4 / 52
第四話「ぼくが与えたもの、ぼくが得たもの」
しおりを挟む
それから、何人もの人がダンジョンに入ってきた。 しかしそれも二週間ぐらいのこと、徐々に人が少なくなってきた。
「うーん、三日間、人が来ないな...... 最初は毎日きてたのに」
「モンスターの数と強さをあげすぎたかな」
「確かに、1階ぐらいまでで宝物を回収して帰られると、魔力が赤字になるからモンスターで邪魔してましたからね」
モンスターもスライム十匹、【ジャイアントバット】二十匹、ポイズンスライム二匹、【クロウラー】五匹となっていた。
ミミックさんがいうには、どうやら対抗するのに騎士団員クラスの実力が必要らしい。
「やはり、わざと持ち帰らせる必要もあるかも」
そう考えるようにミミックさんはいった。
「ええ、でも、結構レアな宝石も作れたんですけど、低い階層だともったいなく思うし......」
「でも深くにおくと、あることがわからないしな。 難しい。 このままだと人がいなくなるかも......」
ぼくたちは意気消沈した。 その時入口に人がはいったのを感じる。
「誰かきた!」
「だがこれは......」
ミミックさんは集中している。
「お姉ちゃん、怖いよ」
「大丈夫...... ゆっくりいけば」
二人の幼い女の子が、おどおどしながらダンジョンに入ってきた。
「これは肝試しかな。 危ないから壁をつくって帰しましょう」
「まって......」
ミミックさんが止めた。 二人の話が聞こえる。
「やめようよ...... モンスターさんきちゃうよ」
「だめ、お母さんの薬代がいるの。 ここに宝物があるから、それを持って帰るの」
二人はそういってダンジョンを歩いてくる。
「これは......」
「どうするダンジョンさん」
そうミミックさんがきいた。
「......これを持っていってくれます」
ぼくはレアな宝石をミミックさんに渡した。
「わかった。 いってくるよ」
ミミックさんは一階へと向かった。
「さて、壁をつくって誘導するか......」
ぼくは壁をつくり、ミミックさんのいる部屋へ二人を誘導する。
「モンスターさん、いないね」
「多分、寝てるんだよ」
二人はミミックさんのいる部屋にきた。
「わっ! 宝箱だ!」
「開いてる! すごい大きい宝石がはいってる!」
二人はわいわい喜んでいる。
そのとき、ミミックさんが牙をむいた。
「きゃ!! モンスターさん!!」
「に、逃げようお姉ちゃん!!」
二人は走って部屋からでていく。 それをゆっくりとミミックさんは追いかけていく。
「わーーー!!」
泣きながら二人はダンジョンよりでていった。
「ふぅ、完了」
「ありがとうございますミミックさん。 これでダンジョンにも近づかないでしょう」
「ああ、ダンジョンが簡単だと思ったら、他のダンジョンに入ってしまうかもしれないしね。 あの宝石なら売れば当面、生活には困らないだろう」
ぼくたちは安堵した。
「もう...... 人も探索しには来ないかもしれませんね」
ぼくはポツリとそういってしまった。
「まあ、そのときは二人で会話でもしながら、時を過ごすとしようじゃないか」
そうミミックさんは静かにそうつぶやく。
「......そうですね」
(あれほど、人が煩わしいと感じていたのに、まさか寂しいと感じるなんて......)
そうこれからのことを漠然と考えながら眠った。
それから二日、騒がしさに目が覚めた。 どうやらダンジョンに大勢の人がいるようだ。
「ミミックさん...... これは?」
「ああ、起きたんだね。 探索にきた者たちだよ。 まあ彼らの話を聞いてみたまえ」
そういわれて入ってきたものたちの話を、耳はないがそばだてて聞いた。
「本当にあるのかよ」
「子供たちが高価な宝石を手にして、町の雑貨屋に持ち込んだから間違いはない」
「ああ、その子たちがここの1階で見つけたっていっているな」
(あ、あの子達か)
「どうやら帰ったあの子達の話を聞いて、大勢押し掛けてきたみたいだね」
「ど、どうしましょうか!」
「まあ、落ち着きたまえ。 あのあとちゃんと上層階に宝石や武具を置いてきたろう」
「あ、そうだった。 次にきた人につたえてもらおうとして、奮発したんだ」
「ああ、それが次々見つかっている。 ほらっ」
そうミミックさんに言われて聞き耳を立てると。
「おお! 1階で宝石四つ!」
「こっちは高価そうな杖!」
「それは【マジックロッド】だな! かなりいいものだぞ!」
みんな宝箱の中身にかなり驚いている。
「おお! すごい、みんな喜んでいる!」
「そうなんだ。 さあ、出迎えようじゃないか!」
ミミックさんはそういった。
「わかりました!」
ぼくたちは早速探索にきたものたちを出迎えた。
「うーん、三日間、人が来ないな...... 最初は毎日きてたのに」
「モンスターの数と強さをあげすぎたかな」
「確かに、1階ぐらいまでで宝物を回収して帰られると、魔力が赤字になるからモンスターで邪魔してましたからね」
モンスターもスライム十匹、【ジャイアントバット】二十匹、ポイズンスライム二匹、【クロウラー】五匹となっていた。
ミミックさんがいうには、どうやら対抗するのに騎士団員クラスの実力が必要らしい。
「やはり、わざと持ち帰らせる必要もあるかも」
そう考えるようにミミックさんはいった。
「ええ、でも、結構レアな宝石も作れたんですけど、低い階層だともったいなく思うし......」
「でも深くにおくと、あることがわからないしな。 難しい。 このままだと人がいなくなるかも......」
ぼくたちは意気消沈した。 その時入口に人がはいったのを感じる。
「誰かきた!」
「だがこれは......」
ミミックさんは集中している。
「お姉ちゃん、怖いよ」
「大丈夫...... ゆっくりいけば」
二人の幼い女の子が、おどおどしながらダンジョンに入ってきた。
「これは肝試しかな。 危ないから壁をつくって帰しましょう」
「まって......」
ミミックさんが止めた。 二人の話が聞こえる。
「やめようよ...... モンスターさんきちゃうよ」
「だめ、お母さんの薬代がいるの。 ここに宝物があるから、それを持って帰るの」
二人はそういってダンジョンを歩いてくる。
「これは......」
「どうするダンジョンさん」
そうミミックさんがきいた。
「......これを持っていってくれます」
ぼくはレアな宝石をミミックさんに渡した。
「わかった。 いってくるよ」
ミミックさんは一階へと向かった。
「さて、壁をつくって誘導するか......」
ぼくは壁をつくり、ミミックさんのいる部屋へ二人を誘導する。
「モンスターさん、いないね」
「多分、寝てるんだよ」
二人はミミックさんのいる部屋にきた。
「わっ! 宝箱だ!」
「開いてる! すごい大きい宝石がはいってる!」
二人はわいわい喜んでいる。
そのとき、ミミックさんが牙をむいた。
「きゃ!! モンスターさん!!」
「に、逃げようお姉ちゃん!!」
二人は走って部屋からでていく。 それをゆっくりとミミックさんは追いかけていく。
「わーーー!!」
泣きながら二人はダンジョンよりでていった。
「ふぅ、完了」
「ありがとうございますミミックさん。 これでダンジョンにも近づかないでしょう」
「ああ、ダンジョンが簡単だと思ったら、他のダンジョンに入ってしまうかもしれないしね。 あの宝石なら売れば当面、生活には困らないだろう」
ぼくたちは安堵した。
「もう...... 人も探索しには来ないかもしれませんね」
ぼくはポツリとそういってしまった。
「まあ、そのときは二人で会話でもしながら、時を過ごすとしようじゃないか」
そうミミックさんは静かにそうつぶやく。
「......そうですね」
(あれほど、人が煩わしいと感じていたのに、まさか寂しいと感じるなんて......)
そうこれからのことを漠然と考えながら眠った。
それから二日、騒がしさに目が覚めた。 どうやらダンジョンに大勢の人がいるようだ。
「ミミックさん...... これは?」
「ああ、起きたんだね。 探索にきた者たちだよ。 まあ彼らの話を聞いてみたまえ」
そういわれて入ってきたものたちの話を、耳はないがそばだてて聞いた。
「本当にあるのかよ」
「子供たちが高価な宝石を手にして、町の雑貨屋に持ち込んだから間違いはない」
「ああ、その子たちがここの1階で見つけたっていっているな」
(あ、あの子達か)
「どうやら帰ったあの子達の話を聞いて、大勢押し掛けてきたみたいだね」
「ど、どうしましょうか!」
「まあ、落ち着きたまえ。 あのあとちゃんと上層階に宝石や武具を置いてきたろう」
「あ、そうだった。 次にきた人につたえてもらおうとして、奮発したんだ」
「ああ、それが次々見つかっている。 ほらっ」
そうミミックさんに言われて聞き耳を立てると。
「おお! 1階で宝石四つ!」
「こっちは高価そうな杖!」
「それは【マジックロッド】だな! かなりいいものだぞ!」
みんな宝箱の中身にかなり驚いている。
「おお! すごい、みんな喜んでいる!」
「そうなんだ。 さあ、出迎えようじゃないか!」
ミミックさんはそういった。
「わかりました!」
ぼくたちは早速探索にきたものたちを出迎えた。
0
あなたにおすすめの小説
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる