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続7. 玩具(1)
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澄んだ黄褐色の液体の中、溶けた氷が崩れて音を立てる。からん、と浅い響き。
グラスを揺すって中身を舐め、自分は時計の文字盤に視線を滑らせる。五分経過。
リビングのソファは、一人で座るといやに広い。狭いはずの部屋も何故か広い。空間が、空白が、際限なく広がり続けて、まるで海底にいるかのよう。何もかもが死に絶えたような静寂の深海では、この指に掴めそうな言葉など見当たらない。
だから自分は口を噤んで、減らない液体を眺めながら、水底で秒針の心音を聴く。透明な澱が足許に降り積もるほど、身体は冷たい熱を帯びていく。静かに加速する脈が秒針を追い越して、十分経過。
琥珀が揺らめくグラスを置いて、自分はゆっくりと立ち上がった。
寝室の扉を開ける。そして十分前に目にしたものと同じ光景を、黙って見つめる。
照明を半分落とした室内では、唸るような振動音が絶え間なく続いていた。その振動音に掻き消されそうなほど小さな呻き声に、口の端が自然と上がる。
「そろそろ緩んできたか」
問いかけると、床に横向きに倒れた男は、肯定とも否定ともつかない不明瞭な声を上げた。上半身にまとわりついたワイシャツのボタンは辛うじて留まっているが、白い下肢は剥き出しになっている。手首と足首をそれぞれ拘束する細い縄のどぎつい赤色が、薄暗い中でもひどく下卑て猥褻だった。
「まだ咥え込んでる。本当にお前は、突っ込まれるのが好きだな」
部屋を出る前に捻じ込んだバイブは、相変わらず根本までぎっちりと嵌まっていた。間断ない振動に耐えきれないのか、猿轡を噛ませた口からは、哀れな喘ぎ声と唾液とが零れる。脚の間のものは反り返って先端に透明な液体を浮かべ、蕾から溢れたローションがフローリングを濡らしており、ありとあらゆるところから粗相をしたようになっていた。
「独りでもこんなに楽しめるのなら、今夜はこのままにしておこうか」
屈み込み、微かに喘ぎ続ける男の耳許で囁く。すると安達はびくりと首を竦めた。ネクタイで覆われた目では見えるわけのない相手を、懸命に視界に入れようともがく。けれど後ろ手に縛られた状態では、どうすることもできない。耳殻を噛んで耳朶を舐めてやると、猫か犬のように喉の奥で鳴いた。どうやらこれ以上放っておかれるのは嫌なようだ。
「この淫乱まんこは、突っ込まれただけじゃ物足りないのか」
言いながら、バイブの柄を掴んだ。男根を模した部分に取りつけられた小さな突起を、解れかけた襞に擦りつけるようにして抜き差しする。手加減はしなかった。
「んぅ……んぐ、ぅ、……ん、んっ」
安達の身体が苦しげに撓る。しかし漏れる吐息はあからさまに甘くなった。そこで自分はバイブを動かす手を止めて、代わりに彼の性器をきつく掴んだ。爆ぜる寸前だったらしく、いこうとしたところを堰き止められてしまった安達は、がたがた震え始めた。猿轡の奥では鳴き声は既に泣き声に変わってしまっている。ほんの数秒で手を離したが、彼のものが精を吐くことはなかった。
「玩具が相当気に入ったみたいだな。次からは物欲しそうな目をして俺を誘わずに、これで独り遊びすればいい」
ここで優しくしても駄目だろう。そう思って敢えて冷たく告げると、安達は首を横に振るような仕種を見せた。そして自由のきかない身体を必死に動かして、声を頼りにこちらへ擦り寄ってこようとする。やがて床についた自分の片膝に、彼の顔が触れた。
「……う……」
ジーンズの粗い生地に覆われた、硬い膝。そこへ安達は、自らの滑らかな頬を擦りつけた。背中で拘束された手が、時折もどかしげにぎゅっと握り込まれる。そろそろ次の段階に移ってもよさそうだと判断して、自分は彼の猿轡を外してやった。
「このまま放っておかれたくないのなら、俺をその気にさせろ」
言いながら首を掴み、自分の股間に彼の顔を無理やり押しつけた。
「……んんっ」
すぐには状況が理解できなかったらしい。安達は混乱した様子でもがいていた。しかし自身の顔に触れる膨らみの存在に気づいたのか、急に身を竦ませた。怯えの滲むその反応が意外で、いやに扇情的に映る。
「お前が出すんだ」
彼の唇にジッパーの引手を押しつける。暫くして、かち、と微かな音が鳴った。どうやら金具を咥えたらしい。そうして目が見えず手も使えない状態で、口だけで少しずつ不器用にジッパーを下ろしていく。漸く完全に下げきると、彼はぐったりとした様子で頬を床につけた。だが、本番はこれからだ。
「何をしている。まだ終わっていないだろう」
性器は下着の中で、とうに硬くなっていた。それを安達の目の辺りに押しつけて迫ると、彼はこちらの股間に顔を擦りつけて、なんとか取り出そうとし始めた。しかし視界が塞がれているせいか、上手くいかない。焦れたのか、それとも疲れたのか、とうとう彼は下着の上から奉仕を始めてしまった。布越しに舐められても性器に受ける快感は薄い。だが、手足を拘束され視覚を奪われ、更にバイブまで突っ込まれた状態でぶるぶると震えながら、媚びるように男の下着に唇を寄せ舌を這わせる哀れな姿は、直截的な愛撫よりも強く欲望を刺激した。
気の済むまで彼の痴態を眺めてから、自分は安達を抱き上げ、ベッドに運んだ。そして仰向けの状態でベッドの端に頭が来るよう、彼の身体を転がす。するとバイブに中を抉られたのか、安達は苦しそうに呻いて膝と膝とを擦り合わせた。玩具はまだ彼の粘膜に包まれて、くぐもった振動音を立て続けている。体内にあるものを排出するのが恥ずかしいのか、或いは単に力の入れ方がわからなくなってしまったのか、いずれにせよ彼の蕾は硬いプラスチックの男根に食い破られたまま、その冷たい辱めに耐えていた。
「言われたことも満足にできないのか」
ベッドの脇に立ち、自分は性器を取り出した。そして汗ばみ始めた安達の首筋に、先端に浮いた先走りをなすりつける。彼は、ひ、と小さく鳴いて顔を背けた。そんな可愛くない反応が、可愛くて仕方ない。
「だったら口をオナホ代わりにされても、文句は言えないな。ほら、咥えろよ」
噛み締められた唇を、濡れた亀頭で汚した。安達は暫く口を閉ざして抵抗していたが、手を伸ばして乳首をぎゅっと抓ってやると、微かな悲鳴を上げた。その隙を見過ごさず、自分は彼の歯の間に指を突っ込んで強引に口を抉じ開け、そこへ自身の性器を捻じ込んだ。
「んぐ、う、うぅっ」
入れてしまえば、あとは簡単だった。半ばベッドから落ちかけた彼の頭を、首の後ろに手を当てる形で支え、腰を打ちつける。いつもとは逆の角度からの挿入が苦しいのか、彼の口の中は普段よりも狭かった。時折、嘔吐を堪えるような音を立てる。それに煽られて、片膝をベッドにつき、より挿入を深くした。彼の頭をしっかりと抱え、喉の奥まで容赦なく犯す。暫くすると顎に限界が訪れたのか、性器に歯が当たるようになった。噛みつかれるわけにはいかないので素直に引き抜き、代わりに自分の手で扱いて、彼の顔に向け射精した。
「……っ」
どろりと白い液体が、彼の頬や額や、あの美しい瞳を覆うネクタイを汚していく。よく見ると、ネクタイは内側から濡れているようだった。どうやら泣いているらしい。背筋が冷たくなるほどの興奮。
頭がベッドの端から落ちないよう安達を寝かせ直し、自分もベッドに上がった。汗ばみ始めた腿の裏に手をかけ、膝が胸につくよう彼の下半身を折り曲げる。
「ひぁっ」
秘所を露わにする体勢に気づいたのか、安達は水揚げされた魚のように勝ち目のない抵抗を始めた。その痛々しさに、先刻精を吐いたばかりの性器がまた凶暴な熱を帯びる。
「凄いな、まんこがバイブに吸いついて離れない」
「いやっ……や、ん……抜い、あ、あ、ぁ」
片手で彼の身体を押さえ、もう片方の手で玩具の柄を掴み彼の中をぐりぐりと抉ると、安達は嫌がるように頭を振った。だが、声に滲む快感の色は誤魔化しようがない。太いバイブに貫かれた小さな穴は、濃密な夜の蓄積によって縁が少し腫れている。本人も周囲の人間も誰も知らない、自分だけが知っている彼の変化だ。そう思うと、頭がおかしくなりそうだった。堪えきれず、我ながら痴漢じみた手つきでしっとりした腿を撫で肉の薄い尻を揉む。すると皮膚の下の筋肉がざわめいて、彼の中が収縮したことが掌から伝わってきた。安達もそろそろ我慢できなくなってきたらしい。呂律の回らなくなった口で、いや、いや、ぬいて、と譫言のように繰り返している。
「玩具で犯されるのが嫌なら、自力で吐き出してみせろ」
可哀想なほど勃起した彼のものには敢えて触れず、ただ腿や尻を撫で続けた。時折卑猥な言葉をかけて、彼の耳を凌辱する。
「どうせお前はでかくて硬ければ、何を突っ込まれても泣いてよがるんだろう。次はビール瓶でも入れてみるか」
「やだ、ん、んん、んっ」
ビール瓶という言葉は易々と安達を怯えさせた。白い身体が強張り、細かく震える。それに伴い、バイブが少しずつ吐き出されていく。そんな淫らな光景を眺めながら、自分も自らの性器を擦った。手淫だけでもう一度出してしまおうかと考え始めた頃、やっと安達はバイブを排出した。
「は……ふ……、っく、うぅー……」
安心したのかそれとも惨めになったのか、安達は啜り泣きを始めた。ぱくりと開いた蕾は、ローションで濡れた薄桃の肉を僅かに覗かせている。種づけを待つ雌の穴だ。今すぐ自分のものを押し込んで、そのまま朝まで犯そうと思った。だが、彼の下半身をシーツの上に下ろしたとき、彼の場違いなくらい上品な色形の性器が目に入り、気が変わった。
「――次はこっちの穴に突っ込むか」
彼の性器の先端に爪を食い込ませて囁くと、哀れな男はしゃくり上げた。
グラスを揺すって中身を舐め、自分は時計の文字盤に視線を滑らせる。五分経過。
リビングのソファは、一人で座るといやに広い。狭いはずの部屋も何故か広い。空間が、空白が、際限なく広がり続けて、まるで海底にいるかのよう。何もかもが死に絶えたような静寂の深海では、この指に掴めそうな言葉など見当たらない。
だから自分は口を噤んで、減らない液体を眺めながら、水底で秒針の心音を聴く。透明な澱が足許に降り積もるほど、身体は冷たい熱を帯びていく。静かに加速する脈が秒針を追い越して、十分経過。
琥珀が揺らめくグラスを置いて、自分はゆっくりと立ち上がった。
寝室の扉を開ける。そして十分前に目にしたものと同じ光景を、黙って見つめる。
照明を半分落とした室内では、唸るような振動音が絶え間なく続いていた。その振動音に掻き消されそうなほど小さな呻き声に、口の端が自然と上がる。
「そろそろ緩んできたか」
問いかけると、床に横向きに倒れた男は、肯定とも否定ともつかない不明瞭な声を上げた。上半身にまとわりついたワイシャツのボタンは辛うじて留まっているが、白い下肢は剥き出しになっている。手首と足首をそれぞれ拘束する細い縄のどぎつい赤色が、薄暗い中でもひどく下卑て猥褻だった。
「まだ咥え込んでる。本当にお前は、突っ込まれるのが好きだな」
部屋を出る前に捻じ込んだバイブは、相変わらず根本までぎっちりと嵌まっていた。間断ない振動に耐えきれないのか、猿轡を噛ませた口からは、哀れな喘ぎ声と唾液とが零れる。脚の間のものは反り返って先端に透明な液体を浮かべ、蕾から溢れたローションがフローリングを濡らしており、ありとあらゆるところから粗相をしたようになっていた。
「独りでもこんなに楽しめるのなら、今夜はこのままにしておこうか」
屈み込み、微かに喘ぎ続ける男の耳許で囁く。すると安達はびくりと首を竦めた。ネクタイで覆われた目では見えるわけのない相手を、懸命に視界に入れようともがく。けれど後ろ手に縛られた状態では、どうすることもできない。耳殻を噛んで耳朶を舐めてやると、猫か犬のように喉の奥で鳴いた。どうやらこれ以上放っておかれるのは嫌なようだ。
「この淫乱まんこは、突っ込まれただけじゃ物足りないのか」
言いながら、バイブの柄を掴んだ。男根を模した部分に取りつけられた小さな突起を、解れかけた襞に擦りつけるようにして抜き差しする。手加減はしなかった。
「んぅ……んぐ、ぅ、……ん、んっ」
安達の身体が苦しげに撓る。しかし漏れる吐息はあからさまに甘くなった。そこで自分はバイブを動かす手を止めて、代わりに彼の性器をきつく掴んだ。爆ぜる寸前だったらしく、いこうとしたところを堰き止められてしまった安達は、がたがた震え始めた。猿轡の奥では鳴き声は既に泣き声に変わってしまっている。ほんの数秒で手を離したが、彼のものが精を吐くことはなかった。
「玩具が相当気に入ったみたいだな。次からは物欲しそうな目をして俺を誘わずに、これで独り遊びすればいい」
ここで優しくしても駄目だろう。そう思って敢えて冷たく告げると、安達は首を横に振るような仕種を見せた。そして自由のきかない身体を必死に動かして、声を頼りにこちらへ擦り寄ってこようとする。やがて床についた自分の片膝に、彼の顔が触れた。
「……う……」
ジーンズの粗い生地に覆われた、硬い膝。そこへ安達は、自らの滑らかな頬を擦りつけた。背中で拘束された手が、時折もどかしげにぎゅっと握り込まれる。そろそろ次の段階に移ってもよさそうだと判断して、自分は彼の猿轡を外してやった。
「このまま放っておかれたくないのなら、俺をその気にさせろ」
言いながら首を掴み、自分の股間に彼の顔を無理やり押しつけた。
「……んんっ」
すぐには状況が理解できなかったらしい。安達は混乱した様子でもがいていた。しかし自身の顔に触れる膨らみの存在に気づいたのか、急に身を竦ませた。怯えの滲むその反応が意外で、いやに扇情的に映る。
「お前が出すんだ」
彼の唇にジッパーの引手を押しつける。暫くして、かち、と微かな音が鳴った。どうやら金具を咥えたらしい。そうして目が見えず手も使えない状態で、口だけで少しずつ不器用にジッパーを下ろしていく。漸く完全に下げきると、彼はぐったりとした様子で頬を床につけた。だが、本番はこれからだ。
「何をしている。まだ終わっていないだろう」
性器は下着の中で、とうに硬くなっていた。それを安達の目の辺りに押しつけて迫ると、彼はこちらの股間に顔を擦りつけて、なんとか取り出そうとし始めた。しかし視界が塞がれているせいか、上手くいかない。焦れたのか、それとも疲れたのか、とうとう彼は下着の上から奉仕を始めてしまった。布越しに舐められても性器に受ける快感は薄い。だが、手足を拘束され視覚を奪われ、更にバイブまで突っ込まれた状態でぶるぶると震えながら、媚びるように男の下着に唇を寄せ舌を這わせる哀れな姿は、直截的な愛撫よりも強く欲望を刺激した。
気の済むまで彼の痴態を眺めてから、自分は安達を抱き上げ、ベッドに運んだ。そして仰向けの状態でベッドの端に頭が来るよう、彼の身体を転がす。するとバイブに中を抉られたのか、安達は苦しそうに呻いて膝と膝とを擦り合わせた。玩具はまだ彼の粘膜に包まれて、くぐもった振動音を立て続けている。体内にあるものを排出するのが恥ずかしいのか、或いは単に力の入れ方がわからなくなってしまったのか、いずれにせよ彼の蕾は硬いプラスチックの男根に食い破られたまま、その冷たい辱めに耐えていた。
「言われたことも満足にできないのか」
ベッドの脇に立ち、自分は性器を取り出した。そして汗ばみ始めた安達の首筋に、先端に浮いた先走りをなすりつける。彼は、ひ、と小さく鳴いて顔を背けた。そんな可愛くない反応が、可愛くて仕方ない。
「だったら口をオナホ代わりにされても、文句は言えないな。ほら、咥えろよ」
噛み締められた唇を、濡れた亀頭で汚した。安達は暫く口を閉ざして抵抗していたが、手を伸ばして乳首をぎゅっと抓ってやると、微かな悲鳴を上げた。その隙を見過ごさず、自分は彼の歯の間に指を突っ込んで強引に口を抉じ開け、そこへ自身の性器を捻じ込んだ。
「んぐ、う、うぅっ」
入れてしまえば、あとは簡単だった。半ばベッドから落ちかけた彼の頭を、首の後ろに手を当てる形で支え、腰を打ちつける。いつもとは逆の角度からの挿入が苦しいのか、彼の口の中は普段よりも狭かった。時折、嘔吐を堪えるような音を立てる。それに煽られて、片膝をベッドにつき、より挿入を深くした。彼の頭をしっかりと抱え、喉の奥まで容赦なく犯す。暫くすると顎に限界が訪れたのか、性器に歯が当たるようになった。噛みつかれるわけにはいかないので素直に引き抜き、代わりに自分の手で扱いて、彼の顔に向け射精した。
「……っ」
どろりと白い液体が、彼の頬や額や、あの美しい瞳を覆うネクタイを汚していく。よく見ると、ネクタイは内側から濡れているようだった。どうやら泣いているらしい。背筋が冷たくなるほどの興奮。
頭がベッドの端から落ちないよう安達を寝かせ直し、自分もベッドに上がった。汗ばみ始めた腿の裏に手をかけ、膝が胸につくよう彼の下半身を折り曲げる。
「ひぁっ」
秘所を露わにする体勢に気づいたのか、安達は水揚げされた魚のように勝ち目のない抵抗を始めた。その痛々しさに、先刻精を吐いたばかりの性器がまた凶暴な熱を帯びる。
「凄いな、まんこがバイブに吸いついて離れない」
「いやっ……や、ん……抜い、あ、あ、ぁ」
片手で彼の身体を押さえ、もう片方の手で玩具の柄を掴み彼の中をぐりぐりと抉ると、安達は嫌がるように頭を振った。だが、声に滲む快感の色は誤魔化しようがない。太いバイブに貫かれた小さな穴は、濃密な夜の蓄積によって縁が少し腫れている。本人も周囲の人間も誰も知らない、自分だけが知っている彼の変化だ。そう思うと、頭がおかしくなりそうだった。堪えきれず、我ながら痴漢じみた手つきでしっとりした腿を撫で肉の薄い尻を揉む。すると皮膚の下の筋肉がざわめいて、彼の中が収縮したことが掌から伝わってきた。安達もそろそろ我慢できなくなってきたらしい。呂律の回らなくなった口で、いや、いや、ぬいて、と譫言のように繰り返している。
「玩具で犯されるのが嫌なら、自力で吐き出してみせろ」
可哀想なほど勃起した彼のものには敢えて触れず、ただ腿や尻を撫で続けた。時折卑猥な言葉をかけて、彼の耳を凌辱する。
「どうせお前はでかくて硬ければ、何を突っ込まれても泣いてよがるんだろう。次はビール瓶でも入れてみるか」
「やだ、ん、んん、んっ」
ビール瓶という言葉は易々と安達を怯えさせた。白い身体が強張り、細かく震える。それに伴い、バイブが少しずつ吐き出されていく。そんな淫らな光景を眺めながら、自分も自らの性器を擦った。手淫だけでもう一度出してしまおうかと考え始めた頃、やっと安達はバイブを排出した。
「は……ふ……、っく、うぅー……」
安心したのかそれとも惨めになったのか、安達は啜り泣きを始めた。ぱくりと開いた蕾は、ローションで濡れた薄桃の肉を僅かに覗かせている。種づけを待つ雌の穴だ。今すぐ自分のものを押し込んで、そのまま朝まで犯そうと思った。だが、彼の下半身をシーツの上に下ろしたとき、彼の場違いなくらい上品な色形の性器が目に入り、気が変わった。
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