26 / 52
第二十六話「敵対の定めを越えて、マーマンたちの新たな海」
しおりを挟む
「助かったよ、ディガル」
ぼくたちはタコを引っ張り洞窟に戻り、糸から元の体に戻った。
「なんなんだ...... 人間じゃないのか」
ディガルは驚いている。
「ああ、まあ、その説明は後で、それよりこのイビルエンシェントオクトパスだ」
ディガルの攻撃で、息も絶え絶えのタコをみる。
「お前たちは、なぜ人間たちを襲う。 食べるだけなら人以外でもいいだろう?」
「......はぁ、はぁ、それが...... 目的だから...... だ......」
「人を襲うことがか?」
「我らは...... この世界の敵対者で...... あり続ける...... それが定...... め」
そういうとイビルエンシェントオクトパスは動かなくなった。
「どういうことだろうね?」
ミミックさんは首をかしげた。
(世界の敵対者であることが定め...... 誰が決めた。 魔王か)
理解できないが、言い知れぬ不安がぼくの心にせまった。
「よし! 目的は果たした。 さて帰ろう!」
「......待ちたまえ、ダンジョンさん。 それをどうするつもりだい?」
タコを引きずる私にミミックさんは眉をひそめた。
「いえ、このタコを体の素体にしようと......」
「だめだよ。 せめて脚にしなさい」
「ええっ!? でもこれを持っていけばダンジョンにイビルエンシェントオクトパスが生まれますよ!」
「こんな、わけがわからないものを生んでどうするつもりだい...... こんなものを人のいる場所をとおり持ち歩いていたら、どう考えてもおかしいだろう。 全部は必要ありません。 一本にしなさい」
姉のようにミミックさんは注意した。
「ええ......」
ぼくは心底がっかりする。
(......モンスターの牧場つくりたかったな)
「ま、まあ、カイさま。 脚を持ち帰りましょう」
「うん......」
リガイアが脚を一本切ってくれた。
「ああ、ディガル、これでマーマンも助かるかな」
唖然としてやり取りをみていたディガルにきいた。
「あ、ああ、だが......」
その表情は暗い。
「どうしたの? イビルエンシェントオクトパスを倒したから、あなたの種族は安泰じゃないの」
そうジェスカが不思議そうにきく。
「いや、確かにここのモンスターはいなくなるかもしれん。 しかしそうなったら、人間たちは漁場に集まるだろう」
「そうか、漁師たちもそれで船を出せないっていってた」
「そうだね。 共存は無理なのかい?」
「かつてから、漁場を巡り争いがあった。 人間たちにとっては我らもモンスターと変わらぬ。 また軋轢がおこるだろう。 モンスターの死者数が多くなったため戦いにきたが、人間とも戦わねばならないかもしれない......」
そういってこちらをみた。
(そうか、ほくが人間の側にたつかもと考えているのか。 確かにどうしよう...... 人間とマーマンが戦うなら、ぼくはどちらにたてばいいんだ......)
「ふむ、悩ましいね。 君が思う方を選ぶしかないんじゃないか?」
そうぼくの心を見透かすように、ミミックさんはいった。
(人間とは敵対したくない。 ただ、人間を守るためにマーマンと戦うのもいやだな...... こうなったら)
ミミックさん見ると静かにうなづいた。
「......ディガル、少し話がある」
「なんだ」
「他の場所で生活しないか」
「他の場所...... それはさっき話したように、海は難しいのだ」
「いや、海じゃない。 ダンジョンだ」
ぼくは彼に事情を話した。 最初ディガルは理解が及ばなかったようだが、リガイアたちからも説明され、なんとか話を聞いてくれた。
「な、なんだ...... ここは」
ディガルたちマーマンはとても驚いている。 そこには浜辺と海があったからだ。 ぼくはダンジョンの五十一階に深い海を作り出していた。
「こんなダンジョンに海があるなんて......」
「ああ、信じられない」
「わああい!」
大人たちは驚き、子供たちがはしゃいでいる。
「とりあえず、漁師から生きている貝や魚を買って放ってはいるけど、まだ少ない。 海草なんかも仕入れるから、少し我慢してくれ」
「かまわない...... いやかまいません。 我らマーマン一族、ダンジョンのカイさまに忠誠を尽くします!」
そうマーマンたちは皆で平伏して礼をいった。
「いや、そんなかしこまらなくてもいいよ」
「まあ、受けておきなよ」
「そうですね。 我ら獣人族もカイさまには感謝しております」
「そう...... まあ、マーマンたちが気に入ってくれたなら、いいか」
こうやってマーマンたちは、ぼくのダンジョンで生活することになった。
ぼくたちはタコを引っ張り洞窟に戻り、糸から元の体に戻った。
「なんなんだ...... 人間じゃないのか」
ディガルは驚いている。
「ああ、まあ、その説明は後で、それよりこのイビルエンシェントオクトパスだ」
ディガルの攻撃で、息も絶え絶えのタコをみる。
「お前たちは、なぜ人間たちを襲う。 食べるだけなら人以外でもいいだろう?」
「......はぁ、はぁ、それが...... 目的だから...... だ......」
「人を襲うことがか?」
「我らは...... この世界の敵対者で...... あり続ける...... それが定...... め」
そういうとイビルエンシェントオクトパスは動かなくなった。
「どういうことだろうね?」
ミミックさんは首をかしげた。
(世界の敵対者であることが定め...... 誰が決めた。 魔王か)
理解できないが、言い知れぬ不安がぼくの心にせまった。
「よし! 目的は果たした。 さて帰ろう!」
「......待ちたまえ、ダンジョンさん。 それをどうするつもりだい?」
タコを引きずる私にミミックさんは眉をひそめた。
「いえ、このタコを体の素体にしようと......」
「だめだよ。 せめて脚にしなさい」
「ええっ!? でもこれを持っていけばダンジョンにイビルエンシェントオクトパスが生まれますよ!」
「こんな、わけがわからないものを生んでどうするつもりだい...... こんなものを人のいる場所をとおり持ち歩いていたら、どう考えてもおかしいだろう。 全部は必要ありません。 一本にしなさい」
姉のようにミミックさんは注意した。
「ええ......」
ぼくは心底がっかりする。
(......モンスターの牧場つくりたかったな)
「ま、まあ、カイさま。 脚を持ち帰りましょう」
「うん......」
リガイアが脚を一本切ってくれた。
「ああ、ディガル、これでマーマンも助かるかな」
唖然としてやり取りをみていたディガルにきいた。
「あ、ああ、だが......」
その表情は暗い。
「どうしたの? イビルエンシェントオクトパスを倒したから、あなたの種族は安泰じゃないの」
そうジェスカが不思議そうにきく。
「いや、確かにここのモンスターはいなくなるかもしれん。 しかしそうなったら、人間たちは漁場に集まるだろう」
「そうか、漁師たちもそれで船を出せないっていってた」
「そうだね。 共存は無理なのかい?」
「かつてから、漁場を巡り争いがあった。 人間たちにとっては我らもモンスターと変わらぬ。 また軋轢がおこるだろう。 モンスターの死者数が多くなったため戦いにきたが、人間とも戦わねばならないかもしれない......」
そういってこちらをみた。
(そうか、ほくが人間の側にたつかもと考えているのか。 確かにどうしよう...... 人間とマーマンが戦うなら、ぼくはどちらにたてばいいんだ......)
「ふむ、悩ましいね。 君が思う方を選ぶしかないんじゃないか?」
そうぼくの心を見透かすように、ミミックさんはいった。
(人間とは敵対したくない。 ただ、人間を守るためにマーマンと戦うのもいやだな...... こうなったら)
ミミックさん見ると静かにうなづいた。
「......ディガル、少し話がある」
「なんだ」
「他の場所で生活しないか」
「他の場所...... それはさっき話したように、海は難しいのだ」
「いや、海じゃない。 ダンジョンだ」
ぼくは彼に事情を話した。 最初ディガルは理解が及ばなかったようだが、リガイアたちからも説明され、なんとか話を聞いてくれた。
「な、なんだ...... ここは」
ディガルたちマーマンはとても驚いている。 そこには浜辺と海があったからだ。 ぼくはダンジョンの五十一階に深い海を作り出していた。
「こんなダンジョンに海があるなんて......」
「ああ、信じられない」
「わああい!」
大人たちは驚き、子供たちがはしゃいでいる。
「とりあえず、漁師から生きている貝や魚を買って放ってはいるけど、まだ少ない。 海草なんかも仕入れるから、少し我慢してくれ」
「かまわない...... いやかまいません。 我らマーマン一族、ダンジョンのカイさまに忠誠を尽くします!」
そうマーマンたちは皆で平伏して礼をいった。
「いや、そんなかしこまらなくてもいいよ」
「まあ、受けておきなよ」
「そうですね。 我ら獣人族もカイさまには感謝しております」
「そう...... まあ、マーマンたちが気に入ってくれたなら、いいか」
こうやってマーマンたちは、ぼくのダンジョンで生活することになった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる