王家の影一族に転生した僕にはどうやら才能があるらしい。(完結)

薄明 喰

文字の大きさ
382 / 427
第5章

にぃ様が難しい顔して迎えにきました

国王様に報告を入れた翌日、家ににぃ様が騎士服を着てやって来た。



扉の向こうでビシッと立つにぃ様のお顔はすごく厳しい。

ついでに隣にいるノヴァのお顔も昨日の夜から厳しくなっていて、眉間の皺がどんどん深くなっていっている。





「ルナイス。至急城へ行く準備を」


「…はい」



にぃ様を僕の元へ送ってくるあたり、国からの本気度が伺える。

まぁ…あの報告を聞いてのんびりなんてしていられないのは当然のことだし、こうなることは予測していたから準備はすぐにできた。


にぃ様達近衛騎士が持ってきた護送用の馬車に乗って城へ着いたのだけど、今回僕が連れて来られたのは裏の門。



近衛騎士の数も最低限であったし、詳細が掴めない今あまり民達の心をざわつかせたくないのだろう。
大分落ち着いたとはいえ、アーナンダ国はこの間まで戦争をしていて皆普通に生活は送れていたが不安な日々を送っていたのだ。

再び不安を煽るような行動は控えるべきだろうと僕も思う。












「よく来たな。さて、あまり時間もないのでな。分かっていることを全て申せ」


部屋に入ってすぐ、僕が席に着く前に国王がそう言ってきて、まるで僕が罪人で尋問を受けるようだと思ったのは僕だけではなかったようで、国王様の隣に立っている宰相様がごほんっと咳ばらいをして恐らく注意をしたのだろうがそれが国王に正しく伝わったかは不明だ。

ただ、眉をぴくっと動かしたから何となくは感じ取ってくれたと信じよう。



国王様からの問いにすぐには答えず、取り合えず勧められた席に着席をしふっと息を吐き出す。




「報告が入ったのは昨日の昼前。情報源は孤児院で暮らす孤児です」

「孤児だと?」



「はい。下町のことや王都から離れた所は僕だけの力では目や耳を向けるのに限界があるので、信頼できる孤児院に一定の定期的な寄付金を送ることを条件に孤児に怪しい情報や町の様子等の情報を報告してもらっています」

「孤児にまともな善悪の判断が出来るとは思えんがな」


「幼い子の方がよくよく周りの大人達を見ているものですよ。そして孤児院に暮らす子は特に人の悪感情に敏感なのです。一度孤児院にご訪問に行かれてはどうでしょう?最近は訪問をされていないと耳にしておりますし、良い機会になるのではないでしょうか」



国王様は孤児からの情報が正しいとは思えないと言うが、彼等からの情報を無下にすることは出来ない。

元々周りの状況をよく観察する子達が、僕から常に聞き耳を立てておくよう言われている中いい加減な情報を僕に渡すとは考えにくい。


彼等は大人が思っている以上によく周りを見て状況を判断し、自分達にとって利となる人物を見極めている。




大人は子供というだけで彼等の言葉を馬鹿にしたり、さして気にしないがそれは愚かなことだと思う。

大人の方が知恵や欲望によって平然と嘘をついたり、人を欺こうと企むものだ。
大人からの情報の方が僕は当てにならないと思っている。





国王様に嫌味をこめて放った言葉に国王様が歯をぐっと食いしばったが、そうだなっと言うだけでそれ以上の言葉を飲み込んだようだ。

これで言い返してくるようならば、僕は早急な世代交代を願い出ていた。









「その子は西の森の中で不審な人物がいるのを目撃しました。草木に身を隠し観察しているとその人物の元へもう一人大きな人物がやってきたそうです。そしてその大きな人物は草木に身を隠していた子にすぐ気が付き害をなそうと近づいてきたので子は慌てて逃げたというので獣人であった可能性が高いと思われます。その後、その子を引き取りたいと願い出た貴族が現れ、事前に子から不審な人物について聞いていた院長が警戒しその子は重い病気持ちで命が長くないのでと申出を断ったのですが、その辺りからずっと孤児院の周りをうろつく不審な人物が目撃されています。此処にはすでに僕からお願いして王国騎士団の騎士を派遣して頂き、僕からも数名の警備隊を派遣しており数名を捕獲しております。そして今朝方、不審な人物を捕らえたようですがそのものは何人も介して人づてに孤児の誘拐を依頼された只のごろつきで、依頼主の特定にはいたらないとの報告が入っております」


「その子は別の所で保護したほうがいいのではないでしょうか?」



「いえ。下手に動かして道中で襲われては子に悪影響ですし、大切な護衛も怪我をする恐れがあります。その危険を犯すくらいならば孤児院に騎士を派遣し、孤児院全体を対象にした方が守りやすいかと」





支援課のナッパ子爵がされた質問に答えるとなるほどっとすぐに理解を示してくれた。

ちなみにナッパ子爵はあのドラゴンの会議の場で蛮族共から僕を守護した功績を評価され、横領しまくりだった前支援課課長を排除し新たに子爵が就任されたのである。


始めは身に余りますっと右往左往オタオタしていた子爵だけれど、前支援課課長が横領ばかりして他のやるべきことを捨て置いた為に溜まりに溜まった仕事にそんなオタオタもしている暇がないほど常に動き回っている。

彼の体が以前お会いした時よりも一回り細く見えるのは錯覚や記憶違いではないだろう。






__________


【お知らせ】
察している方もいらっしゃるかもしれませんが、こちらの物語がなかなか執筆が進まず…
実を言うと今書いているお話はクライマックスに向けて綴っています。

納得のいくエンディングのためにもなかなか話を進めることができず更新が不定期になっています。
(もともと不定期ですけど)


なので、短編の方の新たなお話を少しずつ公開していきますので
よかったらそちらもご覧ください。


いつも拙い物語をご愛読くださり心から感謝申し上げます。
正直もう綴ることを断念しようかなっと思うことは何度もありましたが
いいねやエール、お気に入りにとても励まされもう少し続けようとここまで頑張ってこれました。


趣味で始めたことですが、読者の方の存在って本当に力になるんだなっと実感しています。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。


感想 59

あなたにおすすめの小説

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。 【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】 本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。 Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited. © 魯恒凛 / RoKourin

転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】 10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした―― ※他サイトでも投稿中

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

【完結。一気読みできます!】悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

推しの運命を変えるため、モブの俺は嫌われ役を演じた

月冬
BL
乙女ゲームの世界に転生した俺は、ただのモブキャラ。 推しキャラのレオンは、本来なら主人公と結ばれる攻略対象だった。 だから距離を置くつもりだったのに―― 気づけば、孤独だった彼の隣にいた。 「モブは選ばれない」 そう思っていたのに、 なぜかシナリオがどんどん壊れていく。 これは、 推しの未来を知るモブが、運命を変えてしまう物語。

事なかれ主義の回廊

由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・