王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

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第5章

届いた手紙と恐ろしい付与札sideヒュー

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戦地に足を踏み入れてからどれくらい経ったか…


もう数えるのも嫌になってしまったが、一日でも数秒でも早く帰って可愛い弟の無邪気な笑顔を見たい。




「アドルファス様、ホルス様よりルナイス様からの手紙を預かってまいりました」

さっと何時の間にか近くに跪いていたのはアーバスノイヤー家の伝達係、たま。

過去にルナイスの命を狙ったスラム出の者だが、ルナイスが気に入ってアーバスノイヤー家の駒となった男だ。



たまから受け取った手紙を呼んだ親友、アドルファスは眉間に皺を寄せ手紙に同封されていたらしい付与札を睨みつけている。







「なんだそれ」


「…ルナイスの魔力を多く含んだ闇奈落の付与札、だそうだ」



アドルファスからの返答に俺の眉間にもぐっと力が入り、同じようにアドルファスの手にある付与札を睨みつけた。





「…一刻もはやく終わらせねばならんな」


「あぁ。それは…使うなよ?」


「…分かってる」





お互い微妙な顔をしながら視線を交わし、そしてそれぞれの隊の元へと向かう。




あれを使えばこの戦争は一瞬で終わるだろうが、相手側は遺体も残らないし下手をすれば数日は誰も足を踏み入れれない土地になる可能性がある。

そうなった場合の責を背負う覚悟があるからこうして万が一に備えて俺達にあの付与札をよこしたのだろうが…正直何てもん送ってきてんだって頭に拳をぶつけてやりたい。




しかし手紙の最後に書いてあった『早く会いたい』という言葉に口角を上げられずにはいられない。


アドルファスにとってはもちろん、俺にとってもルナイスは目に入れても痛くないほど可愛い弟なわけで…そんな弟が早くい会いたいと言い、あんな物騒なもん送りつけてくるんだ。






「「今から2日で全てを終わらす!!」」




俺とアドルファスの声が重なり、俺達の言葉に力強く湧く声が更に重なって空気がビリビリと震える。

この場にルナイスが居たら耳を塞いで五月蠅いって文句を言いそうだ。
















そうして俺達は宣言通り2日で、敵を追い返し戦争を終わらせ、ノヴァが再び敵の侵入がないよう広範囲の結界を張ったことでやっと帰還することが叶った。


いくら魔力豊富で魔法の才に富んだノヴァでも戦で魔力を消費している中、広範囲の結界魔法を展開した時にはぶっ倒れてしまいアドルファスと共に慌てたが、ノヴァは体に上手く力が入らないだけで問題はないと言い張った。

ノヴァが回復するのを待って帰還しようとする俺達にノヴァはルナイスから送られてきた魔法付与札を出すよう告げた。





アドルファスは渋い顔をしたし、俺も必死で止めたがどうやらノヴァは付与札を使用するつもりはないらしく付与札に篭められているルナイスの魔力に用があったらしい。


付与札に触れたノヴァの手の方へ黒い煙状の魔力が流れていくと、段々とノヴァの顔色が良くなり一人で立てるまでになった姿を見て、小さい頃からノヴァがルナイスの魔力循環をしていたこともあるだろうが二人の相性が抜群に良いことが分かる。





「おまたせしました。一刻も早く帰還しましょう。つい先日ルナイスは刺客に毒を盛られて意識を失っていましたし、どうやらルナイスを排除もしくは手に入れようと企む馬鹿共がいるようなので」


回復したノヴァは苛立たし気にとんでもないことをぽろっと言い出し、それを聞いたアドルファスはもちろん、俺も初耳の衝撃内容にその場の処理を部下に任せ転移陣で急いでアーバスノイヤー家へ帰還した。







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