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第六十四話

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「なんとか押しとどめてるな」

 俺はディンとセレネ、グランディス、ネメイオとティンクルにのって空を飛んでいる。 眼下はにはあの強力なモンスターたちと人間、魔族たち合同軍が戦っている。

「余たちも加わらなくてよいのか、どんどん暗黒大陸からでてくるぞ」

 ディンが下をみて不安そうにいった。

「こいつらは自分の意思で動いてる訳じゃないようです。 仲間のモンスター同士は争っていません」

「ああ多分、あのヴェルディクがその力で操作している。 やつを倒せばなんとかなる」

 ティンクルとグラディスがそういった。

「心配だ......」

「ディン大丈夫よ! 死者の操杖《ネクロマンサー》も双魔の腕輪もドレインリングも全てライゼが全魔力を使って双身の魔鏡で複製して、ミーナが皆に持たせてるわ!」

 ネメイオがそういった。

「ええ、私やサキミさんの剣も少し持たせております。 魔力がかかるので少しですが、かなりの戦力となるでしょう!」 

 セレネが剣を抜いてそういった。

「俺もローブを新調した。 それに......」

「おい...... いたぞ」

 グラディスが指差すと、ヴェルディクが黒い山の峠に見えた。

「なにかくる!!」

 ティンクルがそういうと、全方から高速で飛んでくるものがいた。

「きたあのワイバーン!!」

 私たちはワイバーンと戦います。 あなたたちはヴェルディクを倒してください!」

 複製した風のヴェールを身につけたセレネたちはティンクルから飛び降りた。

 俺とディンはティンクルと共に黒い山へとむかう。

 黒い砲撃が放たれる。
 
「なめるな!!」 

 ヴァルディオンで切り裂いた。

「カオティックオーバーフレア!!」

 ディンの魔法とティンクルのブレスが放たれる。 ヴェルディクが爆発に包まれる。

 俺たちは地面に降りた。

「ティンクル! セレネたちに加勢を! あのワイバーン相手じゃ戦力が足りん!」

「はい! ねえさま!」

 ティンクルは反転してワイバーンにむかう。

「ほう、魔族と人間が手を取り合っているな...... お前たちの画策か」

 そういって黒い球体に包まれたヴェルディクが現れる。

「お前も異世界人なのか......」

「ということは、お前もか......」

 問いかけると、ヴェルディクが答える。

「なんでこんなことをする!」

「それを知ってるなら、アマルセウスの話を聞いたのだろう。 我らは人間の感情を糧とする。 そしてより強い感情は、憎悪や悪意だからだ」
 
「それをえてこの世界をどうするつもりなんだ」 

「我等の同胞を迎え入れ、この世界を我らの世界へとかえるだけだ」

 こともなくヴェルディクはそういった。

「人間がいなくなれば、それすら叶わぬだろう」

 ディンがそういう。

「人は放っておけばいくらでもわいてくるだろう...... また貯めて苦しめればいくらでもエネルギーを得られる。 アマルセウスやお前とてそうだろう......」
 
 そうディンを指差す。

「余はそのようなことは求めぬ...... アマルセウスも!」

「アマルセウスは負の感情をえていたのだ。 我らと同じようにな。 その力でさまざまなアイテムを作った。 同じ穴の狢だ」

「ちがう! ちがう...... アマラセウスも余も......」

 ディンは首をふる。

「いいや、アマルセウスは罪の意識を持っていた。 だから、結界をはり暗黒大陸を封じた。 お前とはちがう! もちろんディンもな!」

「サキミ......」

「同じだ。 お前も我らの世界の存在、人の感情を糧として食らう存在だ。 だからアマラセウスは消え去った。 感情をえなくなったからな......」

「私は......」

 ディンがうろたえている。

「ディン! やるぞ!」

「あ、ああ......」

 俺たちは持ちうる攻撃でヴェルディクを攻め立てる。 だが、黒い球体に阻まれ中にまで攻撃が届かない。

「クックック...... どうしたその程度か......」

「サキミ! あれをなんとかしないと!」

「ああ...... フェアネスソウルで打開する......」

 俺は小声で伝えた。

「無駄だ。 我は人の負の感情をとりこんでいる...... 無限にあるこの力をお前たちの魔力でやぶることはできぬ。 例えお前の平均化する魔法であってもな......」

 ヴェルディクはそういって口元に笑みを浮かべる。

(!?)

「なんだと...... なぜサキミの魔法のことを!」 

 俺たちは驚いた。

「それであのガルガンチュアを倒したのだろう。 だが我には効かぬ...... 使ってみるがよい」
 
 そうヴェルディクは両手を広げて挑発するようにいった。

 
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