96 / 100
第96話『知らない自分』怖さ:☆☆☆☆☆
しおりを挟む
祖母の遺品整理で見つけた古いアルバム。黄ばんだ写真が丁寧に貼られている。
最初のページは祖母の若い頃の写真だった。見知らぬ男性と一緒に写っているものもある。祖父とは違う人だ。
ページをめくっていくと、俺と同じ顔の人物が写っている写真を発見した。髪型や服装は古いが、間違いなく俺の顔だ。
写真の裏には「昭和四十五年、秋彦十八歳」と書かれている。俺の名前も秋彦だが、昭和四十五年に俺は生まれてもいない。
次のページにも同じ顔の写真があった。今度は「昭和五十年、秋彦結婚式」と書かれている。写真の俺は見知らぬ女性と結婚式を挙げている。
さらにページをめくると、「昭和五十五年、秋彦と息子」「昭和六十年、秋彦一家」と続いていく。俺の顔をした男性が、知らない人生を送っている記録だった。
最後のページには「平成二年、秋彦葬儀」と書かれた写真があった。棺桶に横たわる俺の顔。参列者には見知らぬ妻と子供たちが泣いている。
俺は祖母に電話で確認しようとしたが、祖母は三年前に亡くなっている。
近所の古い住人に聞いてみると、驚くべき話を聞いた。
「秋彦君なら覚えてるよ。君にそっくりだった。でも彼は三十年前に病気で亡くなったはずだよ」
俺は混乱した。では俺は何者なのか。なぜ死んだはずの人間と同じ顔、同じ名前なのか。
その夜、アルバムを見直していると、新しいページが追加されていた。
「平成三十五年、秋彦復活」
そこには現在の俺の写真が貼られていた。今日撮った覚えのない写真だった。
翌日も新しい写真が増えていた。俺が今日したことの記録写真。誰が撮ったのかわからないが、俺の一日が完璧に記録されている。
一週間後、アルバムは俺の現在の生活で埋まっていた。そして最後のページに、恐ろしい写真が追加された。
「平成三十六年、秋彦再死」
俺が病院のベッドで息を引き取る写真だった。まだ起こっていない未来の写真。
俺は急いで病院で検査を受けた。結果は異常なし。写真は間違いだと思った。
しかし翌週、アルバムに新しい写真が現れた。
「平成三十七年、秋彦三度目の人生」
今度は別の顔をした俺が写っていた。同じ名前だが、全く違う顔。そして見知らぬ家族と一緒にいる。
俺は理解し始めた。秋彦という存在は、何度も生まれ変わっている。同じ名前で、時には同じ顔で、時には違う顔で。そして毎回、同じように生きて、同じように死ぬ。
アルバムを最初から見直すと、さらに古いページがあることに気づいた。
「大正十年、秋彦誕生」「昭和五年、秋彦成人」「昭和十五年、秋彦戦死」
秋彦は百年以上前から存在している。何度も生まれ、何度も死んでいる。
そして今の俺も、その循環の一部でしかない。
最新のページには恐ろしい予告が書かれていた。
「平成三十六年、秋彦再死後、次の秋彦探索開始」
俺が死んだ後、また新しい秋彦が現れる。どこかで、俺と同じ名前の赤ん坊が生まれて、俺と同じ人生を歩む。
俺は秋彦という名前に取り憑かれた魂の器でしかない。
今日、アルバムに新しい写真が追加された。
「平成三十六年、秋彦病院搬送」
俺はまだ病気になっていないが、写真の中の俺は確実に病院に運ばれている。
アルバムの最後のページには、空白の枠がある。そこに貼られる写真のために、俺は今日を生きている。
最初のページは祖母の若い頃の写真だった。見知らぬ男性と一緒に写っているものもある。祖父とは違う人だ。
ページをめくっていくと、俺と同じ顔の人物が写っている写真を発見した。髪型や服装は古いが、間違いなく俺の顔だ。
写真の裏には「昭和四十五年、秋彦十八歳」と書かれている。俺の名前も秋彦だが、昭和四十五年に俺は生まれてもいない。
次のページにも同じ顔の写真があった。今度は「昭和五十年、秋彦結婚式」と書かれている。写真の俺は見知らぬ女性と結婚式を挙げている。
さらにページをめくると、「昭和五十五年、秋彦と息子」「昭和六十年、秋彦一家」と続いていく。俺の顔をした男性が、知らない人生を送っている記録だった。
最後のページには「平成二年、秋彦葬儀」と書かれた写真があった。棺桶に横たわる俺の顔。参列者には見知らぬ妻と子供たちが泣いている。
俺は祖母に電話で確認しようとしたが、祖母は三年前に亡くなっている。
近所の古い住人に聞いてみると、驚くべき話を聞いた。
「秋彦君なら覚えてるよ。君にそっくりだった。でも彼は三十年前に病気で亡くなったはずだよ」
俺は混乱した。では俺は何者なのか。なぜ死んだはずの人間と同じ顔、同じ名前なのか。
その夜、アルバムを見直していると、新しいページが追加されていた。
「平成三十五年、秋彦復活」
そこには現在の俺の写真が貼られていた。今日撮った覚えのない写真だった。
翌日も新しい写真が増えていた。俺が今日したことの記録写真。誰が撮ったのかわからないが、俺の一日が完璧に記録されている。
一週間後、アルバムは俺の現在の生活で埋まっていた。そして最後のページに、恐ろしい写真が追加された。
「平成三十六年、秋彦再死」
俺が病院のベッドで息を引き取る写真だった。まだ起こっていない未来の写真。
俺は急いで病院で検査を受けた。結果は異常なし。写真は間違いだと思った。
しかし翌週、アルバムに新しい写真が現れた。
「平成三十七年、秋彦三度目の人生」
今度は別の顔をした俺が写っていた。同じ名前だが、全く違う顔。そして見知らぬ家族と一緒にいる。
俺は理解し始めた。秋彦という存在は、何度も生まれ変わっている。同じ名前で、時には同じ顔で、時には違う顔で。そして毎回、同じように生きて、同じように死ぬ。
アルバムを最初から見直すと、さらに古いページがあることに気づいた。
「大正十年、秋彦誕生」「昭和五年、秋彦成人」「昭和十五年、秋彦戦死」
秋彦は百年以上前から存在している。何度も生まれ、何度も死んでいる。
そして今の俺も、その循環の一部でしかない。
最新のページには恐ろしい予告が書かれていた。
「平成三十六年、秋彦再死後、次の秋彦探索開始」
俺が死んだ後、また新しい秋彦が現れる。どこかで、俺と同じ名前の赤ん坊が生まれて、俺と同じ人生を歩む。
俺は秋彦という名前に取り憑かれた魂の器でしかない。
今日、アルバムに新しい写真が追加された。
「平成三十六年、秋彦病院搬送」
俺はまだ病気になっていないが、写真の中の俺は確実に病院に運ばれている。
アルバムの最後のページには、空白の枠がある。そこに貼られる写真のために、俺は今日を生きている。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
静かに壊れていく日常
井浦
ホラー
──違和感から始まる十二の恐怖──
いつも通りの朝。
いつも通りの夜。
けれど、ほんの少しだけ、何かがおかしい。
鳴るはずのないインターホン。
いつもと違う帰り道。
知らない誰かの声。
そんな「違和感」に気づいたとき、もう“元の日常”には戻れない。
現実と幻想の境界が曖昧になる、全十二話の短編集。
一話完結で読める、静かな恐怖をあなたへ。
※表紙は生成AIで作成しております。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる