ランキングデスゲーム〜辛くて拡散希望、生き残りたいです〜

みにぶた🐽

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第I部:投票はじまりの檻

第2章「ようこそ、投票地獄へ」

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 機械音声が再び響き渡る中、俺たち十五人は息を殺してモニターを見つめていた。

「それでは、詳細なゲームルールをご説明いたします」

 画面に新たなルール項目が表示される。

『投票システム詳細』

『参加者投票:自分以外の14名から1名を選択(重要度:1票=1000ポイント)』

『視聴者投票:課金により1票=1ポイント~100ポイントで調整可能』

『集計:毎日午後8時に実施、最下位1名を即座に処刑』

 処刑。その単語を見るたびに、背筋に冷たいものが走る。

『看守システム』

『上位5名は「看守」に任命』

『看守は囚人1名につき1日1回の命令権を取得』

『命令の内容に制限なし(ただし、直接的な自殺命令は除く)』

『命令違反者には「ペナルティ」を科す』

 宝生朱音が震え声で呟いた。

「命令って……どんな命令でも従わなきゃいけないの?」

『ペナルティ例』

『食事剥奪(1日~3日)』

『公開拷問(軽度~重度)』

『監視強化(個室内プライベート撮影)』

『睡眠妨害(深夜の強制起床)』

 白鷺小夜が顔を青くして後ずさりした。

「公開拷問って……そんな……」

『処刑について』

『処刑は全参加者による強制視聴』

『処刑方法は視聴者投票により決定』

『処刑前に最終発言の時間(1分間)を提供』

『処刑の様子は配信継続、視聴者のリアクションも記録』

 相楽翠が膝から崩れ落ちそうになった。

「やめて……こんなの人間のやることじゃない……」

 だが機械音声は容赦なく続く。

「以上がルールの詳細となります。なお、本ゲームからの離脱や自殺行為は監視システムにより阻止されます。全参加者には生存への意欲を維持していただきます」

 つまり、逃げ場はない。

 俺は改めて周囲を見回した。十五人の中には、既に絶望に顔を歪める者もいれば、怒りで拳を握り締める者もいた。そして、俺のように冷静に状況を分析しようとする者も。

 斑鳩凌が前に出た。

「おい、みんな!こんなふざけたルールに従う必要はない!俺たちが全員で投票を拒否すれば……」

「無駄だ」

 俺が遮った。

「投票を拒否すれば、その時点で俺たちは『つまらない参加者』になる。そうなったら、このゲームの主催者は別の手段を使ってでも俺たちを動かそうとするだろう」

 斑鳩凌が俺を睨む。

「じゃあどうしろって言うんだ!このまま従えとでも!」

「従うしかない」俺は冷静に答えた。「少なくとも、生き残る方法を見つけるまでは」

 その時、配信画面のコメント欄が激しく流れているのが目に入った。

『うわあああ面白そう!』

『#01めっちゃイケメンじゃん』

『#03ちっちゃくて可愛い』

『#09なんか性格悪そうwww』

『#07の冷静さがヤバい』

『早く投票始まれ~』

 視聴者数は既に5,000人を突破していた。

 俺たちの絶望と混乱が、娯楽として消費されている。

 如月蒼依が震え声で言った。

「せめて……せめてお互いのことを知りませんか?このままじゃ、本当に番号でしか呼べなくなる……」

 鳴海瑠璃が頷いた。

「そうね……名前くらいは……」

 俺は首を振った。

「やめた方がいい。情が湧けば判断が鈍る」

「でも!」如月蒼依が声を上げた。「私たちは人間よ!番号じゃない!」

 その時、宍戸昴が皮肉っぽく笑った。

「人間?この状況で人間らしくいようなんて、無理だろ。俺たちはもう見世物だ。檻の中の動物と変わらない」

 真鍋天馬が宍戸昴を睨んだ。

「そんな風に考えるのは勝手だが、俺は最後まで人間でいるつもりだ」

「へえ」宍戸昴が挑発的に返す。「じゃあ聞くが、今日の投票で誰に入れるつもりだ?」

 真鍋天馬は言葉に詰まった。

 宍戸昴は続ける。

「誰かに投票しなきゃいけない。つまり、誰かを殺すための票を入れなきゃいけない。それでも人間らしくいられるって言うのか?」

 ホール内に重苦しい沈黙が流れた。

 葛城翼が苦々しく呟く。

「クソが……こんなゲーム、狂ってやがる」

 配信のコメント欄は相変わらず流れ続けている。

『#14性格悪すぎwww』

『#15いい人そう』

『喧嘩始まったwww』

『早くキャラ確定しろよ』

『誰が最初に死ぬかな?』

 俺はため息をついた。

 このルールは、俺たちを人を見せ物にするだけの装置だ。そして、その見世物としての価値を高めるために、俺たちの間に対立と絶望を生み出そうとしている。

 早乙女千景が震え声で言った。

「みんな……もう投票のことは考えないで。今は、せめて残された時間を……」

「残された時間?」安堂圭吾が荒々しく遮った。「おい、まさか諦めるつもりかよ!」

「諦めるって……でも、どうしようもないじゃない……」

 早乙女千景の目に涙が浮かんだ。

 その時、宇佐美凛が小さく手を上げた。

「あの……私、みんなに謝りたいことがある」

 全員の視線が彼女に向く。

「実は……私、この配信のことを少しだけ知ってた。ネットで噂になってたの。でも、まさか本当だなんて思わなくて……」

 ホール内がざわめく。

 雪村颯汰が詰め寄った。

「知ってたって、どういうことだ!」

 宇佐美凛は涙を流しながら答えた。

「ごめん……でも、本当に噂程度で……まさか自分が巻き込まれるなんて……」

 配信のコメント欄が激しく反応した。

『#03やべえええ』

『内部情報持ちかよ』

『これで#03は確実に狙われるな』

『第一回投票の最有力候補』

 俺は宇佐美凛を見つめた。彼女の告白は、確実に自分の立場を悪くする。それでも真実を話したということは、精神的に追い詰められているということだろう。

 そして、視聴者たちは既に彼女を最初の犠牲者候補として認識している。

 五十嵐龍之介が優しく宇佐美凛の肩に手を置いた。

「大丈夫だよ。君のせいじゃない」

 だが、その優しさも今のこの状況では意味をなさない。投票は感情ではなく、戦略で決まる。

 機械音声が再び響いた。

「それでは、参加者の皆様には自己紹介の時間を設けます。視聴者の皆様にご自身の魅力をアピールしてください。人気を獲得することが生存への第一歩となります」

 自己紹介。

 つまり、キャラクター性を確立して視聴者の興味を引けということだ。

 斑鳩凌が先頭を切った。

「俺は#01、斑鳩凌だ。大学で法学を学んでいる。こんな狂ったゲームは絶対に許さない。必ず全員で脱出してやる」

 正義感あふれる発言。視聴者受けは悪くないだろう。

 葛城翼が続く。

「#02、葛城翼。フリーターやってる。こんなクソゲーム、面白がってる奴らが一番狂ってるよ」

 反骨精神旺盛なキャラクター。これも一定の支持を得そうだ。

 宇佐美凛が震え声で続けた。

「#03、宇佐美凛です……高校生で……本当にごめんなさい……」

 彼女の弱々しい声に、配信のコメント欄が反応する。

『#03可哀想……』

『でも情報隠してたのはダメでしょ』

『同情票入るかな?』

『逆に最初に消えそう』

 雪村颯汰は力強く言った。

「#04、雪村颯汰。大学生だ。みんなで協力して、この状況を乗り越えよう」

 協調性をアピールするタイプ。

 早乙女千景は涙を拭いながら答えた。

「#05、早乙女千景……みんなで助け合いましょう……お願いします……」

 か弱さを前面に出すスタイル。

 宝生朱音は気丈に言った。

「#06、宝生朱音よ。こんな状況でも、私は負けない」

 そして順番が俺に回ってきた。

 俺は簡潔に答える。

「#07、緋村陸翔。このゲームの本質を理解し、合理的に行動する」

 配信のコメント欄が一斉に反応した。

『#07かっけええ』

『現実主義者だな』

『この人絶対強い』

『#07推すわ』

 続いて五十嵐龍之介。

「#08、五十嵐龍之介です。みんなが少しでも安心できるよう、できる限りのことをします」

 優しさをアピールするタイプ。

 白鷺小夜は恐る恐る言った。

「#09、白鷺小夜……私、こういうの苦手で……」

 内気なキャラクター設定。

 鳴海瑠璃は落ち着いて答えた。

「#10、鳴海瑠璃。冷静に状況を分析して、最善の選択をしたいと思います」

 分析タイプだが、俺ほど冷徹ではない印象。

 安堂圭吾は怒りを込めて言った。

「#11、安堂圭吾だ!こんなふざけたゲーム、絶対に許さねえ!」

 怒りキャラクター確定。

 相楽翠は小さく答えた。

「#12、相楽翠です……怖いです……」

 恐怖を隠さないタイプ。

 如月蒼依は毅然と言った。

「#13、如月蒼依。最後まで人間らしさを失いたくない」

 理想主義者。

 宍戸昴は皮肉っぽく笑いながら答えた。

「#14、宍戸昴。どうせなら、このゲームを楽しんでやろうじゃないか」

 その発言に、ホール内がざわめいた。

 最後に真鍋天馬。

「#15、真鍋天馬。みんなで力を合わせれば、きっと道は開ける」

 希望的なキャラクター。

 自己紹介が終わると、機械音声が告げた。

「午後12時になりました。昼食を提供いたします」

 ホールの一角から、機械的に食事トレイが運ばれてくる。質素だが、まともな食事だった。

 だが、誰も食べる気になれずにいた。

 数時間後には投票が始まる。

 そして今夜、この中の誰かが死ぬ。

 宍戸昴が食事を取りながら言った。

「さて、みんなは誰に投票するつもりだ?」

 その質問に、誰も答えなかった。

 だが、全員が心の奥で同じことを考えているのは明らかだった。

 誰を犠牲にすれば、自分が生き残れるか。

 配信のコメント欄では、既に予想合戦が始まっていた。

『#03が最初に消えそう』

『#12も弱すぎる』

『#14は逆に危険だな』

『#07は絶対生き残る』

 俺は無言で食事を口に運んだ。

 このゲームは、俺たちの人間性を破壊することが目的だ。そして、その破綻を視聴者が楽しむためのシステムだ。

 だが、俺は最後まで冷静でいるつもりだった。

 感情に流されれば、それは死を意味する。

 この地獄のようなゲームで生き残るためには、人間らしさを捨ててでも、合理的に判断し続けなければならない。

 午後8時まで、あと8時間。

 長い一日が、始まろうとしていた。
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