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第三十一話『魔王の記憶と、黒きディムリアの目覚め』──融合魔法、発動までの死闘。
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ダンジョン内を歩く。 まだディムリアはボケッとしている。
「ここは前のダンジョンとにているな......」
「えっ? 前の」
「ああ、ディムリアが封印されていた場所だ」
「封印? ディムリアさん封印されていたのですか!?」
(ああ、そういやセリエスにははなしてなかったな。 さすがにもうはなすか)
「こいつは魔王なんだと」
「魔王...... そういえばそんなことをはなしてましたね。 いつもふざけられているので冗談かと...... ですが、ディムリアさんが魔王だなんて信じられません......」
セリエスは言葉を失っている。
「そもそも魔王って何をしたんだ?」
「......ぼくも伝え聞いた話ですが、モンスターを操りこの世界を支配しようとしたらしいです。 そこでリアベールに倒されたとか」
「なるほど、だがそれならこのアホには関係ないだろ。 絶対にそんなことできないし......」
「そうですね。 ディムリアさんは人間を支配しようと思わないでしょう」
そう安心したようにセリエスが息を吐く。
(だとすると、こいつはなんだ?)
ゆっくりついていく。 神殿のような場所についた。 そこには前と同じように台座があり、そのうえに石の箱がある。
「前と同じようなところだな。 あの台座にあった石にこいつは入っていた。 ということはあの箱には......」
「うっ...... ここは」
ディムリアが意識を戻した。
「やっとまともになったか」
「なぜここに」
おれたちはここまでのいきさつをはなした。
「なるほど...... ここは我のいた場所ににておるが......」
「あの石お前みたいなのがはいってるのか? ならもうお腹いっぱいだから帰ろう」
「どういう意味じゃ!」
「でも誰かがはいっていたら助けてあげないと」
「セリエスはよいこじゃ、お前は悪いこじゃ」
「うるせえよ。 しかたない...... あけるか」
おれたちは石の箱にさわる。
「まえはお前のイビキが聞こえてたが」
「魔王はイビキなどかかん!!」
「お前はアイドルか」
「中からはなにも聞こえませんね」
おれとセリエスで石の箱の蓋をあけようとする。
ゴゴ......
「まてシュン!! おかしい......」
「えっ!?」
少しあいた隙間から黒い霧がふきだした。
「なんですか! シュンさん! この黒い霧!」
「わからん! いや、これは魔力か!」
「ああ! 目に見えるほどの高濃度の魔力じゃ!!」
石の蓋が吹き飛んだ。
「くっ、なんだ!?」
目を開けるとそこには人型のなにかがいた。 それは黒い体に赤い目と、二本の角をもつ、言うなれば悪魔といった風だった。 そしてそいつからとてつもないプレッシャーを感じる。 ディムリアもセリエスも緊張しているのがわかった。
「なんだ...... 虫けらか」
黒い悪魔はおれたちをみると蔑むような目でこちらをみる。
「......へぇ、そうでございますぅ」
おれはペコペコとする。
「なにをしておるシュン!!」
「第二の器官《セカンドオーガン》、足! 腕!」
おれはすぐにセリエスとディムリアを抱えてにげた。
「シュンさん!」
セリエスの声でまえをみるとそこに悪魔がいた。
「くっ......」
「なんのつもりだ...... 虫けら」
「やぁ!!」
セリエスが大剣できりつけた。
ガキッ!!!
それを悪魔は片腕でうける。
「......ほう。 虫けらにしてはたいした力だ...... 殺しておくか」
「なめるな! 氷獄魔法! コキュートスジェイル!!」
ディムリアの魔法で悪魔は一瞬にして凍りついた。
「よし! 二人とも逃げるぞ!」
おれは二人を抱え通路を逃げる。
「なんだあいつ! ヤバいぞ! 勝てる気がしない!」
「ええ、普通のモンスターではありません......」
「あれでは足止めくらいしかならぬぞ」
「どうする!? セリエスの剣でも腕でとめられる! 逃げようにもこのダンジョンからでてもサソリがいやがる」
「我の魔法...... 残り二つを融合すればあるいは......」
「できるのか!」
「やったことはない...... ただやるにしても時間がかかる」
「時間稼ぎするしかないですね」
「ディムリアはここにいろ。 魔法を使えるようになるまで、俺たちで何とかする」
「......わかった。 死ぬなよ二人とも」
「はい!」
「誰が死ぬか!」
おれとセリエスは黒い悪魔をまちかまえる。
「匂う...... 虫けらの匂い。 それともう一匹......」
「ああ、おれはゴキブリ並みにしぶといぞ」
おれはおもむろにまえにでた。
「ここは前のダンジョンとにているな......」
「えっ? 前の」
「ああ、ディムリアが封印されていた場所だ」
「封印? ディムリアさん封印されていたのですか!?」
(ああ、そういやセリエスにははなしてなかったな。 さすがにもうはなすか)
「こいつは魔王なんだと」
「魔王...... そういえばそんなことをはなしてましたね。 いつもふざけられているので冗談かと...... ですが、ディムリアさんが魔王だなんて信じられません......」
セリエスは言葉を失っている。
「そもそも魔王って何をしたんだ?」
「......ぼくも伝え聞いた話ですが、モンスターを操りこの世界を支配しようとしたらしいです。 そこでリアベールに倒されたとか」
「なるほど、だがそれならこのアホには関係ないだろ。 絶対にそんなことできないし......」
「そうですね。 ディムリアさんは人間を支配しようと思わないでしょう」
そう安心したようにセリエスが息を吐く。
(だとすると、こいつはなんだ?)
ゆっくりついていく。 神殿のような場所についた。 そこには前と同じように台座があり、そのうえに石の箱がある。
「前と同じようなところだな。 あの台座にあった石にこいつは入っていた。 ということはあの箱には......」
「うっ...... ここは」
ディムリアが意識を戻した。
「やっとまともになったか」
「なぜここに」
おれたちはここまでのいきさつをはなした。
「なるほど...... ここは我のいた場所ににておるが......」
「あの石お前みたいなのがはいってるのか? ならもうお腹いっぱいだから帰ろう」
「どういう意味じゃ!」
「でも誰かがはいっていたら助けてあげないと」
「セリエスはよいこじゃ、お前は悪いこじゃ」
「うるせえよ。 しかたない...... あけるか」
おれたちは石の箱にさわる。
「まえはお前のイビキが聞こえてたが」
「魔王はイビキなどかかん!!」
「お前はアイドルか」
「中からはなにも聞こえませんね」
おれとセリエスで石の箱の蓋をあけようとする。
ゴゴ......
「まてシュン!! おかしい......」
「えっ!?」
少しあいた隙間から黒い霧がふきだした。
「なんですか! シュンさん! この黒い霧!」
「わからん! いや、これは魔力か!」
「ああ! 目に見えるほどの高濃度の魔力じゃ!!」
石の蓋が吹き飛んだ。
「くっ、なんだ!?」
目を開けるとそこには人型のなにかがいた。 それは黒い体に赤い目と、二本の角をもつ、言うなれば悪魔といった風だった。 そしてそいつからとてつもないプレッシャーを感じる。 ディムリアもセリエスも緊張しているのがわかった。
「なんだ...... 虫けらか」
黒い悪魔はおれたちをみると蔑むような目でこちらをみる。
「......へぇ、そうでございますぅ」
おれはペコペコとする。
「なにをしておるシュン!!」
「第二の器官《セカンドオーガン》、足! 腕!」
おれはすぐにセリエスとディムリアを抱えてにげた。
「シュンさん!」
セリエスの声でまえをみるとそこに悪魔がいた。
「くっ......」
「なんのつもりだ...... 虫けら」
「やぁ!!」
セリエスが大剣できりつけた。
ガキッ!!!
それを悪魔は片腕でうける。
「......ほう。 虫けらにしてはたいした力だ...... 殺しておくか」
「なめるな! 氷獄魔法! コキュートスジェイル!!」
ディムリアの魔法で悪魔は一瞬にして凍りついた。
「よし! 二人とも逃げるぞ!」
おれは二人を抱え通路を逃げる。
「なんだあいつ! ヤバいぞ! 勝てる気がしない!」
「ええ、普通のモンスターではありません......」
「あれでは足止めくらいしかならぬぞ」
「どうする!? セリエスの剣でも腕でとめられる! 逃げようにもこのダンジョンからでてもサソリがいやがる」
「我の魔法...... 残り二つを融合すればあるいは......」
「できるのか!」
「やったことはない...... ただやるにしても時間がかかる」
「時間稼ぎするしかないですね」
「ディムリアはここにいろ。 魔法を使えるようになるまで、俺たちで何とかする」
「......わかった。 死ぬなよ二人とも」
「はい!」
「誰が死ぬか!」
おれとセリエスは黒い悪魔をまちかまえる。
「匂う...... 虫けらの匂い。 それともう一匹......」
「ああ、おれはゴキブリ並みにしぶといぞ」
おれはおもむろにまえにでた。
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