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「これ、プレゼント」
「わぁ嬉しいです!ありがとうございます!」
彼女は悩んで選んだ物を喜んでくれた。その姿に安堵した。
今日はやっとデートに誘える事が出来た。女の子と二人きりなんて余り無い経験に胸がざわめく。
そして色々な場所を二人で回った。談笑したり映画を見たり。よくあるデートみたいな事をした。
彼女は沢山の笑顔を見せてくれたが、正直言うと俺は少し疲れて笑顔を作る気力は無かった。慣れない場所ばかりで、それに格好悪い所は見せないようにと意識する事で精一杯。案外、デートというものも楽じゃないな。
「あの、よくこの人と居ますよね?」
突如、彼女がカフェで見せてきたスマホの画面に映る彼。それは、あの後輩くんだった。
「教育係でしたよね? もし宜しければ、連絡先とかって教えてくれませんか?」
「ど、どうして?」
「実は私、一目見た時から好きで」
ーENDー
呆気ない恋だった。
顔を赤らめる彼女は可愛らしい。そんな彼女の恋を応援するのが真の格好良い漢だ。
でも、何だろう。教えたくない。
「好きなら、自分で聞くべきだと思うよ」
「でも、教えてくれないんですもん。お願いします。優しい先輩なら協力してくれますよね?」
彼女は期待が帯びた瞳で俺を見つめる。
でも俺は口を閉ざしたままだった。彼の連絡先は意地でも教えたくなかった。
「ごめん」
「……そうですか。あ、私ちょっと席を外しますね」
明らかに落胆していた。
仮にも好きだった彼女のそんな姿を見ても俺は教えようとは思わなかった。
例え断れても諦めずにアタックすればいいのに、こんなの俺がまるで都合の良い道具みたいじゃないか。悔しい思いと苛立つ思いが混ざって俺はもうこの店から出たい気分だった。
先に会計を済ませて今日は帰ろうと席を立ち上がった時、裏の方から彼女の声が聞こえた。
「ーーうん、最悪。冴えない野郎に夢見させてやったのに結局ゲット出来なかった。何であんなケチ男には渡すのに私は駄目なの。マジ最悪」
誰かと電話をしている様子の彼女。
最悪なのはこっちだ。
あーあ、まあそうですよね。俺なんかにこんな可愛い子が振り向くわけないか。うんうん、仕方ない。いつも俺は選ばれないし。
「てか、所詮顔だけの男の癖にあそこまでお高ぶってさぁ、あの男も自分で聞けとか言ってたけど、とっくにしてるっつーの。あー、本当腹立つ」
「顔だけじゃないよ」
「え?」
彼女が振り向き俺と目が合う。
思わず出た声。でも後悔は無かった。
「顔だけなんかじゃない。仕事もいつも頑張ってるし周りもよく見ているし、君と違って性格も格好良いから」
「は、な、何それ? 性格悪いのはどっちよ」
「煩い!ばーか!!」
年甲斐のなくそう叫んだ。すると、彼女は顔を赤くして出て行った。俺も同じく会計も済ませた事だし周囲の視線から逃げるように店から出た。
「……あーあ」
俺は恋に向いてないのかもしれない。いつも、こうして失敗してしまう。でも、今回の自分の行動に悔いは無かった。我ながら、最後に言ってやれて満足である。
でも、心の傷は知らないフリをしてもやはり痛くて。どうしようもなく胸が苦しかった。
会いたい。
馬鹿ですねってまた笑われても良いから一緒に居て欲しい。優しくして欲しい。今日だって格好良い所を見せることばかり頭に入れていたが、本当は素で気楽に話せる彼と居たい。オシャレなカフェよりも安い居酒屋で硬い肉を食べてた方がずっと楽しい。
会いたい、会いたいよ。
「わぁ嬉しいです!ありがとうございます!」
彼女は悩んで選んだ物を喜んでくれた。その姿に安堵した。
今日はやっとデートに誘える事が出来た。女の子と二人きりなんて余り無い経験に胸がざわめく。
そして色々な場所を二人で回った。談笑したり映画を見たり。よくあるデートみたいな事をした。
彼女は沢山の笑顔を見せてくれたが、正直言うと俺は少し疲れて笑顔を作る気力は無かった。慣れない場所ばかりで、それに格好悪い所は見せないようにと意識する事で精一杯。案外、デートというものも楽じゃないな。
「あの、よくこの人と居ますよね?」
突如、彼女がカフェで見せてきたスマホの画面に映る彼。それは、あの後輩くんだった。
「教育係でしたよね? もし宜しければ、連絡先とかって教えてくれませんか?」
「ど、どうして?」
「実は私、一目見た時から好きで」
ーENDー
呆気ない恋だった。
顔を赤らめる彼女は可愛らしい。そんな彼女の恋を応援するのが真の格好良い漢だ。
でも、何だろう。教えたくない。
「好きなら、自分で聞くべきだと思うよ」
「でも、教えてくれないんですもん。お願いします。優しい先輩なら協力してくれますよね?」
彼女は期待が帯びた瞳で俺を見つめる。
でも俺は口を閉ざしたままだった。彼の連絡先は意地でも教えたくなかった。
「ごめん」
「……そうですか。あ、私ちょっと席を外しますね」
明らかに落胆していた。
仮にも好きだった彼女のそんな姿を見ても俺は教えようとは思わなかった。
例え断れても諦めずにアタックすればいいのに、こんなの俺がまるで都合の良い道具みたいじゃないか。悔しい思いと苛立つ思いが混ざって俺はもうこの店から出たい気分だった。
先に会計を済ませて今日は帰ろうと席を立ち上がった時、裏の方から彼女の声が聞こえた。
「ーーうん、最悪。冴えない野郎に夢見させてやったのに結局ゲット出来なかった。何であんなケチ男には渡すのに私は駄目なの。マジ最悪」
誰かと電話をしている様子の彼女。
最悪なのはこっちだ。
あーあ、まあそうですよね。俺なんかにこんな可愛い子が振り向くわけないか。うんうん、仕方ない。いつも俺は選ばれないし。
「てか、所詮顔だけの男の癖にあそこまでお高ぶってさぁ、あの男も自分で聞けとか言ってたけど、とっくにしてるっつーの。あー、本当腹立つ」
「顔だけじゃないよ」
「え?」
彼女が振り向き俺と目が合う。
思わず出た声。でも後悔は無かった。
「顔だけなんかじゃない。仕事もいつも頑張ってるし周りもよく見ているし、君と違って性格も格好良いから」
「は、な、何それ? 性格悪いのはどっちよ」
「煩い!ばーか!!」
年甲斐のなくそう叫んだ。すると、彼女は顔を赤くして出て行った。俺も同じく会計も済ませた事だし周囲の視線から逃げるように店から出た。
「……あーあ」
俺は恋に向いてないのかもしれない。いつも、こうして失敗してしまう。でも、今回の自分の行動に悔いは無かった。我ながら、最後に言ってやれて満足である。
でも、心の傷は知らないフリをしてもやはり痛くて。どうしようもなく胸が苦しかった。
会いたい。
馬鹿ですねってまた笑われても良いから一緒に居て欲しい。優しくして欲しい。今日だって格好良い所を見せることばかり頭に入れていたが、本当は素で気楽に話せる彼と居たい。オシャレなカフェよりも安い居酒屋で硬い肉を食べてた方がずっと楽しい。
会いたい、会いたいよ。
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