわっと笑うルナイスに疲れた心が癒され嬉しいという気持ちが湧くと共にルナイスにとって特別な存在でありたいと思ってしまう。




独占欲…なのだろうかと考えて、自分がルナイスに慕情ぼじょうを抱いているのだと気が付いた。



しかしルナイスはまだ9歳。
12歳の差は大きい。

自分がまさかこんな幼子おさなごに慕情を抱くとは思っていなかった。


年齢差は大きいが、ルナイスがもう少し成長すればこの気持ちを伝えてもいいだろうか…。




その時までは、私はルナイスの頼れる人であろうと思う。









そんな風にルナイスの寝顔を見つめながら、そろそろ交代の時間かっと時計を見たところでルナイスに異変を感じ慌てて様子を確認する。


「っくそ!やられた!」



眠っているルナイスの体が硬直したかと思うと、渡していたネックレスがルナイスの首から消えた。

ネックレスには俺の魔力を込めていたから、ネックレスが破壊されたことはすぐに感じ取れた。


まさかこっちから仕掛ける前に向こうが行動を起こすとは…。




「ルナイス!!」

ルナイスの体を揺さぶったり、軽く頬を叩いてみたりするがルナイスがその目を開く様子はない。




バン!!


「何事ですか!」

ルナイスの部屋の前で警護をしていたヨハネスが俺の声に気が付き勢いよく部屋に入ってきた。



しかしルナイスの首に赤い手形が浮かび上がり、目を覚まさないまま苦しさに藻掻きだしたルナイスに先ほどから魔法を展開しては弾かれている俺には彼に答える余裕などなかった。

悔しいことに俺は夢魔とのハーフではない。
夢魔に操られた夢への介入は魔法でしかできないのだが、その魔法も全て弾かれてしまい苦しむルナイスを解放する手立てがない状況だ。




ヨハネスは焦る俺や苦し気な声を漏らすルナイスに危機的状況であると判断し、すぐに部屋を駆け出して行ってくれたが…この状況でルナイスがどれほど耐えられるのか…そして、この状況をどうにかできそうな人物は居そうにない。






「う~む…これはちとまずいのぉ。」

いつの間にか近くに立っていたホルス様が苦しむルナイスを見て眉間に皺を寄せて呟いた。



「夢魔が支配する夢は強力だ。上位悪魔もしくは神クラスの者でないとどうにもならんやもしれんなぁ。」


ホルス様の言葉にではどうしたらいいのかっと思わずベットに拳を叩きつける。



「よし。妖精に頼ろう。おーい、オーレ。」


「久しぶりですね、ノワール・ホルス・グレゴリア。何用でしょうか?」




ホルス様が何者かの名を呼ぶとポンっと煙が立ちハルス様の隣に壮年の男性が現れた。
その男の人はブラックスーツを身に纏い、背筋がぴしっとしていて手には2本の傘を持つ品のある紳士であった。


そういえばホルス様はオーレと呼んだ。

オーレと言えば眠りの妖精にオーレ・ルゲイエという妖精がいると本で見たことがある。






「なんだ、あのチカチカする服は止めたのか?随分印象が変わったなぁ。」


「弟が虹色の服を子供に笑われたと泣いたので、一層してみたのだ。靴を履いては音がなるので靴は履かずのままであるがな。」



「ホルス様!呑気に話している場合ではないぞ!」



のんびりと話し出した二人に声を上げていうとホルス様ははっとして、オーレと呼ばれる妖精は不思議そうに首を傾げた。





「オーレよ、此処におる我等の愛し子が夢魔に襲われておる。どうにかならぬか?」


「…なるほど。これは厄介なのに目をつけられていますね。うむ…私の力だけではどうにもなりません。どうやら夢魔はこの子を自分の巣穴に連れ去ろうとしているようですね。止めることはできませんが、私が夢の中に潜入しましょう。ルゲイエを此処に呼びます。精霊王等にも協力を頼んだほうがいいでしょう。なるべく早めに対処法を見つけてください。」



オーレと呼ばれる妖精は首を横に振って、苦しむルナイスを助けられないと言った。

しかし続けられた言葉に血の気が引くと共に夢の中に侵入することはできるという彼の言葉に少しほっとする。



紳士な妖精は『では』と言うとポンと消え、その数秒後ルナイスが忽然と姿を消した。




_____________

補足

さらりとホルス様のフルネームを出しました(笑)

ノヴァの一人称が『俺』に変わっているのは気が立っている時や彼に余裕がない時に無意識に変わっているという設定です。
癖みたいなものですかね?


あれ?と思わせてしまった方がいるかなと思い補足させていただきました!




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