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第十八話「枯れた森と神の提案」
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「ひどいな...... なにもない」
枯れはて朽ちている樹木がみえる範囲一帯をつつむ。
「我々はこの森の動物や植物、果物で生活をしていた。 それがこうなってしまっては......」
ジェスカはその惨状をみてそうつぶやいた。
「ジェスカ!」
そう声のする方をみると、数人の武器をもった獣人たちがかまえていた。
「ちがうんだ! この人たちは!」
ジェスカはぼくたちの前にたった。
「ジェスカを救ってくれたそうですな。 ありがとうございます」
そうベッドに横たわる獣人の老人が頭を下げた。 ぼくたちはジェスカによってベラルガの国にはいり、国王である【ザガル】にあっていた。
(木でできた粗末な家に住んで、小さな畑を作っているぐらい。 一応製鉄はしてるようで、鉄製の道具や武具をもってるようだ。 みたとこ五百人ぐらいかな。 この中から戦えるものを考えれば、この数では一方的にやられるな)
「それでお前たちはなんのようだ。 ここからすぐにでていけとでもいうのか!」
さっき森であった若い男の獣人が怒りの形相でそういった。
「【リガイア】やめよ」
「親父、人間などと話しても無駄だ。 このまま俺たちを追い出すために甘言をろうしているに違いない!」
そうリガイアといわれた獣人がいうと、後ろの男たちも声を揃えた。
(まあ、当然の反応だな。 このリガイアは王子か。 血気盛んだな)
「しかし、このまま戦っても勝ち目もない。 ここをでるしかあるまい」
「戦って一人でも多くの人間を殺してやる! それが俺たちの最後だとしてもな!」
そう牙を見せリガイアは威嚇してくる。
「女子供でもかい」
「......当然だ」
ミミックさんがいうと、リガイアは剣の柄に手をかけた。
「リガイア兄さん! 話しも聞かず斬れば、それこそ人間の思う壺よ」
ジェスカはそういってなだめる。
(ジェスカは王女だったのか)
「ジェスカのいうとおりだ。 我らは誇り高き種族、そのような蛮行はできん」
「ふん!」
そういって鼻をならし、ずかずかととり巻きたちと外にでていった。
「すまぬな。 非礼を許してほしい」
「別にいいですよ。 そう怒るのもむりはない。 こんな状態じゃ」
窓からみえる森も枯れ始めていた。
「それでなんの話だろうか。 正直我らは戦う力はないが、でていく場所もないのだ。 このままだと若いものは人間に戦いをいどむであろう。 私も病の身、彼らを説得することは叶わぬ」
そう国王は力なくつぶやく。
「でていく場所があればよいのかな」
「そんな場所どこにもあるまい。 我らを受け入れる場所などどこにもない」
ミミックさんを国王はみる。
「他の亜人種族とは仲が悪いのですか」
「まあそうだな。 土地の奪い合いで人間たちと同じ様に対立してきた」
「土地があれば、ここを離れられますか」
「あるのか...... 確かにここは我らが昔より守ってきた土地、だが民が生き延びられるならば、しかしそんな場所どこに......」
「神のダンジョンです」
「なっ...... ダンジョンだと。 試練とはいえダンジョンはダンジョン、モンスター巣くうダンジョンに住む場所を作るなど」
「しかし、父上、 彼らの話通り、私はダンジョンにてモンスターが戦わず命令を聞くのをこの目でみました」
「そんなばかな......」
そう国王はジェスカの言葉に驚く。 だがにわかには信じられないようだ。
「......そんなことが、いやしかしそれが事実だとしても、若いものたちは従うまい。 私の言葉はもはや彼らには届かないのだ」
咳をして国王はそういった。 すぐにジェスカは背中をさすっている。 その様子から病気はかなり悪そうだ。
「ミミックさん、どうもこの病気......」
「ああ、ただの病気じゃないね。 これはあの森の枯らしている魔力に近いよ」
「さすがミミックさんだ...... 樹木も調べていたようだったけど」
「まあね。 おそらく闇魔法だ」
「さすがにミミックさんも闇魔法は使えないんですよね」
「ああ、一人で使えるような魔法量ではないからね。 だからこその儀式だ。 聖魔法もおなじだ。 でもこれだ」
そういってミミックさんは鞄からダンジョンで見つけた魔法薬《ポーション》をとりだした。 あれからミミックさんが調べると、どうやら【ホーリーポーション】という、聖なる魔法薬だった。
「確か闇魔法に対抗できる聖魔法がかかっているポーション」
「樹木の枯れた話を聞いてね。 持ってきておいたのさ。 これを、飲んでみてもらえるかな」
「あなたがたには命を助けてもらったが、さすがになにかわからないものを父上に飲ませるわけには......」
「かまわぬジェスカ。 私を殺したとて彼らになんの得もあるまい......」
そういうと、心配そうなジェスカのそばで、国王はミミックさんからホーリーポーションを受けとり飲みほした。
枯れはて朽ちている樹木がみえる範囲一帯をつつむ。
「我々はこの森の動物や植物、果物で生活をしていた。 それがこうなってしまっては......」
ジェスカはその惨状をみてそうつぶやいた。
「ジェスカ!」
そう声のする方をみると、数人の武器をもった獣人たちがかまえていた。
「ちがうんだ! この人たちは!」
ジェスカはぼくたちの前にたった。
「ジェスカを救ってくれたそうですな。 ありがとうございます」
そうベッドに横たわる獣人の老人が頭を下げた。 ぼくたちはジェスカによってベラルガの国にはいり、国王である【ザガル】にあっていた。
(木でできた粗末な家に住んで、小さな畑を作っているぐらい。 一応製鉄はしてるようで、鉄製の道具や武具をもってるようだ。 みたとこ五百人ぐらいかな。 この中から戦えるものを考えれば、この数では一方的にやられるな)
「それでお前たちはなんのようだ。 ここからすぐにでていけとでもいうのか!」
さっき森であった若い男の獣人が怒りの形相でそういった。
「【リガイア】やめよ」
「親父、人間などと話しても無駄だ。 このまま俺たちを追い出すために甘言をろうしているに違いない!」
そうリガイアといわれた獣人がいうと、後ろの男たちも声を揃えた。
(まあ、当然の反応だな。 このリガイアは王子か。 血気盛んだな)
「しかし、このまま戦っても勝ち目もない。 ここをでるしかあるまい」
「戦って一人でも多くの人間を殺してやる! それが俺たちの最後だとしてもな!」
そう牙を見せリガイアは威嚇してくる。
「女子供でもかい」
「......当然だ」
ミミックさんがいうと、リガイアは剣の柄に手をかけた。
「リガイア兄さん! 話しも聞かず斬れば、それこそ人間の思う壺よ」
ジェスカはそういってなだめる。
(ジェスカは王女だったのか)
「ジェスカのいうとおりだ。 我らは誇り高き種族、そのような蛮行はできん」
「ふん!」
そういって鼻をならし、ずかずかととり巻きたちと外にでていった。
「すまぬな。 非礼を許してほしい」
「別にいいですよ。 そう怒るのもむりはない。 こんな状態じゃ」
窓からみえる森も枯れ始めていた。
「それでなんの話だろうか。 正直我らは戦う力はないが、でていく場所もないのだ。 このままだと若いものは人間に戦いをいどむであろう。 私も病の身、彼らを説得することは叶わぬ」
そう国王は力なくつぶやく。
「でていく場所があればよいのかな」
「そんな場所どこにもあるまい。 我らを受け入れる場所などどこにもない」
ミミックさんを国王はみる。
「他の亜人種族とは仲が悪いのですか」
「まあそうだな。 土地の奪い合いで人間たちと同じ様に対立してきた」
「土地があれば、ここを離れられますか」
「あるのか...... 確かにここは我らが昔より守ってきた土地、だが民が生き延びられるならば、しかしそんな場所どこに......」
「神のダンジョンです」
「なっ...... ダンジョンだと。 試練とはいえダンジョンはダンジョン、モンスター巣くうダンジョンに住む場所を作るなど」
「しかし、父上、 彼らの話通り、私はダンジョンにてモンスターが戦わず命令を聞くのをこの目でみました」
「そんなばかな......」
そう国王はジェスカの言葉に驚く。 だがにわかには信じられないようだ。
「......そんなことが、いやしかしそれが事実だとしても、若いものたちは従うまい。 私の言葉はもはや彼らには届かないのだ」
咳をして国王はそういった。 すぐにジェスカは背中をさすっている。 その様子から病気はかなり悪そうだ。
「ミミックさん、どうもこの病気......」
「ああ、ただの病気じゃないね。 これはあの森の枯らしている魔力に近いよ」
「さすがミミックさんだ...... 樹木も調べていたようだったけど」
「まあね。 おそらく闇魔法だ」
「さすがにミミックさんも闇魔法は使えないんですよね」
「ああ、一人で使えるような魔法量ではないからね。 だからこその儀式だ。 聖魔法もおなじだ。 でもこれだ」
そういってミミックさんは鞄からダンジョンで見つけた魔法薬《ポーション》をとりだした。 あれからミミックさんが調べると、どうやら【ホーリーポーション】という、聖なる魔法薬だった。
「確か闇魔法に対抗できる聖魔法がかかっているポーション」
「樹木の枯れた話を聞いてね。 持ってきておいたのさ。 これを、飲んでみてもらえるかな」
「あなたがたには命を助けてもらったが、さすがになにかわからないものを父上に飲ませるわけには......」
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