とある空中大陸の領主サマーチートは側近の人達でしたー

猫々 ねねこ

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◆本編◆

episode.011 宵闇の先へ

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真夜中となり周りには静寂が包まれている筈なのだが、ミュウの家の付近にはガロンヌの専属憲兵が数名集まっていた。


普通ならば、此処でククル達は捕まるのが王道的だろう。
今、此処で響いているのは憲兵達の情けない声とかだけで、離れた場所から見守っているククルとミュウは何とも言えない気持ちである。


「ひいぃっ!!も、もうっ、勘弁してくれっ……!!」

「イヒヒッ!ほらほらぁ、どないしたんー?さっきまでの威勢は、何処に落としてしもうたんー?おん?」

(相変わらず、えげつない)


こうなったのは、少し前の時間にガロンヌの専属憲兵達が家へと押し掛けてきたのだが、レーヴェのワイヤートラップに引っ掛かってしまった。

そして現在、レーヴェに寄る“拷問”が行われていた。


「ぎゃはははっ!ひいいっ!」


まぁ、所謂“羽根による擽りの刑” という拷問である。

笑い地獄から逃れたいなら、何をしようとしたのかを話せば解放する。
そういう類いだが、笑いを堪えながら話をしようとしても普通には話せない。

本当に、笑い地獄である。
酸欠で意識を手離すまで、レーヴェは面白がって繰り返す。


(本当にえぐいよ、レーヴェ)


ククルはレーヴェが行っている光景を見ながらも、どうにか話せた憲兵からの情報をまとめていた。

彼らはガロンヌの命令で此処への襲撃を行った事、それと地下大牢屋にて出迎えるつもりでいる事の2つの情報である。


「まぁ、元々そんな感じはしていたし………というか、レーヴェそこまでにしておきなよ~」

「おん、わかったで!いやー、愉しかったわー♪」


ククルに言われて羽根を懐に仕舞ったレーヴェは、何処か満足したのか満面な笑顔でククルの側へと戻ってくる。


「新人なんやろうなー?館の地図を貰って来たで?」

「それは、貰ったとは言えないって」

「えーっ?違うん?」


ククルは地図を確認して、何処か別の場所から行けるのかを確認していると館の裏手には旧倉庫があり、其処は使われていなく誰も来ていないのだが地下へと通じる道があるようである。


「此処から、行けそうだね」

「そうやな~、ただ旧倉庫なんやからオンボロだと思うで?脱出するなら、あの灯台に繋がっておる道を進むとエエかもしれへんな」

「ん、わかった」


ククルはレーヴェと共に、地図の再確認をしてから困惑気味のミュウへと向き直すと屈む。


「ミュウちゃん、これからミュウちゃんのお兄さんを助けに行くからレーヴェと一緒に居てくれる?」

「えっ、主が一人で行くんっ!?」

「少数のがいいだろうし、何かあればヴェニタスもしくは呼んでいないメンバーを呼ぶから大丈夫だよ」

「うー……」

「それに、ミュウちゃんを一人には出来ないでしょ?あの公爵が、ミュウちゃんを狙っているなら何時差し向けられるか分からないんだから」


レーヴェ的には、ククルを単独行動をさせるのが危険だと考えていて迷っている。
だが、ククルも一歩も引くつもりもないようでレーヴェを見つめるだけである。


「あー、もうっ!わかったで!ちゃんと、ヴェニタスの旦那か他のメンバーを呼ぶんやでっ!?」

「うん、分かってるよ」

「……なら、俺はミュウちゃんの護衛をしておくわ」

「ん、頼りにしてるよ?」

「おん……」


ククルはレーヴェにミュウを託して、ガロンヌ公爵の館へと向かって走っていく。
その際には、誰を呼び出すかを悩んでは呼んでいないメンバーの一人を呼ぶ事にした。

何時もの如くメニューを開き、パートナーアイコンを押してリストから“シュヴァルツ”を押す。


「直ぐには来ないだろうから、ある程度奥へと向かっておこう」

「ほんまに、あんさんは行動派やなぁ」

「!?」


ククルは後ろを振り向けば、ワインレッドの髪色にウルフカットで、細目のややツリ目をした赤色の瞳をしていて、赤い長めのマフラーを身に付けている男性が立っていた。


「あれ?シュヴァルツさんは、直ぐには来ないかと……」

「ヴェニタスから、連絡があったんやで?“心配だから、応答があったら直ぐに向かってくれ”って言われておったんや」

「あー、なるほど!」

「んで、この館に入ってどないするんや?」


ククルはシュヴァルツに事の説明をすると、シュヴァルツは呆れた表情を浮かべては額に手を重ねている。


「ほんま、あんさんは御人好し過ぎやで?自分が、危ないかもしれへんと思わへんの?」

「はははっ……」

「笑い事では、あらへんよ?馬鹿娘が」


シュヴァルツは、ククルの頭を軽く叩いてから乱雑にククルの頭を撫でていてククルの髪は軽く乱れてしまう。


「ほな、行くで」

「ん、頼りにしているよ?シュヴァルツさん」

「おん、任せておきー!“防御”と“攻撃”は、わしの得意分野で」


シュヴァルツは満面な笑顔を浮かべてから、空間から大剣を取り出しては担いでいる。


「んじゃ、早速中に入ってミュウちゃんのお兄さんを助け出すよっ!!」

「おんっ!」


ククルとシュヴァルツが、館にある旧倉庫から地下へと続いている道を走っていく。







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