王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第4章

あざと可愛いマウさん

契約書にスタンプを押したヴォルカンさんはすぐに僕達を領地の端にある警備団の訓練施設へと案内してくれた。



訓練施設ではそれぞれの獣人が自身の特徴を活かしながら1対1で戦闘訓練を行っている。

僕達が入った所から一番近い所にいたライオさんがすぐに僕達に気が付いてざっと姿勢を正すと、すぐに周りの人達も気が付いて同じように姿勢を正した。


僕達にっていうよりも、ボスにって感じ。



獣人族のボスは強さで決まるって言うし、やっぱりヴォルカンさんが一番強いのだろうか。






「しばらく見学をさせてもらう。」


「はっ!」



ヴォルカンさんがライオさんに声をかけ、ライオさんが切れよく返事をすると続いて皆が同じように返事をした。

騎士団の人達もそうだけど、声の圧で吹き飛ばされそうなくらいの返事だ。












警備団の団員達がそれぞれ訓練に戻るが、やっぱりボスに見られるっていうのは緊張するのかチラチラと視線がこちらへ向けられていて、先ほどよりも動きにキレがない。


「ヴォルカンさんはやはり一番強いのですか?」


「あぁ。何かあればボスが群れの戦闘に立たねばならないからな。定期的に我も含めた戦闘力検査を行っている。前回やったのは半年ほど前だが…あの様子では我には敵わんだろうなぁ。」




はぁっと溜息を吐いたヴォルカンさんがガルルル!と団員達へ向けて唸ると、はっとして背筋を伸ばした団員さん達が慌てて無理矢理訓練に集中しだす。





「ふん…あ奴等であればルナイス殿の方が強いのではないか?」


「んー…魔法の制限なく闘えるのなら勝てるでしょうけど、僕には色々と制限があるので。」


「なるほど。その指輪も理由があるのだろうな。」



チラっと僕の指に向けられて視線にやっぱりヴォルカンさんは強い人だなって思う。


ただ強いだけじゃなくて、観察力もある。







「…ヴォルカン殿。誰か私に宛がってもいい者はおりますか。」


「ん?…いいだろう。ノヴァ殿は優秀な魔法使いだからな…マウが適任だろう。マウ!!」



見学している間にノヴァが突然戦闘モードに突入した。



ヴォルカンさんが呼んだのは立ち上がった三角の耳と長い尻尾を揺らした猫獣人の方で、彼女はすごい速さでヴォルカンさんの近くにやってきてそしてごろんと転がった。




「マウ。今それはいらん…こちらのノヴァ殿と模擬戦闘を行ってくれ。」


「にゃん。私はマウ・ゴロニャンです。よろしくにゃん。」



転がるマウさんを立ち上がらせてヴォルカンさんがノヴァとの模擬戦闘をするよう告げると、可愛らしい返事をした彼女はあざとく手招きポーズで挨拶をしてくれた。


あざといのだけど、それが似合っているので感想としてはただただ可愛い。



こんなに可愛い子なのに、警備団に居てノヴァの相手を任されるってことは強い子なんだろう。






僕とヴォルカンさんは訓練場の端に立ち、ノヴァとマウさんは他の団員が避けてくれたスペースで向きあう。




「では…行きますにゃ!」

マウさんがそう言ってしゅばっと動いたと思ったら一瞬でノヴァの目の前に移動していた。


腕を振り降ろすが、ノヴァが直ぐに展開した防御壁がそれを弾き返す。





そしてすぐにマウさんの背後を取り素手で殴りにノヴァがいったけど、それをマウさんは体を捻って躱した。




ノヴァが魔法以外で戦う姿は初めて見るのでちょっと驚く僕。

隣でヴォルカンさんも驚いているようだった。








「にゃひひ!にゃかにゃかですにゃ!」


マウさんは楽しそうに笑って、素早く動きながら次から次へと攻撃をしかけていく。

それをノヴァは時に防御壁を展開したり素早く動いて躱したりする。




しばらくそんな状況が続くとマウさんも魔法を展開し始めた。

彼女は風魔法が得意なようで、自分の動きを更に加速させたり、鋭い風を作り出しノヴァに攻撃したりしていて、ノヴァも段々魔法主体の戦闘スタイルに変わっていった。








「にゃ!」


どれくらい時間が経ったか…

マウさんの悲鳴のような声がきこえた。



マウさんの足には黒い触手が伸び動きを止めている。
そして、ノヴァが雷を纏った拳をマウさんの顔の前で止めた。





ノヴァの勝ち?

ノヴァの勝ちだよねっとヴォルカンさんを見上げれば僕の視線に気づいたヴォルカンさんがコクリと頷いた。




紳士的にゆっくりとマウさんを地面に下したノヴァがマウさんと握手を終えたところで僕はノヴァに向かって走った。





「ノヴァ!」


ガシっと飛びついた…というか、ぶつかった僕をノヴァはしっかりと抱き留めてくれる。






「負けちゃったけど、楽しかったにゃ~。」


「私も面白かったし、勉強になった。」


「ごろにゃん。」




マウさんは負けたけどご機嫌な様子で、ルンルンとスキップしてヴォルカンさんの近くへ移動していった。









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