マイノリティ教師の一般論

ひもがみ

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教師になりました編

腹減った……

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「こ、ここ何処だよーーーーー!!!???」

た、確かに異世界に行く前提で来たから今の状況は理解できるよ?
でもさ……。
でもさ…………

「本当に来れるとは思わねぇーだろぉぉぉおおお!!!」

くそっ!どうする!?
いや、一旦落ち着こう……

スー……ハー……スー……ハー……。

よし!

「どうすんだよこれ!?」

落ち着いてもダメじゃねーか!
てか、どうすんの!?
これからどうやって生きていくの!?
とりあえず……

「今日、どこで寝ればいいんだ?」

まぁ、大抵の異世界物のラノベとかアニメでは主人公が最強だとか……
チート能力を持っているとか……
色々と……
持ってるよな?
最近ではダークファンタジーとかあるし……
俺、強いよな?
ちゃんと神の恩恵とか受けてるよな?
もし後者だったら俺泣くよ?
とりあえず……

「動くか……」

実際お腹すいた……。
見る限りそこらじゅうに屋台があるしな。
匂いにつられてさっきからお腹が鳴りっぱなしだ。
いや、異世界に着いたばかりで俺自身、落ち着きすぎだと思うよ?
でも三大欲求の一つである食欲に勝てないんだよ……。

「おい!そこの変な格好してる兄ちゃん!」
「ん?俺のことか?」

振り返るとそこには一人の屋台のおっちゃん。
たぶんだが俺を客にしようとしてるんだろう。

「すみませんが俺、お金一切持ってないんですよ……」
「ん?そうか……悪かったな。引き留めて」
「いえいえ……」

本当、金どうするかな……。
てかさ、今さら思ったんだが俺普通にここの世界の人たちと喋れているよな?
その前に辺り見渡す限り俺には見覚えがない文字がめちゃくちゃある訳だが……

「読めちゃってるよ……俺……」

なんか凄いというかキモいというか……。
自分は知らない文字なのにスラスラ読めてしまうって変な感じだ。

《グギュゥゥゥウウウ!》

「腹へったな……」

通のせいで急いで来たからご飯食えてないんだよな。
やっぱまず食うか……。
あ、そっか。

「金どうしよう……」

服でも売るか!
大抵の異世界物では自分が来ている服が高額で売れる流れだし……。

「よし、服屋行こう!」

ということで文字を頼りに服屋を探す。

「こ、ここか……」

服屋は案外簡単に見つかった。
が……
デカい……デカすぎる……。
大型デパートレベルである。

「とりあえず服売るか……」

もう空腹で限界だ。

「あのすいません……」
「はい。なんでしょうか?」

見た目10代ぐらいだろうか……
ショートボブの店員に声をかけた。

「今俺が着ている服を売りたいんだが……」
「えっと……すいません。店長を呼んでくるので少しお待ちください」
「あ、すいません」

しばらくして店長と思われる人が来た。
ちなみに男……あからさまに完全な『オ・カ・マ』
ま、まぁ、俺は全然気にしてないが……

「はーい、それじゃあぁ、服脱いでくださーい」
「あ、はい」
「あら、良い体しているじゃない」

ギャヤァァァァアアアアアア!!!!
落ち着け俺!
こんなことでうろたえるな!

「てかここお店の前ですから!」
「あら本当ね」

今更気付いたのかよ……。

「んー、じゃあ向こうの試着室で脱いで来てくれない?」
「あ、はい……」

で、

「なぜついてくる?」
「え?駄目なの?」
「駄目に決まってんだろ!?」
「わかったわ、じゃあ脱ぎ終わったらあたしのとこに来て頂戴。裸でいいなら……」
「一緒に来てください……」

多分俺は今目から血を流しているだろう。

「あの、すいません脱ぎ終わりました……」
「OK少し待ってて」

クソっ!ホモと密室のどこに需要があるんだ!

「終わったわよ。この服ものすごくいい素材で作られているわね。これぐらいでどうかしら?」

俺の手にコインを3枚置いてくれた。

「おー、これがこの世界のお金か……」
「いやねーあんた。初めて見るわけでもあるまいし」
「あ、あぁ、そうですね」

確かにこの人たちからしたら一般的なお金になるもんな。
人生生きていた中でお金見たことがない人は居ないだろうな。

「あ、あともう一つ……」
「何かしら?」
「帰る際の服をお願いできますか?」
「それなら用意してるわよ?」
「え?」
「お客様を裸で帰らせるわけないじゃない!お代もいらないわ」

マジっすか!?

「あたしの名前はエリザベス。何か困ったことがあったらまたいつでもいらっしゃい」
「エリザベスさん一生ついていきます!」
「本当に?」
「あっ、いえちょっと冗談言っちゃいました」

あ、危ねー。もう少しで社会的に死ぬとこだった。

「あ、そう言えばもう一つ質問が」
「あんた遠慮ないわね」
「このお金ってどのくらいのものが買えますか?」
「んー、宿屋二泊と本一冊ぐらいかな?」

くそー、やっぱり安かったか……。
でも二泊までは生きていけるからな。
情報源として本一冊買えるのも大きいよな。

「何から何までありがとうございます」
「またいらっしゃい!」

店を出て俺がしたこと……
それは…………





よし飯を食おう。
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