異世界ダンジョンさん ~ダンジョンに転生したぼくは、世界の終わりに抗う者となった~

曇天

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第十話「柔らかな身体と揺るがぬ意志」

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「ここがロードモンスターのいるダンジョンか」

 そこは町からかなり離れた場所で、荒れた山中の鉱山だった。 騎士たちはその入り口で待機している。

「ではご武運をリステンドどの、カイどの」

 そうバーロンドと騎士達は敬礼している。 リステンドはミミックさんが名乗った名前だ。

「さあいこうか」

 ミミックさんとその鉱山跡へとはいる。 そこかしこにスコップ、ハンマーなど道具が落ちていた。

「たしかに鉱山だったんですね」

「ああ、はるか昔に鉱山だったが、魔王のダンジョンができたらしくてね。 いまやモンスターの巣窟さ」

「それならロードモンスターを倒せばもう増えないってことですね」

「ああ、ただはるか昔魔王が直接産み出したとされるモンスターだ。 強力だよ。 いっとき人間たちが生存圏を奪われたことで、神様はここみたいな神のダンジョンを作り出したといわれている」

「対抗させるためですか...... それなら神の武器とか魔法とか与えればよかったのでは」

「それじゃ、人間同士の戦いも起こるからだろう。 実際ダンジョンからえた武具や魔法、アイテムで戦争は起こってるしね」

(なるほど力を与えすぎると、モンスターどころか人間も危険になるのか)

 その時、前から銀色のコウモリが飛び出してきた。

「魔法で......」

「いえ、ぼくにやらせてください!」

 ぼくは地面を跳ねて一瞬で飛び上がり、コウモリへと剣をふるう。

「ギャアッ!!」

 そうコウモリは声をあげコウモリは地面におちた。

「切れた!」

「ああ、すごいバネだね。 あの高さへ一瞬で飛び上がるとは」

「ええ、糸の伸縮性で跳ねて、予想よりはるかに高くとべました。 ただすこし硬かったですね」

「ああ、切ったとき金属音がした」

 ミミックさんはおちたコウモリを調べている。

「どうやら鉱物のような皮膚をもつみたいだ。 【メタルバット】といったところか。 ここの鉱物に魔力が集まりうまれたモンスターみたいだな」

「でも、腕のふりにも伸縮性を利用したので切れました」

「ふむ、その体かなり戦闘向きだな」

 そうミミックさんはうなづいている。 

 ぼくたちはそれから下へとモンスターを倒しつつすすんだ。 

「もうだいぶ深くすすみましたね」

「洞窟だから正確にはわからないが、朝から歩いて夕方にはなっているな」

 更にしばらくすすむと、その時かなり奥から魔力を感じた。
 
「この奥......」

「なにかいるのかい?」

「ええ、離れていますが、かなり大きなものです」

「よし、警戒しつつ向かおう」

 ぼくたちは奥へとモンスターを排除しつつゆっくりと向かった。 


「うん? なにもいない......」

 しばらく歩いて広い場所にでた。 そこには無数の大岩がごろごろ転がっていた。 ミミックさんは周囲をみている。

「いえ、地面にほらあの鉱物の塊の下にいます......」

「地面の下......」

 地面にある大きな鉱床のようなものが、地面から這い出てきた。

「あれはカニ!?」

 それは鉱石を背負った青い大きなカニだった。

「あれは鉱石を背負う、【オークラブ】か...... しかし、あれほど大きさはみたことがない。 強い魔法の詠唱を行わないと......」

「ぼくが時間をかせぎます!」

 地面に足を圧縮して跳ねとぶ。 目の前にカニがすぐ迫る。

(くっ! 速すぎて! 跳躍の制御が難しい!)

 なんとかカニに剣を向けぶつかる。

「ぐっ!! 硬すぎ! 貫けない!」

 すぐに巨大なハサミが振り下ろされた。

「危ない!!」

 ミミックさんの声で体から離れてかわす。 

「やれそうか! ダンジョンさん!!」

「いえ! 硬すぎて剣がつうじません!」

 見ると剣先が折れている。

「この詠唱に時間がかかる! それまでなんとか持ちこたえてもらえるか!」

「はい! こちらでもやるだけやってみます!」

 振り下ろされるハサミをうけると、地面がへこみ体がきしむ。

(ぐっ! 重い! でもこの柔らかさでなんとか受けられた! 普通の腕だとへし折れていたな!! ただ......)

 攻撃をかわしつつ全力をかけ、剣で切りつけるも、その外皮は小さな傷がつく程度だった。

(目一杯、伸縮させてこの程度か! 武器が弱すぎる!)

 カニはミミックさんの方に向いた。

「まずい! こちらに向かせないと!」

 なんども切りかかるが、カニは標的をミミックさんに向けている。

(ミミックさんの詠唱までなんとか動きを止めないと! この体でなにかないか! この体は糸...... そうだ!)

 カニがミミックさんの方に走り出した。

「いかせるか!!」

 体の腕の糸をほどいて放った。 無数の糸がカニの足をとらえる。 更にバウンドして飛び上がりカニを飛び越えると、ハサミなどにも巻き付かせた。

「よし!足とハサミを封じた!」

 ハサミを振り回して剥がそうとするカニに更に糸を放つ。

「ぐっ!! 動くな!!」

 引きずられながら、地面に這いつくばってたえる。

(他のところに......)

 向こうに見えた地面から出た岩に糸を放ち巻き付ける。

「ぐぐぐっ!!」

「よし! できたぞ!」

 ミミックさんは叫んだ。

「そのままはなってください!」

「わかった! 【イグニストデトネーション】!」

 ミミックさんから白く見える球体が放たれると、一瞬、部屋に閃光がはしったのち激しい爆発と衝撃波が伝わる。

「ぐぅっ!!」

 カニの糸が切れぼくは壁に飛ばされ地面に落ちた。

「くっ...... どうだ」 

 そして一瞬見失った魔力を感知すると、カニの体の半分以上は溶解しており、地面に大穴が空いていた。

「はぁはぁ、大丈夫かい......」 

「な、なんとか...... それにしてもすごい威力でしたね。 あの糸すら溶けましたよ」

「私が使える最も強い魔法だからね...... お陰で歩くこともままならないよ......」

 そう地面に膝をついた。

 ぼくはミミックさんを背負うと、入り口へと戻った。
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