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第14話 磨術祭⑦ 決勝
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控え室に戻ると、雅と灰が待っていた。
「すげえな! あいつを倒すなんて!」
「当たり前です! 神無様ですよ!」
二人とも凄く喜んでいる。
「でも、僕達を襲ったのは甲さんでは無かったよ」
「そうか......確かに、神無に復讐したとしても他の五家があるしな......やはり、身内なのか」
「いや考えすぎだったのかも......常に土光薙は狙われているともいえますから、この試合には関係ないかもしれません。 今は優勝を目指してください、神無様」
灰と雅はそう言った。
ほら対戦相手が決まりました。 雅にそう言われてモニターをみると、兎木 香が壬 冴を下したようだった。
「金形代を倒したやつか」
「ええ、高校一年で、なかなかの木行使いですが、神無様には及びませんし、ほら、いまの試合でもう満身創痍ですよ」
確かに、前の金形代君との戦いと今回でかなりダメージを受けているように見えるし、霊力も少なく感じる。
「だけど、お前、急にやる気ある感じに見えるけど、優勝を狙ってんのか」
灰が不思議そうに聞く、
「ああ、......最初は気が進まなかったし、二人と戦えればいいと思ってたけど、僕も思うところがあるから、優勝を目指すよ」
「当然です! それにしても、あの麟と言う子、一体何処にいったのでしょう?」
雅が不思議そうに言った。
会場に向かうと、さっき負けた金形代君が苦しそうに壁に手をついていた。
「金形代君! まだ動いたら駄目だ!」
僕が駆け寄ると、金形代は僕の肩を両腕で持つと、
「......土光薙......いいか、あいつには気を付けろ、普通......じゃない......」
そう言うと崩れ落ちた、僕は係の人を呼び彼を運んでもらった。
(あいつ......兎木という少女のことか......一体......)
会場に入ると観客は熱狂していた。 舞台に登ると今回は変化せず石のような舞台のままだった。
「決勝なので、このままにしてもらったんですよ、観客の声を聞いた方が盛り上がるでしょう」
対戦相手の兎木 香が無邪気にそう言った。 彼女から強い香水のような匂いがしてきた。
(笑ってはいるが、感情が伝わってこない......)
試合が始まると、彼女は術式を唱えた、地面から巨木が何十本も生え伸びた枝が鋭利な刃物のように襲ってくる。 僕はそれを霊甲で防ぎつつ、霊刃で斬りつける。
(特に変わった戦い方でもない......だがこの纏わりつくような嫌な感じは......)
「土光薙君は、この世界どう思ってる?」
攻防を続けながら、彼女は話しかけてきた。
「どうとは?」
「術士と普通の人間との事よ、私達術士が普通の人間を蔑むのは怖いからなの」
「怖い......強い力を持つのに?」
彼女は笑いながら続けた。
「強い力を持ってても、所詮は少数のマイノリティー、人間が私達を憎んで、戦争にでもなれば、圧倒的な数の普通の人達に蹂躙される。 それを恐れて、こんな風に隠れて生きているのよ」
「それは、自分達の見えないものが見え触れる。 そんな人達を知らずに恐れるのはあたりまえだよ」
「そうね......知れば敬うか逆に迫害するか、どちらにせよ、対等てはないわね。 最初から上下しかないのだもの」
「何が言いたいの......」
彼女は攻撃を止め、ゆっくりそしてはっきり言った。
「人間を支配しましょう」
「なっ! そんな話に僕が乗るとでも!」
「全面戦争になれば負けても、今から少しずつ支配地域を増やしていけば、人間を支配できる。 私達、術士の世界を作りましょう」
僕は伸ばした霊刃をためらわず、彼女の心臓に突き刺した。 ガクッと項垂れる彼女を見ていった。
「あなたは人のために動くような人間じゃない、そうだろう死人使い!」
その言葉を聞いて、今まで騒いでいた観客が沈黙した。
「死人使いじゃと......」
水瀞理事長が呟く、
兎木香が、項垂れた顔を持ち上げ、満面の笑みで答えた。
「ひどいなあ、死人とはいえ人間なんだぞ」
「何が人間だ、顔以外の体のほとんどを人形に代えているくせに」
「ええ、驚いたそんなことまでわかるんだ。 ぼくは生来、霊力感知が下手でね。 で、どうしてぼくが死人だとわかったの」
「前の金形代君との戦いからだ、彼の家はかなり非情な家だ。 僕のように戦いに情を持ちこんだりしない、その彼が斬り損ねるとは思わなかった。 そんな彼から君に気を付けろと忠告された。 よほどの事がない限り、黙っているだろう。 その彼がわざわざ警告するぐらい危険だと判断した。 それで確信するには十分だ」
「鍊君か......そこまで信頼されているとはなあ......殺すと警戒されると思って生かしておいたんだけど、殺しておけばよかったよ」
「なぜ、僕を狙う、その人間支配とか言うものの為にか」
無名は、顎を持ち首をかしげながら言うと、にやあと嫌な笑い方をして、
「そうだね、君のその強大な霊力量なら、とても面白いことが出きると思うけど、ぼくは単に君をコレクションにしたかったんだ」
少女は偏執的な笑みを浮かべ言った。
「貴様、まさか! 姓 無名《かばね むめい》か! 10年前死んだのではなかったのか!」
水瀞理事長が聞くと、
「ああ、死んだよ、でも誰かが甦らせてくれたんだ」
無名はあっさりとそう答えた。
「反魂香《はんごんこう》か......それを使ったのは誰じゃ!」
「知らないよ、ぼくはぼくの興味あることにしか意識にないからね。 誰が甦がえらせたかとか、何の為にかなんて興味がないんだ」
あっけらかんとそう答えた。
(誰かが、裏で糸をひいてるのか......)
「ぼくが興味があるのさ神無ちゃんだけさ。 是非コレクションになって欲しい」
背筋の凍るような霊力を纒いながら、近づいてきた。
外から灰と雅が舞台に入ろうとしている。
「無駄さ、この結界は僕が作ったものなんだ。 別の結界の達人の死人でね。 五行家でも逃げられはしないよ」
「本体を見つければ......」
僕が言うと、
「さー、どうだろーねー」
僕が最大集束の霊玉を撃ち込み、身体を破壊すると、頭が体から転げ落ちた。 その時、舞台にある巨木から大きな実がいくつもなると、その実が割れ人が地上に落ちてきて、わらわらと動き出した。
そのひとりの男の声で、
「ぼくのコレクションの一部の死人《しびと》だよ、この中のどれかにぼくの魂はあるよ」
そう言うと笑い声が響いた。
動く死人達はそれぞれ術式を唱え僕を攻撃してくる。
「ちっ! この結界固すぎる!!」
灰や雅、観客達からも外から攻撃を加え結界を壊そうとしていたが、びくともしなかった。
「ムダさ、さっき言ったろ。 この結界は複数の結界の名手の複合結界なのさ、絶対に破れはしないよ~」
無名はふざけた調子でそう言った。
僕は霊玉の連発で死人を減らしていくが、霊力も減っていった。
「神無ちゃんが無尽蔵の霊力を持っても、こっちは死人の霊力を使うから無限なんだ。 いつかは君の方が力尽きるんだよ」
確かに僕の、霊力は底を尽きかけていた。
「すげえな! あいつを倒すなんて!」
「当たり前です! 神無様ですよ!」
二人とも凄く喜んでいる。
「でも、僕達を襲ったのは甲さんでは無かったよ」
「そうか......確かに、神無に復讐したとしても他の五家があるしな......やはり、身内なのか」
「いや考えすぎだったのかも......常に土光薙は狙われているともいえますから、この試合には関係ないかもしれません。 今は優勝を目指してください、神無様」
灰と雅はそう言った。
ほら対戦相手が決まりました。 雅にそう言われてモニターをみると、兎木 香が壬 冴を下したようだった。
「金形代を倒したやつか」
「ええ、高校一年で、なかなかの木行使いですが、神無様には及びませんし、ほら、いまの試合でもう満身創痍ですよ」
確かに、前の金形代君との戦いと今回でかなりダメージを受けているように見えるし、霊力も少なく感じる。
「だけど、お前、急にやる気ある感じに見えるけど、優勝を狙ってんのか」
灰が不思議そうに聞く、
「ああ、......最初は気が進まなかったし、二人と戦えればいいと思ってたけど、僕も思うところがあるから、優勝を目指すよ」
「当然です! それにしても、あの麟と言う子、一体何処にいったのでしょう?」
雅が不思議そうに言った。
会場に向かうと、さっき負けた金形代君が苦しそうに壁に手をついていた。
「金形代君! まだ動いたら駄目だ!」
僕が駆け寄ると、金形代は僕の肩を両腕で持つと、
「......土光薙......いいか、あいつには気を付けろ、普通......じゃない......」
そう言うと崩れ落ちた、僕は係の人を呼び彼を運んでもらった。
(あいつ......兎木という少女のことか......一体......)
会場に入ると観客は熱狂していた。 舞台に登ると今回は変化せず石のような舞台のままだった。
「決勝なので、このままにしてもらったんですよ、観客の声を聞いた方が盛り上がるでしょう」
対戦相手の兎木 香が無邪気にそう言った。 彼女から強い香水のような匂いがしてきた。
(笑ってはいるが、感情が伝わってこない......)
試合が始まると、彼女は術式を唱えた、地面から巨木が何十本も生え伸びた枝が鋭利な刃物のように襲ってくる。 僕はそれを霊甲で防ぎつつ、霊刃で斬りつける。
(特に変わった戦い方でもない......だがこの纏わりつくような嫌な感じは......)
「土光薙君は、この世界どう思ってる?」
攻防を続けながら、彼女は話しかけてきた。
「どうとは?」
「術士と普通の人間との事よ、私達術士が普通の人間を蔑むのは怖いからなの」
「怖い......強い力を持つのに?」
彼女は笑いながら続けた。
「強い力を持ってても、所詮は少数のマイノリティー、人間が私達を憎んで、戦争にでもなれば、圧倒的な数の普通の人達に蹂躙される。 それを恐れて、こんな風に隠れて生きているのよ」
「それは、自分達の見えないものが見え触れる。 そんな人達を知らずに恐れるのはあたりまえだよ」
「そうね......知れば敬うか逆に迫害するか、どちらにせよ、対等てはないわね。 最初から上下しかないのだもの」
「何が言いたいの......」
彼女は攻撃を止め、ゆっくりそしてはっきり言った。
「人間を支配しましょう」
「なっ! そんな話に僕が乗るとでも!」
「全面戦争になれば負けても、今から少しずつ支配地域を増やしていけば、人間を支配できる。 私達、術士の世界を作りましょう」
僕は伸ばした霊刃をためらわず、彼女の心臓に突き刺した。 ガクッと項垂れる彼女を見ていった。
「あなたは人のために動くような人間じゃない、そうだろう死人使い!」
その言葉を聞いて、今まで騒いでいた観客が沈黙した。
「死人使いじゃと......」
水瀞理事長が呟く、
兎木香が、項垂れた顔を持ち上げ、満面の笑みで答えた。
「ひどいなあ、死人とはいえ人間なんだぞ」
「何が人間だ、顔以外の体のほとんどを人形に代えているくせに」
「ええ、驚いたそんなことまでわかるんだ。 ぼくは生来、霊力感知が下手でね。 で、どうしてぼくが死人だとわかったの」
「前の金形代君との戦いからだ、彼の家はかなり非情な家だ。 僕のように戦いに情を持ちこんだりしない、その彼が斬り損ねるとは思わなかった。 そんな彼から君に気を付けろと忠告された。 よほどの事がない限り、黙っているだろう。 その彼がわざわざ警告するぐらい危険だと判断した。 それで確信するには十分だ」
「鍊君か......そこまで信頼されているとはなあ......殺すと警戒されると思って生かしておいたんだけど、殺しておけばよかったよ」
「なぜ、僕を狙う、その人間支配とか言うものの為にか」
無名は、顎を持ち首をかしげながら言うと、にやあと嫌な笑い方をして、
「そうだね、君のその強大な霊力量なら、とても面白いことが出きると思うけど、ぼくは単に君をコレクションにしたかったんだ」
少女は偏執的な笑みを浮かべ言った。
「貴様、まさか! 姓 無名《かばね むめい》か! 10年前死んだのではなかったのか!」
水瀞理事長が聞くと、
「ああ、死んだよ、でも誰かが甦らせてくれたんだ」
無名はあっさりとそう答えた。
「反魂香《はんごんこう》か......それを使ったのは誰じゃ!」
「知らないよ、ぼくはぼくの興味あることにしか意識にないからね。 誰が甦がえらせたかとか、何の為にかなんて興味がないんだ」
あっけらかんとそう答えた。
(誰かが、裏で糸をひいてるのか......)
「ぼくが興味があるのさ神無ちゃんだけさ。 是非コレクションになって欲しい」
背筋の凍るような霊力を纒いながら、近づいてきた。
外から灰と雅が舞台に入ろうとしている。
「無駄さ、この結界は僕が作ったものなんだ。 別の結界の達人の死人でね。 五行家でも逃げられはしないよ」
「本体を見つければ......」
僕が言うと、
「さー、どうだろーねー」
僕が最大集束の霊玉を撃ち込み、身体を破壊すると、頭が体から転げ落ちた。 その時、舞台にある巨木から大きな実がいくつもなると、その実が割れ人が地上に落ちてきて、わらわらと動き出した。
そのひとりの男の声で、
「ぼくのコレクションの一部の死人《しびと》だよ、この中のどれかにぼくの魂はあるよ」
そう言うと笑い声が響いた。
動く死人達はそれぞれ術式を唱え僕を攻撃してくる。
「ちっ! この結界固すぎる!!」
灰や雅、観客達からも外から攻撃を加え結界を壊そうとしていたが、びくともしなかった。
「ムダさ、さっき言ったろ。 この結界は複数の結界の名手の複合結界なのさ、絶対に破れはしないよ~」
無名はふざけた調子でそう言った。
僕は霊玉の連発で死人を減らしていくが、霊力も減っていった。
「神無ちゃんが無尽蔵の霊力を持っても、こっちは死人の霊力を使うから無限なんだ。 いつかは君の方が力尽きるんだよ」
確かに僕の、霊力は底を尽きかけていた。
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