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しおりを挟む男なのに参加していいの?でも同性婚したし女認定されるのかな。他に男が参加することなんて無いだろうし、なんだかとても浮きそうだけど。
だが、イレネ様は顔を輝かせて僕の顔色を伺っている。こんな女の子が期待に満ちた表情をしているのだ。期待に応えないはずがない。
「いや、へズはちょ」
「行きます!よろしくお願いします」
「あら嬉しい!楽しみに待ってますわ。また予定が決まり次第連絡しますね」
花弁が開くような笑顔を浮かべるイレネ様に、僕の心も明るくなる。僕が参加するだけでこんなに喜んでくれるなんて、身に余る光栄だ。
そして、イレネ様は宝石が装飾された如何にも高そうな馬車に乗り姿を消した。
つい勢いに乗って頷いてしまったが、婦人会でどんな対応をするべきか分からない。心配だなぁ。てか男が参加するなんて変質者と勘違いされそうだ。
胸に重い不安が伸し掛る僕以上に、ガディウスは仏頂面を浮かべている。
「な、なんだよ。ガディウス」
「婦人会なんて行く必要ねえのに、ったく面倒だなぁ」
「でもイレネ様、来て欲しそうだったじゃん」
「どーだかな。俺がまた断っとくから大人しくしてろ」
「なんでだよ!てかまたってなんだ?さっきもイレネ様が断られるって言ってたし、お前まさか勝手に断ってたのか」
ガディウスの悪癖、勝手に断り癖がまさかまた再発したのか。あんなにやめろと言ったのに。
僕が睨みつけると、ガディウスは眉間に寄せていた皺を緩めた。珍しくガディウスが真顔になり僕も息を飲む。
「テヘペロ」
場が静まる。
わなわなと身体が震え、拳に力を入れた。
「……このっ、ガディウス!また勝手に人の意思を無視して!良い奴だと思ってたのに見損なったぞ」
「いやぁ、だってどうせへズに言っても素直に言うこと聞いてくれねえじゃねえか」
「一言確認くらいはしろよ!」
「ごめんごめん。てかヘズ俺の事良い奴だと思ったの今更!?こんなにジェントルマンなのに」
どこがだよ。勝手に人の誘い断る奴がジェントルマンなわけが無い。僕が真剣に怒ってるのにガディウスはまだふざけた態度をとっている。マグマのような怒りがふつふつと湧いてきた。
ガディウスは流石に僕の怒りに気付いたのか「ヘ、ヘズサァン」と掠れた小声で僕の名前を呼ぶ。
「次は邪魔するな!絶対今回は行く!絶対に!」
「ええ、へズなんでだよぉ。ポアリエの嬢ちゃんに一目惚れでもしたか?悪いけどあの嬢ちゃん面食いだぞ」
「そんな色ボケじゃない!お前と違って。僕は、お前の妻だから行くんだぞ」
「俺のため?」
「一応妻だし、貴族の付き合いに参加する必要もあるだろ」
唇を尖らせると、ガディウスはニヨニヨと気味の悪い笑みを浮かべている。
な、なんだ。何が言いたいんだ。僕、何も間違ったことは言ってないだろう?数秒前まで不愉快そうな顔をしていたのに、なんで急に機嫌が良くなっているのか不思議だ。
ガディウスは困惑している僕の手を掴んで大股で歩き出した。
「よしっじゃあ茶会で着ていく服買いに行くか!とびきり可愛いやつ」
「かわっ、馬鹿にしてるのか。てか買わなくても家にあるお前の適当な服貸してよ。お金もったいないし」
「ん?彼シャツ的なの?それは旦那様の前だけにして、茶会はちゃんとした服着てかねえと。レディはそーいうとこ細かいからな」
確かにガディウスの言うことも一理ある。彼シャツのくだりは置いて。
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