王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
338 / 427
第5章

強い刺客


とーさまに事細かに各国王についてお話しておこうかなっと思ったけれど、また僕が宰相さんに提出した報告書を見ることになるから今はいいよって言ってくれた。

一仕事終えた僕だけれど、今夜も夜のお仕事が待っているので食事を終えた後身支度を整えてから実家を出た。



城付近の山や森から他国からの侵入者が数名居たが、とーさまが言っていた通り少し前よりも数は減って落ち着いてきているように思う。



「邪魔をするな!!」


ニャオン



「ぐわぁあ!」




いっぱい頑張ってくれたし出て来なくていいよっと坊には言ったのだけれど、今夜も僕を助けてくれている。

黒い霧に包まれた刺客は次の瞬間には体中引っ掻き傷まみれになって地面に倒れる。


坊は相手の急所を良く理解していて、足のアキレス腱を切るのが十八番。



それにどういう仕組みか、坊は自分から出した黒い煙の中に相手を取り込んでいて…たぶん食べているんだと思う。

一応魔獣だし。

魔力を持った人間はオスクロマオにとって食事だし。





その辺りを坊に詳しく聞いたことはないし、たぶんこれからも聞かない。


知らなくてもいいことってあるよね。








それに無闇矢鱈に食べるわけじゃない。

何かもう更生することもないし、降伏したように見せて僕に攻撃を仕掛けようとする奴とかそんな輩をよく取り込んでいるように思う。


詳しくは聞かないけど。






「他にはいなさそうだね。帰ろうか坊」


ニャン


今夜は5名ほど処理して、身柄を拷問専門の部署に渡してさぁ、帰ろうっとした時だった。





ヒュン!


「ぐっ!」


城の門を越えた所で僕の腕に貫通した矢。


まったく気配がしなかったし、坊だって反応していなかった。
それに僕にはノヴァが常に結界を張っているから本来なら不意を突かれたとして、矢が僕の腕に貫通することはおろか、当たることだってないはず。



城の近くということもあり、引くことはできない。

此処で僕が闇の中に潜ればこれ以上の攻撃を受ける心配はないだろうけど、敵が城内に入ってしまってはいけない。



矢の向きを考えるに、相手がいるのは城とは反対の方向。
毒が塗られているのか血が止まらないし、視界がぼやけてきた。





今なお、気配を感じさせない相手が今までの比じゃないくらいの強者であることは間違いないとして、霞む視界の中でどう動けばいいかを瞬時に考え動き出す。


風魔法で城の外にある近くの気をすべて切り倒し、砂埃が舞っている間に適が居るであろう場所まで走る。



坊も黒い霧となってあたりを見て周っているが、見つからない。





結界が壊されたことはノヴァも分かっているだろうからすぐに駆け付けてくれるだろう。

それまでにどうにか敵を捕まえるまではいかずとも、見つけたい。




敵が闇属性であることも考えてここら一体の影は全て僕が支配しているけれど、他者の干渉があった感覚はない。





ヒュン!


「っ!」


再び聞こえてきた風を切る音に重力魔法を使って対応すると、すぐ傍の地面に粉々になった矢が落ちていた。





『坊!東だ!』


念話で坊に伝え、僕も右を向いたところで今度は背後から風を切る音。


これも防いだが…これでまた敵の位置が分からなくなってしまった。







「面倒だなぁ」

イラっとした僕は魔力を辺りに放出し、自分とは違う魔力を感知した方へと走り出す。



ヒュッヒュっと僕に向かって幾つもの矢が放たれるけれど、すべて無効化するので矢は僕に届く前に地面に落ちていく。

焦った相手の気配が濃くなったことで、より正確に場所を特定することができたのでそこへ向かって思いっきり重力魔法をぶっ放す。






「ぎゃっ!!」

地面に叩きつけられた敵は一瞬悲鳴を上げたが、上から押さえつけられ胸が圧迫され空気も据えていない為それ以上声を上げることができないでいる。

腕をやられてムカついたから膨大な魔力を使って重力魔法で潰してやろうと思ったのだけど、この敵がどこから雇われてやってきたのかを聞き出さなければならないと冷静な思考もあって、殺さない程度に調節したのでギリギリ相手は死んでいない。




姿を現した敵を拘束魔法で捕らえてから重力魔法を解いたところで体がふらっと傾いた。







感想 59

あなたにおすすめの小説

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。 【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】 本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。 Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited. © 魯恒凛 / RoKourin

転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】 10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした―― ※他サイトでも投稿中

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

【完結。一気読みできます!】悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

推しの運命を変えるため、モブの俺は嫌われ役を演じた

月冬
BL
乙女ゲームの世界に転生した俺は、ただのモブキャラ。 推しキャラのレオンは、本来なら主人公と結ばれる攻略対象だった。 だから距離を置くつもりだったのに―― 気づけば、孤独だった彼の隣にいた。 「モブは選ばれない」 そう思っていたのに、 なぜかシナリオがどんどん壊れていく。 これは、 推しの未来を知るモブが、運命を変えてしまう物語。

事なかれ主義の回廊

由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・