12 / 52
第十二話「魔女リステンドの記憶」
しおりを挟む
「ここがタルバストですか」
そこはとても大きな町で遠くには城もみえていた。
「ああ、ここは【タルバスト王国】、王都【リークレ】。 私が生きていたときからある古い大きな国だ」
ミミックさんのいうとおり、前にいたサロマスとは規模が違った。 整然と巨大な建物が立ち並び、人も祭りのようにいきかい混雑している。
「じゃあ、馬車をおりてダンジョンに向かおう」
「ええ、近いんですか」
「ああ、この先の城の隣にあるんだ。 厳密にはダンジョンの隣に城をたてたってことだね」
「そんなところに...... 大丈夫かな」
「まあ、だめなら他を探そう。 【アレンゲルト帝国】にも同じようなダンジョンがあるはずだよ」
(帝国か...... どうもなぞが多い国だな。 ミミックさんもよくはしらないようだし)
「わかりました」
ぼくたちは王都を歩き、ダンジョンへと向かった。
「これは!!」
そこには巨大な神殿のような建物があり、周囲に宿屋や雑貨屋、武具屋などがあり、武装した人たちがひしめいている。
「ここが、タルバストのダンジョン【神園】だ」
「神園...... 人が多いな」
「ああ、地下100階層からなる。 帝国のダンジョンにつぐ深さがある」
そのとき、神殿の前に石像がみえた。 その巨大な像は女性の魔法使いのようだった。 そこには厄災の魔女【リステンド】、【七賢者】に葬られるとほられていた。
(リステンド...... 確かミミックさんと同じ名前、この像なんかミミックさんににてる)
「このダンジョン、どこまであるんだ?」
「わからん...... 最下層には魔女がいるって噂だ」
「数百年前の話だ。 厄災の魔女リステンドなんて、実際に存在するわけないだろ。 それにリステンドは七賢者に倒されたんだ」
そう話が聞こえてきた。
「さあ、こっちだ」
そうミミックさんに呼ばれてぼくは向かった。
「ここで登録しないと入れないんだ」
ぼくたちは登録所で登録をして、ダンジョンに入る。
「ここなら、魔法の武具なども落ちているはずだ」
「でも人も大勢ですね」
ダンジョン内は大勢のものたちがいた。
「ああ、でもここはとてつもなく奥に広く、下にも深い。 ほとんど出会うこともないよ」
「そうなんですか。 なら遠慮なく力も使えますね」
ぼくたちは早速一階を進んでいく。
「まあ、強さはあまり変わりませんね」
モンスターを何体か倒してすすむ。
「ここも神のダンジョンだからね。 試練なんだろうさ」
「そうか、鍛えるのも目的だった」
「それでここで何をするんだい? ダンジョンをつくるんじゃないのかい?」
「ええ、できるかはわかりませんが試したいことがあるので、最下層を目指したいんですが」
「わかった...... 我々でいけるかは微妙だが、いくだけ行ってみよう」
10階まで降りる。 そこはダンジョンのなかというより、木々が生い茂る樹海のようだった。
「ここ、ダンジョンのなかですよね。 こんな太い木々がある」
「ここは魔法がかかっていて国並みに広大だからね。 下層には湖や鉱山のような場所もあるよ」
「......すごいですね」
(そんな巨大なら無理かな...... まあただ試してみて損はないだろう)
ぼくたちはモンスターを倒しながら、最下層を目指す。
「それで最下層には何があるんですか?」
「ああ、ここも魔核石が祭壇に...... あっ!」
驚いたようにこちらをみる。
「やはり最下層にたどり着いたリステンドって、ミミックさんだったんですね」
「......私をはめるなんてやるね。 君のことを侮ってはいないつもりだったが」
そうミミックさんは眉をひそめた。
「まあ、いいたくないなら聞きません」
「いや、大したことじゃないさ。 私が人間だった頃の話だ」
「確か人間にあきれたとか......」
「ああ、私は子供の頃から魔力に秀でてね。 魔法使いとしてすぐ才能に目覚めた」
「それで自分以外が愚かにみえたとかですか」
「いやいや、確かに私には天賦《てんぷ》の才があった。 だがそこまで傲慢じゃない...... といいたいところだけど、浅慮ではあったね」
そういうとミミックさんはため息をついた。
「私は幼い頃から魔法使いとしてモンスター退治やダンジョン踏破などを次々と成功させた。 それで人々から若き天才魔法使いともてはやされたのさ」
「......それなら増長するのも無理はないですね」
「ああ、しかし他の人たちを蔑んでたわけではないよ。 ただ考えが足りなかった。 人の底知れぬ悪意ってやつにね」
「悪意......」
「人から誉められるため、その力を使い成果をあげるにつれ、人々の嫉妬をかっていった。 とりわけ古い魔法使いたちにね」
「それって......」
「ああ、私の力を恐れたものたちは、自分たちの地位を脅かされることを恐れ私をはめたのさ。 悪魔の力をもつ魔女として糾弾された......」
(それで石碑に魔女と)
「その弁明のため、私はこのダンジョンへとはいり、最下層で魔核石を手にいれようとした。 その時の私は他の何者にもできないことをなせば、認められるとおもったのさ」
「姿を消したって......」
「ああ、ここで殺された。 最下層についたとき、後ろに隠れてついてきたものたちにね。 私は殺されるとき人間にあきれ。 モンスターになりたいと願った」
「それでミミックなんですね」
「ああ、別にミミックを願ったわけではないがね。 人間以外になりたいと願ったんだよ」
「じゃあ、人間に思うところはあるんでしょう?」
「......まあなくはないが、今は復讐しようとは思わないね。 人間なんてそんなものだろうと思うようになったからね」
そうカラカラとミミックさんは軽快にわらった。
そこはとても大きな町で遠くには城もみえていた。
「ああ、ここは【タルバスト王国】、王都【リークレ】。 私が生きていたときからある古い大きな国だ」
ミミックさんのいうとおり、前にいたサロマスとは規模が違った。 整然と巨大な建物が立ち並び、人も祭りのようにいきかい混雑している。
「じゃあ、馬車をおりてダンジョンに向かおう」
「ええ、近いんですか」
「ああ、この先の城の隣にあるんだ。 厳密にはダンジョンの隣に城をたてたってことだね」
「そんなところに...... 大丈夫かな」
「まあ、だめなら他を探そう。 【アレンゲルト帝国】にも同じようなダンジョンがあるはずだよ」
(帝国か...... どうもなぞが多い国だな。 ミミックさんもよくはしらないようだし)
「わかりました」
ぼくたちは王都を歩き、ダンジョンへと向かった。
「これは!!」
そこには巨大な神殿のような建物があり、周囲に宿屋や雑貨屋、武具屋などがあり、武装した人たちがひしめいている。
「ここが、タルバストのダンジョン【神園】だ」
「神園...... 人が多いな」
「ああ、地下100階層からなる。 帝国のダンジョンにつぐ深さがある」
そのとき、神殿の前に石像がみえた。 その巨大な像は女性の魔法使いのようだった。 そこには厄災の魔女【リステンド】、【七賢者】に葬られるとほられていた。
(リステンド...... 確かミミックさんと同じ名前、この像なんかミミックさんににてる)
「このダンジョン、どこまであるんだ?」
「わからん...... 最下層には魔女がいるって噂だ」
「数百年前の話だ。 厄災の魔女リステンドなんて、実際に存在するわけないだろ。 それにリステンドは七賢者に倒されたんだ」
そう話が聞こえてきた。
「さあ、こっちだ」
そうミミックさんに呼ばれてぼくは向かった。
「ここで登録しないと入れないんだ」
ぼくたちは登録所で登録をして、ダンジョンに入る。
「ここなら、魔法の武具なども落ちているはずだ」
「でも人も大勢ですね」
ダンジョン内は大勢のものたちがいた。
「ああ、でもここはとてつもなく奥に広く、下にも深い。 ほとんど出会うこともないよ」
「そうなんですか。 なら遠慮なく力も使えますね」
ぼくたちは早速一階を進んでいく。
「まあ、強さはあまり変わりませんね」
モンスターを何体か倒してすすむ。
「ここも神のダンジョンだからね。 試練なんだろうさ」
「そうか、鍛えるのも目的だった」
「それでここで何をするんだい? ダンジョンをつくるんじゃないのかい?」
「ええ、できるかはわかりませんが試したいことがあるので、最下層を目指したいんですが」
「わかった...... 我々でいけるかは微妙だが、いくだけ行ってみよう」
10階まで降りる。 そこはダンジョンのなかというより、木々が生い茂る樹海のようだった。
「ここ、ダンジョンのなかですよね。 こんな太い木々がある」
「ここは魔法がかかっていて国並みに広大だからね。 下層には湖や鉱山のような場所もあるよ」
「......すごいですね」
(そんな巨大なら無理かな...... まあただ試してみて損はないだろう)
ぼくたちはモンスターを倒しながら、最下層を目指す。
「それで最下層には何があるんですか?」
「ああ、ここも魔核石が祭壇に...... あっ!」
驚いたようにこちらをみる。
「やはり最下層にたどり着いたリステンドって、ミミックさんだったんですね」
「......私をはめるなんてやるね。 君のことを侮ってはいないつもりだったが」
そうミミックさんは眉をひそめた。
「まあ、いいたくないなら聞きません」
「いや、大したことじゃないさ。 私が人間だった頃の話だ」
「確か人間にあきれたとか......」
「ああ、私は子供の頃から魔力に秀でてね。 魔法使いとしてすぐ才能に目覚めた」
「それで自分以外が愚かにみえたとかですか」
「いやいや、確かに私には天賦《てんぷ》の才があった。 だがそこまで傲慢じゃない...... といいたいところだけど、浅慮ではあったね」
そういうとミミックさんはため息をついた。
「私は幼い頃から魔法使いとしてモンスター退治やダンジョン踏破などを次々と成功させた。 それで人々から若き天才魔法使いともてはやされたのさ」
「......それなら増長するのも無理はないですね」
「ああ、しかし他の人たちを蔑んでたわけではないよ。 ただ考えが足りなかった。 人の底知れぬ悪意ってやつにね」
「悪意......」
「人から誉められるため、その力を使い成果をあげるにつれ、人々の嫉妬をかっていった。 とりわけ古い魔法使いたちにね」
「それって......」
「ああ、私の力を恐れたものたちは、自分たちの地位を脅かされることを恐れ私をはめたのさ。 悪魔の力をもつ魔女として糾弾された......」
(それで石碑に魔女と)
「その弁明のため、私はこのダンジョンへとはいり、最下層で魔核石を手にいれようとした。 その時の私は他の何者にもできないことをなせば、認められるとおもったのさ」
「姿を消したって......」
「ああ、ここで殺された。 最下層についたとき、後ろに隠れてついてきたものたちにね。 私は殺されるとき人間にあきれ。 モンスターになりたいと願った」
「それでミミックなんですね」
「ああ、別にミミックを願ったわけではないがね。 人間以外になりたいと願ったんだよ」
「じゃあ、人間に思うところはあるんでしょう?」
「......まあなくはないが、今は復讐しようとは思わないね。 人間なんてそんなものだろうと思うようになったからね」
そうカラカラとミミックさんは軽快にわらった。
0
あなたにおすすめの小説
相続した畑で拾ったエルフがいつの間にか嫁になっていた件 ~魔法で快適!田舎で農業スローライフ~
ちくでん
ファンタジー
山科啓介28歳。祖父の畑を相続した彼は、脱サラして農業者になるためにとある田舎町にやってきた。
休耕地を畑に戻そうとして草刈りをしていたところで発見したのは、倒れた美少女エルフ。
啓介はそのエルフを家に連れ帰ったのだった。
異世界からこちらの世界に迷い込んだエルフの魔法使いと初心者農業者の主人公は、畑をおこして田舎に馴染んでいく。
これは生活を共にする二人が、やがて好き合うことになり、付き合ったり結婚したり作物を育てたり、日々を生活していくお話です。
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる