王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第4章

素敵なレストラン

「はい!このお席にどうぞ!」



ヨンギが案内してくれた席に座ると、その席からはとっても素敵なお庭が見えた。

小さなお庭だけどほんのりと発行する花達はどれも活き活きとしていて、幻想的で神秘的なすごく素敵な雰囲気だ。





コト


「騒がしい子ですみませんねぇ。ヨンギに無理矢理連れてこられたのではないですか?」


「いいえ。一生懸命に呼び込みをしているヨンギが可愛くて僕達から案内をお願いしました。とっても素敵な席に連れてきてもらえて、ヨンギにお願いしてよかったです」



「あらあらぁ、ありがとうございますねぇ。大したものは出せませんが、どうぞごゆっくりお過ごしくださいませ」




人数分のお水を出してくれたのは恐らくヨンギの母親で、始めは心配そうな様子だったけれど僕の言葉に次第に顔から不安は消え、ニコニコと笑い一礼すると厨房へ戻って行った。

たぶん僕達がただの一般市民ではないと分かって、ヨンギに何かされないかと心配して出てきたのだと思う。




メニュー表を見ている間、厨房の前でドキドキした様子のヨンギが僕達に呼ばれるのを待っていて、チラチラと向けられる視線が可愛い。


あんまりこういう可愛い視線って向けられてこなかったから、何だかとってもくすぐったい気持ちになっちゃう。







ヨハネスとガンナーも席に座らせて、皆注文するものが決まったところで「お願いしまーす」とヨンギを呼ぶと「はい!」という明るく元気な返事が帰ってきて僕の口角がぎゅんと上がってしまう。

ヨンギの立派な尻尾がブンブンと揺れているのもあって可愛いが止まらない。






「かしこまりました!少々お待ちくださいませ!」

注文を聞き終えたヨンギはニコっと笑うとスキップ混じりに厨房へと入って行って、その姿を僕だけじゃなくて皆が微笑ましく見送った。



しばらく庭に見惚れながら皆で談笑していると、厨房の方からヨンギがお皿をカタカタ震わせながら慎重に運んできてくれた。



「は…はい、おまちどうさま、です!」

コトリと大きな音を立てずに机に無事運べたヨンギは達成感に満面の笑みを浮かべていて、僕達もヨンギが無事に料理を運べたことに自然と笑みがこぼれる。


その後の料理も全てヨンギが慎重に丁寧に運んできてくれて、ヨンギの母の料理もとっても美味しかった。



見たことがない料理を食すなかで、これはなんだろう?と首を傾げる僕達を見たヨンギはすかさずそれが何かを教えてくれた。

けど、しっかりと隠し味は秘密だと教えない辺り流石商売人の卵だ。






そろそろお店を出ようかと立ち上がるとヨンギが尻尾を垂らして「帰るの?」と寂しそうに聞いてきて、もう少し居てあげたい気持ちもあるが僕達も南の地に入れる期間は限られているし、他にも興味をそそる場所が沢山ある。


「こらヨンギ。お客さまを困らせてはいけません」

「あでっ…でもでもー!」


母親に頭をペチンと叩かれて、ついに涙を流し出したヨンギに母親が困ったように笑う。



「ごめんなさいねぇ。美味しそうに食べてくれるから私達嬉しくて。気になさらず行ってくださいな」



母親が片手でヨンギの頭を撫でながら僕達に行くように促してくれるが、此処ではいさようならだけでは僕だって寂しい。








「ヨンギ、頻繁には無理だけど…また食べに来るね。あと本当に美味しかったから沢山の人に宣伝してくるよ。そしたらお客さんがいっぱいになっちゃって寂しいよりも大変になるかも!」


その場にしゃがみこんでヨンギと目線を合わせる僕に、母親が慌てるけれどノヴァが大丈夫だと落ち着かせてくれて、僕はヨンギの目を見てしっかりとお話する。

ちょっとおどけて言ってみせたけれど、たぶんこのお店は近々本当に繁盛して、ヨンギは寂しい気持ちを忘れちゃうくらい忙しくなると思う。




「…待ってる…その時は!僕もご飯作って美味しいって言ってもらえるように頑張る!」



「うん。楽しみにしてる。あっ、そうだ…ヨンギは名乗ってくれたのに僕は名前を伝えてなかったね。僕はルナイス。よろしくね」




「!!」


「ルナイス、な!絶対また来てね!」






僕の名前を聞いて一度落ち着いた母親が動揺したのが分かったけれど、僕はそれに気が付かないふりをして立ち上がった。






「俺はノヴァと言う。またなヨンギ」


「うん!ノヴァもまたね!」



ノヴァもヨンギに手を振って、彼等に背を向ける。

背後で母親があわあわとしている様子が伺えるが、何も知らないヨンギは元気よく「またねー!」と手を振っていて、それに対してまた母親があわあわしていて…そんな別れにクスクスと笑いをこぼしながら僕達はお店を後にした。







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