王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
267 / 425
第4章

許せないなって思ってた

しおりを挟む



じっと待つこと数時間。


いい加減魔力を放出し続けるのにも疲れ始めた頃に、ノヴァが返って来た。




「ルナイス、結界を張る。」


ノヴァは直ぐに僕が魔力を放出して警戒態勢でいることに気が付き、結界を展開してくれたので僕は魔力放出を止めた。

魔力量は全く問題ないのだけど、出て行っていた魔力の流れをぶった切るのでお腹がグルグルして気持ち悪い。







「おいでルナイス。」


お腹を擦る僕をベッドの上に胡坐をかいたノヴァが呼ぶので近寄れば、ひょいっと抱えられて胡坐の中にノヴァに背を向けるかたちで収められた。

後ろから回されたノヴァの手が優しく僕のお腹を撫でてくれて魔力の流れを整えてくれる。





ノヴァの温かい魔力にほっと息を吐き出し、この体制のままノヴァに話を促す。







「敵は闇魔法に適正を持つ者の集団だそうだ。アーナンダ国の者もいるが多くは他国出身の者が多い。推測だが…闇魔法適合者に対する排他的な思想の被害者が集まった末にできた集団だと思う。」


「なるほどね。アーナンダ国でも闇魔法適合者に対する扱いの悪さはまだ完全にはなくなっていないし、他国では適合者と分かったら即刻死刑なんて所もあるって聞くし生きていくために除け者同士群れてたら憎悪も膨れ上がってって感じかな。儀式っぽいのに関しては?」



僕はまだアーナンダ国で公爵家の息子として生まれたから露骨な扱いをする輩は少なかったけど、それでもいなかったわけじゃない。

今は亡きお爺様達しかり、暗殺者の雇い主の中には公爵家に闇魔法の適合者が居ることに嫌悪感を抱いていた者だっていた。



国が全属性に対する迫害を厳しく罰しているのにだ。






他国ではそもそも国が闇属性の適応者を認めないと公言している国があると聞いている。

そんな所で生まれていたら僕だってここまで生きていられなかっただろうし、生きれたとしてもそれは生き地獄であったと思う。


そんな中で生きてきたのなら、自分を害する者達を害される前に殺してやるって思うと思う。






もしかしたら彼等は闇属性に適応する者だけの国を造ろうと企んでいるのかもしれない。


それはそれで僕としては少し興味があるのだけど…




「儀式については奴はよく把握していないらしい。只…闇属性適合者が誰にも害されることなく生きられる世界にするには一度全てを壊す必要があるという思想を共通して持っているらしい。」


「へぇ。」




うん。

やっぱり僕は彼らの思想がよく分かってしまうな。



でもそれを許すわけにはいかない。

他国でのことなら面白いなって終わってたと思うけど、彼等が壊そうとしているこの場所には僕の大切にしているものたちが沢山ある。






「ここら辺がいい節目かもね。」


「ルナイス?」



「ノヴァ…人を殺せる力を持っているのはなにも闇魔法に限ったことじゃないよね。それなのに闇魔法だけが嫌悪される。アーナンダ国では今でこそそういった偏見や差別が少なくなったけど完全になくなったわけじゃない。」



「あぁ。そうだな。」



「他国では生まれて闇属性の適合者って分かった瞬間に首を落とされる子もいる。生きたまま火あぶりにされたり、拘束されて切りつけられたり殴られて長時間苦しめられた末に殺されたり…」



「あぁ。」




「僕ね常々思ってたの。って。だからこの事件を期にちょっと革命に挑戦してみようと思うんだ。」




この事があるよりずっと前、1歳の生誕祭くらいから…僕はずっと思ってたんだ。

僕より弱いくせに闇属性の適合者だからって暗殺者を仕掛けてきたり、見下したりする輩や無残に刈り取られる命の存在を知って僕の心にはずっと黒いモヤモヤが蓄積されていってた。



そしてある時ふっと思ったんだ。


こんなに気に入らないのなら壊しちゃえって。





もちろん今相手にしている奴等みたいに無関係の人達まで巻き込んで派手に破壊するつもりはない。







「手伝ってくれる?」


「もちろんだ。」




詳しい説明なんてしていないのに、僕に手を貸すと躊躇うことなく頷くノヴァが愛おしい。

僕の傍にはこうして絶対に味方でいてくれる存在が居たけれど、きっと今事件を起こしている彼等にはそういった存在が居なかった。



少しくらい救いがないと、彼等が生まれてきた意味が分からなくなってしまう。



彼等も


僕も






しおりを挟む
感想 57

あなたにおすすめの小説

王子のこと大好きでした。僕が居なくてもこの国の平和、守ってくださいますよね?

人生2929回血迷った人
BL
Ωにしか見えない一途な‪α‬が婚約破棄され失恋する話。聖女となり、国を豊かにする為に一人苦しみと戦ってきた彼は性格の悪さを理由に婚約破棄を言い渡される。しかしそれは歴代最年少で聖女になった弊害で仕方のないことだった。 ・五話完結予定です。 ※オメガバースで‪α‬が受けっぽいです。

【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。

夏灯みかん
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。 妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。

王太子殿下のやりなおし

3333(トリささみ)
BL
ざまぁモノでよくある『婚約破棄をして落ちぶれる王太子』が断罪前に改心し、第三の道を歩むお話です。 とある時代のとある異世界。 そこに王太子と、その婚約者の公爵令嬢と、男爵令嬢がいた。 公爵令嬢は周囲から尊敬され愛される素晴らしい女性だが、王太子はたいそう愚かな男だった。 王太子は学園で男爵令嬢と知り合い、ふたりはどんどん関係を深めていき、やがては愛し合う仲になった。 そんなあるとき、男爵令嬢が自身が受けている公爵令嬢のイジメを、王太子に打ち明けた。 王太子は驚いて激怒し、学園の卒業パーティーで公爵令嬢を断罪し婚約破棄することを、男爵令嬢に約束する。 王太子は喜び、舞い上がっていた。 これで公爵令嬢との縁を断ち切って、彼女と結ばれる! 僕はやっと幸せを手に入れられるんだ! 「いいやその幸せ、間違いなく破綻するぞ。」 あの男が現れるまでは。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

誰よりも愛してるあなたのために

R(アール)
BL
公爵家の3男であるフィルは体にある痣のせいで生まれたときから家族に疎まれていた…。  ある日突然そんなフィルに騎士副団長ギルとの結婚話が舞い込む。 前に一度だけ会ったことがあり、彼だけが自分に優しくしてくれた。そのためフィルは嬉しく思っていた。 だが、彼との結婚生活初日に言われてしまったのだ。 「君と結婚したのは断れなかったからだ。好きにしていろ。俺には構うな」   それでも彼から愛される日を夢見ていたが、最後には殺害されてしまう。しかし、起きたら時間が巻き戻っていた!  すれ違いBLです。 初めて話を書くので、至らない点もあるとは思いますがよろしくお願いします。 (誤字脱字や話にズレがあってもまあ初心者だからなと温かい目で見ていただけると助かります)

秘匿された第十王子は悪態をつく

なこ
BL
ユーリアス帝国には十人の王子が存在する。 第一、第二、第三と王子が産まれるたびに国は湧いたが、第五、六と続くにつれ存在感は薄れ、第十までくるとその興味関心を得られることはほとんどなくなっていた。 第十王子の姿を知る者はほとんどいない。 後宮の奥深く、ひっそりと囲われていることを知る者はほんの一握り。 秘匿された第十王子のノア。黒髪、薄紫色の瞳、いわゆる綺麗可愛(きれかわ)。 ノアの護衛ユリウス。黒みかがった茶色の短髪、寡黙で堅物。塩顔。 少しずつユリウスへ想いを募らせるノアと、頑なにそれを否定するユリウス。 ノアが秘匿される理由。 十人の妃。 ユリウスを知る渡り人のマホ。 二人が想いを通じ合わせるまでの、長い話しです。

乙女ゲームのサポートメガネキャラに転生しました

西楓
BL
乙女ゲームのサポートキャラとして転生した俺は、ヒロインと攻略対象を無事くっつけることが出来るだろうか。どうやらヒロインの様子が違うような。距離の近いヒロインに徐々に不信感を抱く攻略対象。何故か攻略対象が接近してきて… ほのほのです。 ※有難いことに別サイトでその後の話をご希望されました(嬉しい😆)ので追加いたしました。

婚約破棄されて捨てられた精霊の愛し子は二度目の人生を謳歌する

135
BL
春波湯江には前世の記憶がある。といっても、日本とはまったく違う異世界の記憶。そこで湯江はその国の王子である婚約者を救世主の少女に奪われ捨てられた。 現代日本に転生した湯江は日々を謳歌して過ごしていた。しかし、ハロウィンの日、ゾンビの仮装をしていた湯江の足元に見覚えのある魔法陣が現れ、見覚えのある世界に召喚されてしまった。ゾンビの格好をした自分と、救世主の少女が隣に居て―…。 最後まで書き終わっているので、確認ができ次第更新していきます。7万字程の読み物です。

処理中です...