異世界ダンジョンさん ~ダンジョンに転生したぼくは、世界の終わりに抗う者となった~

曇天

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第二十四話「デスシュリンプ討伐と、知性ある魔物の影」

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 次々と現れるモンスターを倒しながらいりくんだ迷宮のような洞窟をすすむ。

「それにしても、どれだけ出てくるんだろうね」

 あきれたようにミミックさんがいう。

「ええ、下から沸いてくるようですね」

 ジェスカもうなづく。

「どれだけ深いんだ......」

 リガイアはそうつぶやく。 

(確かにこの量のモンスターがいるんだから、かなり深いはず...... ん?)

 なにか金属が響くような音がする。

 
「これは......」 

 金属音のするほうに近づくと、そこでは人より大きな深紅のエビのようなモンスターと戦う異形の人がいた。

「あれはマーマンです!」

 そうリガイアが言った。

「マーマン......」

「まあ半魚人だね。 亜人種族だ。 あれは【デスシュリンプ】人食いエビだね。 かなり劣勢のようだ」

 ミミックさんが言うように何人かのマーマンは倒れ、戦っているものも傷を負っているように見えた。

「すぐに助けましょう」

「わかりました! それならば...... ジェスカ」

「ええ兄様!」

 リガイア兄妹が風のように地面を駆けて、エビに剣をふるう。

 膝をついたマーマンへと近づく。

「大丈夫?」

「お前たちは......」

 マーマンは驚いてはいるが、立ち上がれそうにない。

「取りあえず仲間を治療しておくよ」

 ミミックさんは倒れたマーマンたちを回復させている。

「君もこれを......」

 私はポーションを差し出す。
 
「なんだ...... 頭に声が! いや、今はわたしより、あのデスシュリンプを倒さねば仲間が死ぬぞ......」

「ああ、大丈夫、彼らは強いから、それよりこのポーションで回復した方がいいよ」

 マーマンは戦いが気になるようだが、ポーションを受けとると一気にのみ干した。

「おお、回復した! よし! 私も加わろう!」

「いや、もう終わりそうだ」 

「えっ!?」

 驚くマーマンの目の前で、リガイアとジェスカはモンスターを切り裂いた。

「あのデスシュリンプの固い外殻を剣で切り裂くなんて......」

 そうマーマンは言葉を失っている。


「ありがとう礼をいう。 私はマーマンの【ディガル】、お陰で仲間も命が助かった」

 丁寧にディガルは頭を下げた。 怪我が軽い仲間がほかの仲間をみているようだ。

「それでディガル、なんでこんなところにいるんだ?」

「ああ、我らは近海に住むのだが、ここのモンスターに度々襲われて、もはや我々は奴らのエサと化した。 そこで戦士たちを引き連れてなんとかここまできたが...... もはや戦えるのは私一人」

 そういってディガルは肩をおとす。

「ぼくたちもイビルエンシェントオクトパスを倒しにきたから、ここは詳しくはないんだ。 一緒にいこう」

「いいのか! ぜひ私もつれていってくれ」

 こうしてディガルも一緒に来ることになった。

「それで、ディガルくん。 ここが危険なら、ほかの場所にいくのはダメだったのかい? 海は広いだろう?」

 そうミミックさんが聞くとディガルは首をふる。

「......確かに海はひろく、我らは探しにも行こうとしたが、海のモンスターがここ最近さらに増えて、幼い子や老人や病人をつれての移動はままならない。 ゆえに私たち戦士がここにやってきた」

(確かに守りながら移動は無理か...... じゃあ、なおさら倒さないとな)

 ぼくたちは先を急ぐ。

 軽傷のマーマンたちにほかのマーマンをみてもらいつつ、ディガルとぼくたちは洞窟をさらにすすむ。

「でも、あんな数がいるってことは、この洞窟はかなり大きいんだね」

「確かにこの洞窟は大きいが、問題は海と繋がっていることだ」

「海と繋がっている......」

「ああ、それで海にもモンスターがたくさん現れる」

「なるほど、それならあの数も納得だな」

「ええ」

 リガイアたちもうなづく。

「まずいな。 もし海中に逃げられたら困るな」

(鎧もそうだけど。 そもそもこの体、水中で動けるのか? 試した事もないからわからない)

「海に入れば私たちマーマンも戦えるが、イビルエンシェントオクトパスは頭がよく、なかなか海中にでてこない」

「そんなに頭がいいの?」

「ああ、言語を話すぐらいにはな」

「本当か...... それは倒しづらいな」

「なにを言っている? モンスターだぞ」

「ああ、彼は少し変わり者でね。 モンスターも理由なく殺すのは嫌なんだよ」

 そうミミックさんは笑っていう。 それをみてリガイアとジェスカも苦笑している。

「そうなのか...... まあ、初めてあった私に力を貸してくれると言うのだから、変わり者はそうなのかもしれないが......」

 納得したような、してないような顔をディガルはしてそう言った。
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