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第四十五話
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「ねえ、マモルあの獣人の女の子だれ?」
「ああ、あれはな......」
山道を登りながらラクレイにそう聞かれた。 俺は橘さんと話している巨大なリュックを背負った猫のような獣人の少女の話を始める。
それは二日前。
「マモルさまに頼みごとを聞いていただけませんか?」
そうセレンティナさんが申し訳なさそうにそういった。
「頼みですか?」
「ええ、実はあるモンスターがいまして、それを駆除して欲しいのです」
「それはセレンティナさんにはお世話になっていますし、構いませんけど、いけない何か理由があるんですか?」
「はい、どうもこちら側で不穏な動きがあり、魔族の者たちを情報収集に当たらせているのです。 ただ、元々数が少ないため、人材が足らなくて、もちろん報酬はお支払しますよ」
(リューゲリオンさんが話していたことか、もしかしたらこの間襲われたアディエルエに関することかもな......)
セレンティナさんの態度から、そう感じ取った俺は依頼を受けた。
あるものを道案内として同行させます、そう聞いてあの少女を紹介され、俺とガルム、ラクレイ橘さんはここにいる。
「なんや、ウチの噂話か?」
そうにやにやと猫耳少女は答えた。
「い、いや別に、誰なのかなぁって」
ラクレイはビックリして答える。
「獣人だぞ。 小声だろうが聞こえるに決まってる。 で誰なんだあんた」
「八魔将だよガルム」
「なっ!?」
「うそ!? でも魔力が......」
俺がいうとラクレイとガルムが腰を抜かすほど驚いている。
「そうや、ウチは八魔将【金将】のメルティーや、よろしゅうな。 でもウチは戦闘力で選ばれたんとちゃうから魔力はほどほどや」
(西にいたからか関西弁なのか?)
「そうなんだね。 八魔将の方ってみんな魔力が高いのかと思ってた」
「ユウナやったな。 そうなんやウチは猫のライカンスロープ、元より商売人やねん。 それでアディの欲しいもん向こうで見繕ってたから、八魔将になれてん。 八魔将の称号あったらどこへでもいけるからね」
「それでか...... アディエルエのわがままか、それは大変な苦労だったろうな」
そういうと、俺の手を両手で握る。
「わかるか! わかってくれるかマモル! あの子めちゃめちゃな要求してくんねん! 探すのがムズいもんばっかり頼んできてな! そんで必死に集めたら集めたで、セレンティナさまが静かにものごっつおこんねん! ウチにどーせーっちゅうねん!」
目に涙をためながら訴えてくる。
(あいつ、あっちの時からそんなことしてたのか、普段ナメクジみたいなのに...... 好きなことは無駄にアグレッシブだからな)
「だったらやめてしまえばよかったのに、あいつは止めないだろ」
「まあ、そやねんけど...... 持っていくといっつもはナメクジみたいやのに、そのときはものごっつ喜ぶねん。 それがみとうてな...... ついお願い聞いてまうねん」
そういいながら頭をかいた。
(まあ、その気もちはわからんでもない)
「それで、メルティーさま。 一体なにを倒しにいくんですか?」
ガルムが聞いた。
「リントヴルムや」
「り、リントヴルム! ドラゴンの一種じゃないですか!?」
ラクレイがしりごみした。
「そやねん。 東と西の通り道に居すわってもうて、難儀してんねん。 こっちに来るのもひと苦労やったわ。 アイテムつこうて隠れたりしてな」
「リントヴルムはAクラス相当だね......」
不安そうに橘さんがつぶやく。
「そんなの俺たちで倒せるのか。 俺たちはDクラス冒険者だぞ」
「セレンティナさまがいけるゆうたらいけるやろ? まあウチの鑑定でもあんたらの実力はBクラス以上はあるで」
「ほ、ほんとうか!」
「Bなんてもうベテランだよ!」
ガルムとラクレイが興奮気味に聞いた。
「ああ、あんたら他の八魔将に鍛えてもろたやろ。 ビンビン魔力を感じるでウチの目に狂いはないわ」
そういわれてガルムたちは二人は喜んでいる。
「で、メルティー、そんな強いモンスターならギルドやこっちの国や政府に頼めば良かったんじゃなかったのか?」
「それやがな。 その場所が問題やねん。 そこは【サードエリア】やねん」
「サードエリア...... あの土地か?」
「そう、他の世界やった別の場所や、だから争いを避けるため互いの国が勝手に入り込めんくて、ウチらに何とかしてくれ言うてきたんや」
「それで...... で策はあるのか? ドラゴンなら空を飛ばれたら攻撃もほとんど当てられん。 厄介だぞ」
「ああ、それはウチに任しとき、あんたらは地上でウチが戻るまで足止めしといてくれたらええ。 でも、あいつは鱗に魔力を流してるから傷をつけられへんかもわからんけど、頼むわ」
「鱗に魔力...... 俺の付与魔法みたいなものか...... わかった。 ああそうだ、メルティーは関西にいたんだろ。 向こうはどんな感じなんだ。 ネットも全国はまだ繋がってないからよくわからないんだ」
「んー、そやな。 結構うまく行ってるで、向こうはフレンドリーやから、亜人やろうが、異世界人やろうがおもろければ受け入れられるからな」
きゃきゃきゃとメルティーは楽しそうに笑った。
「ああ、あれはな......」
山道を登りながらラクレイにそう聞かれた。 俺は橘さんと話している巨大なリュックを背負った猫のような獣人の少女の話を始める。
それは二日前。
「マモルさまに頼みごとを聞いていただけませんか?」
そうセレンティナさんが申し訳なさそうにそういった。
「頼みですか?」
「ええ、実はあるモンスターがいまして、それを駆除して欲しいのです」
「それはセレンティナさんにはお世話になっていますし、構いませんけど、いけない何か理由があるんですか?」
「はい、どうもこちら側で不穏な動きがあり、魔族の者たちを情報収集に当たらせているのです。 ただ、元々数が少ないため、人材が足らなくて、もちろん報酬はお支払しますよ」
(リューゲリオンさんが話していたことか、もしかしたらこの間襲われたアディエルエに関することかもな......)
セレンティナさんの態度から、そう感じ取った俺は依頼を受けた。
あるものを道案内として同行させます、そう聞いてあの少女を紹介され、俺とガルム、ラクレイ橘さんはここにいる。
「なんや、ウチの噂話か?」
そうにやにやと猫耳少女は答えた。
「い、いや別に、誰なのかなぁって」
ラクレイはビックリして答える。
「獣人だぞ。 小声だろうが聞こえるに決まってる。 で誰なんだあんた」
「八魔将だよガルム」
「なっ!?」
「うそ!? でも魔力が......」
俺がいうとラクレイとガルムが腰を抜かすほど驚いている。
「そうや、ウチは八魔将【金将】のメルティーや、よろしゅうな。 でもウチは戦闘力で選ばれたんとちゃうから魔力はほどほどや」
(西にいたからか関西弁なのか?)
「そうなんだね。 八魔将の方ってみんな魔力が高いのかと思ってた」
「ユウナやったな。 そうなんやウチは猫のライカンスロープ、元より商売人やねん。 それでアディの欲しいもん向こうで見繕ってたから、八魔将になれてん。 八魔将の称号あったらどこへでもいけるからね」
「それでか...... アディエルエのわがままか、それは大変な苦労だったろうな」
そういうと、俺の手を両手で握る。
「わかるか! わかってくれるかマモル! あの子めちゃめちゃな要求してくんねん! 探すのがムズいもんばっかり頼んできてな! そんで必死に集めたら集めたで、セレンティナさまが静かにものごっつおこんねん! ウチにどーせーっちゅうねん!」
目に涙をためながら訴えてくる。
(あいつ、あっちの時からそんなことしてたのか、普段ナメクジみたいなのに...... 好きなことは無駄にアグレッシブだからな)
「だったらやめてしまえばよかったのに、あいつは止めないだろ」
「まあ、そやねんけど...... 持っていくといっつもはナメクジみたいやのに、そのときはものごっつ喜ぶねん。 それがみとうてな...... ついお願い聞いてまうねん」
そういいながら頭をかいた。
(まあ、その気もちはわからんでもない)
「それで、メルティーさま。 一体なにを倒しにいくんですか?」
ガルムが聞いた。
「リントヴルムや」
「り、リントヴルム! ドラゴンの一種じゃないですか!?」
ラクレイがしりごみした。
「そやねん。 東と西の通り道に居すわってもうて、難儀してんねん。 こっちに来るのもひと苦労やったわ。 アイテムつこうて隠れたりしてな」
「リントヴルムはAクラス相当だね......」
不安そうに橘さんがつぶやく。
「そんなの俺たちで倒せるのか。 俺たちはDクラス冒険者だぞ」
「セレンティナさまがいけるゆうたらいけるやろ? まあウチの鑑定でもあんたらの実力はBクラス以上はあるで」
「ほ、ほんとうか!」
「Bなんてもうベテランだよ!」
ガルムとラクレイが興奮気味に聞いた。
「ああ、あんたら他の八魔将に鍛えてもろたやろ。 ビンビン魔力を感じるでウチの目に狂いはないわ」
そういわれてガルムたちは二人は喜んでいる。
「で、メルティー、そんな強いモンスターならギルドやこっちの国や政府に頼めば良かったんじゃなかったのか?」
「それやがな。 その場所が問題やねん。 そこは【サードエリア】やねん」
「サードエリア...... あの土地か?」
「そう、他の世界やった別の場所や、だから争いを避けるため互いの国が勝手に入り込めんくて、ウチらに何とかしてくれ言うてきたんや」
「それで...... で策はあるのか? ドラゴンなら空を飛ばれたら攻撃もほとんど当てられん。 厄介だぞ」
「ああ、それはウチに任しとき、あんたらは地上でウチが戻るまで足止めしといてくれたらええ。 でも、あいつは鱗に魔力を流してるから傷をつけられへんかもわからんけど、頼むわ」
「鱗に魔力...... 俺の付与魔法みたいなものか...... わかった。 ああそうだ、メルティーは関西にいたんだろ。 向こうはどんな感じなんだ。 ネットも全国はまだ繋がってないからよくわからないんだ」
「んー、そやな。 結構うまく行ってるで、向こうはフレンドリーやから、亜人やろうが、異世界人やろうがおもろければ受け入れられるからな」
きゃきゃきゃとメルティーは楽しそうに笑った。
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