鈴は割れる

まり

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そして各派閥が着々と準備をすすめ、いつ戦いが始まってもおかしくないほどの緊張感が広大な平原を包んでいる

慎も劉の他の門下生達と一緒に彼の家から出陣する

慎は身支度を整える
(これが外界の戦いにおける格好なのか…少し慣れないが軽いし動きやすい‼︎)
そんなことを思っていると劉が慎を呼んだ

慎、お客様だ。あまり時間はないが今会っておきなさい。後悔のないように…

慎が表に出ると鈴がいた

あの日から会えていなかったため、慎は素直に嬉しかった

鈴‼︎来てくれたのか‼︎

しかし鈴の表情は暗い

鈴?

……慎…。私……
鈴は言葉が出ない
このままでは愛しい人が戦地に向かい、帰ってこないかもしれない。そんな最悪な想像が彼女の口を開かせない

鈴、どうしたんだ?
慎は困ってしまった

…これ
鈴は慎に手を差し出した
何か小さいものが乗っている

…これって

「慎が無事でありますように」って願いを込めて紐を編んだの。その紐にお守りの鈴を付けたんだよ。

慎の好きな色である「群青色」と鈴の好きな色である「朱色」の系で編まれた紐に可愛らしい鈴が付いていた

慎…………私、こんなことしかできない…。あなたの無事を…祈ることしかできない‼︎今から出陣する人にこんなことを言ったらダメだってわかってる‼︎だけど…
鈴はポロポロと涙をこぼした

お願い‼︎行かないで‼︎ここにいて‼︎

その悲痛な叫びは慎を貫いた

慎は鈴から「お守りの鈴」を受け取り抱きしめる

…鈴、ありがとう。出陣前に鈴と会えて力を貰えたよ。このお守りも。
必ず守るよ。君と、君の未来を。だからどうか泣かないで、待っていて欲しい。

そう言って慎は鈴から離れた
彼女の気持ちは痛いほどわかったが、彼女の叫びが士気に響くことを恐れてしまった

鈴はそんな慎を見て悟ってしまう

鈴は俯き
ごめんなさい…出陣前の大事な時にこんなこと言っちゃって…寂しくてつい…でも慎、本当に…どうか
(帰ってきてね)
そこまで言って走って行ってしまった

鈴‼︎
慎は叫んだが彼女は行ってしまった
(鈴……すまない)
自分の態度が彼女に気を遣わせてしまったと思った


そんな二人を劉は影から見守っていた
―――――
そして遂に出陣の時

皆、よくここまで私についてきてくれた。この戦いが国の未来を決める。まだ間に合う。よく考えるのだ。誰も責めたりなどしない。
劉の声が響く

先生‼︎ここにいる者たちは最初から心を決めております‼︎
彗が叫んだ

それに合わせて全員が「おお‼︎」と声を上げる

…ありがとう
劉は呟く。そして大きく息を吸い

これより‼︎この国の未来のため‼︎司様の軍と合流し、戦地へと向かう‼︎よいな‼︎

「「「はい‼︎」」」

劉の門下生達、そして門下生達が集めた仲間が司の軍と合流するために歩き出した

(君を…未来を守る戦いだ‼︎)
慎は胸の「ポケット」という所に鈴からもらったお守りをしまった

そのお守りは彼の胸の中でチリチリと鳴っていた
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