24 / 33
Day6
第2回
しおりを挟む
2
人通りのまるでない道を僕らは歩く。
駅前の商店街や観光客向けに整備されたエリアには数えるほどしか人の姿はなく、全く活気というものがみられなかった。
シャッターの閉まった店が並び、数少ない開いているお店の店員も、みんな力なくぼーっと突っ立っているだけのようだった。
時折見かける会社員とみられる人たちも、力ない足取りでふらふらと歩いていて、相変わらずなんとも気持ちが悪かった。
コンビニを覗いて見ても人影はなく、店員も客の姿もそこにはなかった。
「……なんか、ひどくなってないか?」
眉間に皴を寄せながら陸が言って、
「うん」
と僕は頷いた。
陽葵もかぶりを振って、
「なんか、怖い」
と小さく呟く。
千花も深いため息を吐き、
「早くなんとかしないとね」
それに対して、潮見が「そうだよ」と口にして、
「だから、皆で頑張らないと!」
元気よく片腕を天へ突きあげた。
真帆さんも「うんうん」頷いてから、
「そうですね。これだけの人数がいるんです。きっと今日中に解決できますよ!」
何を根拠にそう言っているのか、朗らかな笑顔で皆の顔を見渡した。
それから、「あ、そうそう」と思い出したようにパチンと両手を打ち合わせてから、おもむろに真帆さんはショルダーバッグに手を突っ込むと、例の虹色ラムネを取り出して、「はい、どうぞ」と全員に一本ずつ、ラムネの瓶を手渡していった。
まるで四次元ポケットか何かのようで、本当、いったいどれだけのものがあのショルダーバッグの中には収められているのだろうか。
「皆さん、一応こちらを飲んでおいてください。気休め程度でしかないかもしれませんけど、それでも魔力を補充しておくに越したことはないと思うので」
「ま、魔力?」
陸が驚いたように目を丸くして、受け取った虹色ラムネを太陽の光にかざしながら矯めつ眇めつして、
「えぇ? どうみたって普通のラムネにしか見えないけど、魔力? これが?」
「はい、虹の魔力が含まれた特別なラムネです!」
真帆さんは口元に笑みを浮かべて、
「私たちも今、徐々に徐々に身体から魔力が地に吸い取られている状況ですからね。虹色ラムネでそれを補いながら、魔力の流出している地点を探し当てましょう!」
「虹の魔力……」
陸は僕の方に顔を向けて、「本当に?」と口ではなく眼で訊ねてきた。
僕はそれに対して頷き、
「まぁ、飲んどきなよ。お守りみたいなもんだと思えばいんじゃない?」
「ん、まぁ、そうだな。わかった」
それから陸もみんなと一緒にラムネの栓を開け、ぐびりとそれを軽く仰ぎ飲んで、
「――うん、普通に美味いな!」
魔力が云々とか、全然わからんけど! と苦笑した。
真帆さんは全員がラムネを飲み干すのを確認してから、空いたラムネ瓶を回収しつつ、
「もし身体が妙に怠くなってきたら、遠慮せずに言ってくださいね。まだまだ在庫はありますので!」
そう言って、真帆さんは再びショルダーバッグの中から未開封のラムネを二本、つまんで見せた。
陽葵と千花は、そのいくらでもモノが出てくるショルダーをしげしげと見つめてから、
「……いいなぁ、私もこれ、ほしいかも」
「うん、いいよね、こんなにたくさん入れてもパンパンにならないって、すっごく便利。見た目も可愛いし、あたしもほしいなぁ」
すると真帆さんは「ぷぷっ」と噴き出すように笑みをこぼして、
「でしたら、今度是非うちのお店、魔法百貨堂にお越しください」
それからショルダーをこれ見よがしに見せつけながら、
「お安くしておきますよ?」
ちゃっかり、仕事の営業をしやがったのだった。
人通りのまるでない道を僕らは歩く。
駅前の商店街や観光客向けに整備されたエリアには数えるほどしか人の姿はなく、全く活気というものがみられなかった。
シャッターの閉まった店が並び、数少ない開いているお店の店員も、みんな力なくぼーっと突っ立っているだけのようだった。
時折見かける会社員とみられる人たちも、力ない足取りでふらふらと歩いていて、相変わらずなんとも気持ちが悪かった。
コンビニを覗いて見ても人影はなく、店員も客の姿もそこにはなかった。
「……なんか、ひどくなってないか?」
眉間に皴を寄せながら陸が言って、
「うん」
と僕は頷いた。
陽葵もかぶりを振って、
「なんか、怖い」
と小さく呟く。
千花も深いため息を吐き、
「早くなんとかしないとね」
それに対して、潮見が「そうだよ」と口にして、
「だから、皆で頑張らないと!」
元気よく片腕を天へ突きあげた。
真帆さんも「うんうん」頷いてから、
「そうですね。これだけの人数がいるんです。きっと今日中に解決できますよ!」
何を根拠にそう言っているのか、朗らかな笑顔で皆の顔を見渡した。
それから、「あ、そうそう」と思い出したようにパチンと両手を打ち合わせてから、おもむろに真帆さんはショルダーバッグに手を突っ込むと、例の虹色ラムネを取り出して、「はい、どうぞ」と全員に一本ずつ、ラムネの瓶を手渡していった。
まるで四次元ポケットか何かのようで、本当、いったいどれだけのものがあのショルダーバッグの中には収められているのだろうか。
「皆さん、一応こちらを飲んでおいてください。気休め程度でしかないかもしれませんけど、それでも魔力を補充しておくに越したことはないと思うので」
「ま、魔力?」
陸が驚いたように目を丸くして、受け取った虹色ラムネを太陽の光にかざしながら矯めつ眇めつして、
「えぇ? どうみたって普通のラムネにしか見えないけど、魔力? これが?」
「はい、虹の魔力が含まれた特別なラムネです!」
真帆さんは口元に笑みを浮かべて、
「私たちも今、徐々に徐々に身体から魔力が地に吸い取られている状況ですからね。虹色ラムネでそれを補いながら、魔力の流出している地点を探し当てましょう!」
「虹の魔力……」
陸は僕の方に顔を向けて、「本当に?」と口ではなく眼で訊ねてきた。
僕はそれに対して頷き、
「まぁ、飲んどきなよ。お守りみたいなもんだと思えばいんじゃない?」
「ん、まぁ、そうだな。わかった」
それから陸もみんなと一緒にラムネの栓を開け、ぐびりとそれを軽く仰ぎ飲んで、
「――うん、普通に美味いな!」
魔力が云々とか、全然わからんけど! と苦笑した。
真帆さんは全員がラムネを飲み干すのを確認してから、空いたラムネ瓶を回収しつつ、
「もし身体が妙に怠くなってきたら、遠慮せずに言ってくださいね。まだまだ在庫はありますので!」
そう言って、真帆さんは再びショルダーバッグの中から未開封のラムネを二本、つまんで見せた。
陽葵と千花は、そのいくらでもモノが出てくるショルダーをしげしげと見つめてから、
「……いいなぁ、私もこれ、ほしいかも」
「うん、いいよね、こんなにたくさん入れてもパンパンにならないって、すっごく便利。見た目も可愛いし、あたしもほしいなぁ」
すると真帆さんは「ぷぷっ」と噴き出すように笑みをこぼして、
「でしたら、今度是非うちのお店、魔法百貨堂にお越しください」
それからショルダーをこれ見よがしに見せつけながら、
「お安くしておきますよ?」
ちゃっかり、仕事の営業をしやがったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
私の守護霊さん
Masa&G
キャラ文芸
大学生活を送る彩音には、誰にも言えない秘密がある。
彼女のそばには、他人には姿の見えない“守護霊さん”がずっと寄り添っていた。
これは——二人で過ごした最後の一年を描く、かけがえのない物語。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
✿ 私は夫のことが好きなのに、彼は私なんかよりずっと若くてきれいでスタイルの良い女が好きらしい
設楽理沙
ライト文芸
累計ポイント110万ポイント超えました。皆さま、ありがとうございます。❀
結婚後、2か月足らずで夫の心変わりを知ることに。
結婚前から他の女性と付き合っていたんだって。
それならそうと、ちゃんと話してくれていれば、結婚なんて
しなかった。
呆れた私はすぐに家を出て自立の道を探すことにした。
それなのに、私と別れたくないなんて信じられない
世迷言を言ってくる夫。
だめだめ、信用できないからね~。
さようなら。
*******.✿..✿.*******
◇|日比野滉星《ひびのこうせい》32才 会社員
◇ 日比野ひまり 32才
◇ 石田唯 29才 滉星の同僚
◇新堂冬也 25才 ひまりの転職先の先輩(鉄道会社)
2025.4.11 完結 25649字
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる