326 / 427
第5章
父上が軟禁されている
ホルス様率いるドラゴン達が魔界に行ったのを見送って、僕達は転移魔法でアーバスノイヤー家の屋敷へと移った。
既に王家より僕がドラゴン達を引き連れて国外へ出て行こうとしていると通達が来ていたアーバスノイヤー家はてんやわんやだったようで、久しぶりの実家に帰宅早々ワイアットから叱られた。
これまで国を守るのに大活躍してくれていたドラゴン達が国からいなくなるという件は国民達に大きな混乱を招くとして、今はまだ王家とアーバスノイヤー家など一部の者のみにしか知らされていないようだが、内容が内容なだけに仕事中のとーさまやとーさまを補佐するワイアット達は大忙し。
しかもどうして僕がドラゴン達と共に国出をしようとしたか最後に接触した人物、殿下に聞きだしたとーさまは自業自得だと僕を探し出すことと、止めることを拒否したそうで国王から緊急時に動かずしかも息子が国を危険に晒したとして王宮に軟禁されているらしい。
流石に牢に入れられることはなかったようだが…僕の行動のせいでとーさまが軟禁されていると状況に目の奥が熱くなる。
「父上は自分でどうにかなさるだろう。ワイアット王家と対話をする場を設けてほしい。無論ルナイスだけではなく、私やノヴァ、それから近衛騎士団及び王国騎士団に王家がドラゴンをどのように扱おうとしたのかを話しを広めておいてくれ」
「承知しました。ルナイス様、当主様には貴方が無事アーバスノイヤー家に帰ってきたことは既に伝えてあります。当主様からは『アーバスノイヤー家の綱を握っていると錯覚している哀れな王族に思う存分喰らいついてやれ』との伝言を預かっております」
にぃ様の指示に礼を取ったワイアットは部屋を出ていく前に僕の前に立ち、少し腰を折って僕と目線を合わせとーさまからの伝言を教えてくれた。
ワイアットの目からは怒りはなく、ただ優しさだけがあった。
コクリと頷いた僕にワイアットはふっと笑うとキビキビと動き出し、部屋を出て行った。
「俺は一度ヒル家に戻る。父上達にこの事は伝えておいた方がいいだろうし、今回の件についてはきっと父上も王家に味方しないだろう。アドルファス、馬を借りるぞ」
ヒュー様はそう言って、にぃ様の返事も待たず部屋を出て行った。
アーバスノイヤー家の馬はいざという時に戦地を駆けられるよう訓練された馬だから見知らぬ者が乗るのは難しいのだけれど、小さい頃からヒュー様はよくにぃ様と遊びに来ていたし、あの人あれで動物には好かれるタイプなんだよな。
だから馬を一頭連れていかれても特に気にしなくていいのだけど…せめて返事を聞いてからっと思うのは僕だけだろうか?
「…王家も焦っているだろうから今夜辺りには会う場が設けられるだろう。それまでに食事をとっておこう」
「ア、アドルファス様。その…今人手が足りず」
「問題ありません。既に用意は整っています」
にぃ様の言葉に恐る恐る声を上げた使用人の言葉を遮ったのはレオ。
何故か不機嫌な顔を隠しもせず、にぃ様を睨みつけている。
「アドルファス様…俺の事蹴り落としましたよね?」
「…なんのことだか」
「覚えてろよ」
レオが言う蹴落としたという言葉に、きっと僕が国出しようとした時にドラゴンにレオも飛び乗ろうとしたけれどにぃ様に阻止されたんだと知る。
にぃ様は無表情で素知らぬ顔をしているが…
「取り合えず食事にしよう」
視線をレオと合わせないにぃ様はそう言って話を逸らしたが、レオはそれ以上追及することはなく礼を取って扉をバァン!と開け「どうぞ」と促してくれた。
あなたにおすすめの小説
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】
本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。
Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited.
© 魯恒凛 / RoKourin
転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】
10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした――
※他サイトでも投稿中
聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。
三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。
そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。
BL。ラブコメ異世界ファンタジー。
【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!
煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。
処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。
なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、
婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。
最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・
やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように
仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。
クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・
と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」
と言いやがる!一体誰だ!?
その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・
ーーーーーーーー
この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に
加筆修正を加えたものです。
リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、
あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。
展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。
続編出ました
転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668
ーーーー
校正・文体の調整に生成AIを利用しています。
【完結。一気読みできます!】悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!
はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。
本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる……
そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。
いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか?
そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。
……いや、違う!
そうじゃない!!
悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!!
推しの運命を変えるため、モブの俺は嫌われ役を演じた
月冬
BL
乙女ゲームの世界に転生した俺は、ただのモブキャラ。
推しキャラのレオンは、本来なら主人公と結ばれる攻略対象だった。
だから距離を置くつもりだったのに――
気づけば、孤独だった彼の隣にいた。
「モブは選ばれない」
そう思っていたのに、
なぜかシナリオがどんどん壊れていく。
これは、
推しの未来を知るモブが、運命を変えてしまう物語。
事なかれ主義の回廊
由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・