王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
238 / 427
第4章

ペットができました

ある程度歪みから出現する魔獣達を捌いたところで、ノヴァの結界で歪みの穴を塞ぐことに成功し、少し離れた所で野営の準備をする使用人達を地面に置かれたシートの上に座りながら眺めている。


公爵家の生まれでも僕は次男だし、お家を継がないので暮らしはちょっと裕福な平民くらいになるんだろうとは思っていたが…予想以上にサバイバルな日常を送っている気がする。



否、まだ使用人や護衛がいるのだからそんなことを言っては多方面から炎を投げ付けられそうだ。







「ルナイス。まさかあれらを連れ帰るつもりか。」


「…。」



「ルナイス。」




お隣に座っているノヴァはじっと僕を見てくるけど、僕は目を合わせないように真っ直ぐ前を向いて決してノヴァと視線が絡まないように気を付ける。


けれど、ノヴァに強めに名前を呼ばれてはこれ以上無視をするのはできなくて渋々焦点をノヴァに合わせた。







「…駄目?」


「…1匹までだ。」



精一杯可愛い子ぶってノヴァに首を傾げて見せれば、ノヴァは1匹までと言ってそれ以上は何も言わなくなった。

自分や他の人からしたらドン引きな行動だけど何故かノヴァとにぃ様には効果覿面なのだ。


ちなみにとーさまにはもう少し子供っぽくすると効く。





そんなあざとい僕のおねだりに負けたノヴァにどの子を飼おうかと話を投げかける。


飼いたいのは僕だけど、きちんと相方の意見も取り入れないと。




「オスクロマオ。」

「分かった。」


オスクロマオは猫のような魔獣だ。


黒い煙になって移動する猫のような見た目をした魔獣で、冒険者や裏手のお仕事をしている人達に人気。

つまり僕との相性が良い魔獣だから絶対ノヴァはオスクロマオって言われるって思っていたので、さっそく影の中にドボンとして、オスクロマオを見つけ出し影から外に出る。



何体かは影の中に閉じ込めていて、後はどうなったのかは分からない。





僕は闇に溶けたって思っている。

数体閉じ込めておけるようになっただけでもすごい進歩なんだ。
僕頑張った。





「君の名前はぼんね。」


外に出た瞬間煙になろうとするので急いで名前を与えると、坊の体がうっすら光って暴れていた体からすっと力が抜けた。

手に持った時に男の子であることは確認した。


ちょっと無理矢理契約されて不満気な表情をしているが、ふんっと息を吐き出すと諦めたように僕の手の中で丸まって寝だしてしまった。






「変わった名前だ。」


「うん。お坊ちゃまの坊。」


「…そうか。」



名前の由来を聞いてノヴァが何故か遠い目をしているけど、坊って可愛い名前だと思うんだよね。




閉じ込めておいた数体の魔獣のうち二体を取り出して、それを捌いて焼いて食べた。

日も落ちてきたし、早くてもテトラ君達が戻ってくるのは明日。



見張りは護衛が代わる代わるしてくれるので、僕とノヴァは同じテントに入って眠るため毛布に包まる。




ノヴァが毛布にも魔法を付与してくれたので、全然寒くない。







しばらくしてぱちりと目を開いた僕は、隣のノヴァがぐっすりと眠りの世界に堕ちていることを確認してからそっとノヴァに背を向ける。


そして暗闇の中に手を突っ込んで眠っている坊を掴み出して体を撫でまわしながら坊をじっと凝視。






「やっぱり。」

ノヴァ達には言わなかったけど、ずっと気になっていた背中とお口。




ぽんっと強めに背中を叩くとばっと動いたそれ…黒い羽。

そしてぐいっとめくった皮膚の下に見える鋭い牙。




「キメラだ。」


観察して確信した結果によしっと頷く。


捕獲していた魔獣の中にはこの子以外のオスクロマオも居たのだけど、その中でこの子に決めたのは実は捉えた時に違和感を感じたから。

闇で一気に飲み込んだけど、取り込んだものはぼんやりと分かるのだけれどこの坊の情報だけがとても引っかかったのだ。




何と掛け合わされたものなのかは分からないけれど、まだ小さい個体だから自然とバレるまでは誰にも坊がキメラであることは言わないつもりだ。







____________


亀更新にも関わらずご愛読ありがとうございます。

しおり等の数が減っりする中、新たな読者様の通知もあり、そしていいねをしてくださったりエールをくださる読者様の中には何度か押してくださっている方もいらっしゃるのではないかと思います。

心より感謝申し上げます。



只今お気に入り登録者数が2.920となりました!
3.000が近づいており正直驚いています^^

修正についてご丁寧な指摘をしてくださる方もいらっしゃって、なるべく修正していっているのですが…最近更新があまりできてないことからもお話を進めることを優先させていただきたいと思います。
余裕ができましたら修正作業を行うつもりですのでどうぞよろしくお願いいたします!



感想 59

あなたにおすすめの小説

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。 【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】 本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。 Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited. © 魯恒凛 / RoKourin

転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】 10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした―― ※他サイトでも投稿中

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

【完結。一気読みできます!】悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

推しの運命を変えるため、モブの俺は嫌われ役を演じた

月冬
BL
乙女ゲームの世界に転生した俺は、ただのモブキャラ。 推しキャラのレオンは、本来なら主人公と結ばれる攻略対象だった。 だから距離を置くつもりだったのに―― 気づけば、孤独だった彼の隣にいた。 「モブは選ばれない」 そう思っていたのに、 なぜかシナリオがどんどん壊れていく。 これは、 推しの未来を知るモブが、運命を変えてしまう物語。

事なかれ主義の回廊

由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・