異世界ダンジョンさん ~ダンジョンに転生したぼくは、世界の終わりに抗う者となった~

曇天

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第四十五話「実体分身と魔剣の嵐、グレンザとの死闘」

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「どうやら、この兵士はただの人間ではないですね......」

「どういうことだいダンジョンさん?」

 大勢のローブをきたものたちは人間の魔力ではなかった。

「ふむ、つまり何かゴーレムか人形のようなものか...... どうやら二人とも闇魔法を使っているようだ。 ただそういうものならジェスカたちマーマンや獣人たちでなんとかなるだろう」

「ええ、多数が一挙には入らないように、部屋の入り口を分けてジェスカたちが迎撃しやすいようにしています」

「なら問題はこっちだね。 グレンザとリビラジス、どうだいできたかな」

「ええ、大勢の兵士と分断しました。 ただ二人は一緒にきていますね」

「それなら同じ部屋にはいったら分断しよう。 ユグナくん私のサポートを頼むよ」

「う、うん! 頑張るよ師匠」

 ぼくたちは大きな階層へとでた。

 むこうから老婆と剣士がやってくる。

「おや、その姿、リステンドかい? まさかあんたが生きていたとはね...... どうやらここに魔核石があるのは間違いないようだね」

 老婆があせることもなくそういうと、大柄な眼帯の剣士は背中から巨大な剣をぬく。

「なるほど、グリバラたちがいなくなったのはお前の仕業か」

「七賢者、あなた方はなにをしようとしてるんだい? 昔からこそこそと画策していたようだけど、私を殺して魔核石を手に入れようとしてたんだから」

「ふふっ...... 私たちはもう終わるこの世界より、次の世界に命を繋がないといけないのさ。 邪魔はよしとくれ」

「左様、お前は死んだ身、現世には関係がなかろう」 

「それを君がいうかね。 ダンジョンさん!」

「はい!!」

 ぼくは伸縮して飛ぶとグレンザに向かった。 

「ぬうっ!!!」

 グレンザは剣を振るう。 それを小手でうけ、そのままグレンザをつかむとふって飛ばす。 グレンザは地面を転がった。

「よし!! ミミックさんあとは頼みます!」

「ああ、任せたまえ!!」

 下から壁がせりあがり部屋をわかった。

「ふっ、なるほど、我らを分断したか......」

 グレンザが剣を地面に差し、立ち上がる。 

「だが、一人で我ら七賢者と戦えると......」

 グレンザから黒い魔力の霧が立ちのぼり、それは地面に落ちると10人のグレンザへと姿を変えた。

「なっ!! 幻覚か!!」 

 伸縮して一人にぶつかる。 吹き飛ばすが、横にきたグレンザに剣で切りつけられなんとか小手でうける。

 ガキッ!!

(なんだ!! 本物!?)

「うわっ!!」

 すごい力で吹き飛ばされ地面にはねると、次々とグレンザが迫る。

(どれが本物だ...... さっき吹き飛ばしたやつも感触はあった)

 小手で剣をうけると、右のグレンザから剣がなぎはらわれた。

(これは!?)

 かわす、そして左のグレンザが剣を縦に振り下ろした。

 ガキッ!!! その衝撃で床の石がさけた。

「ぐっ!! なんだこれは全部実体か!!」

「くくくっ、そうだ。 我は全てが実体......」

 10人のグレンザが大剣で迫ってきた。 何度も小手や鎧を切りつけられる。

(くそっ! 強い! この剣、何て切れ味だ! この鎧や小手じゃなかったら、痛みで意識を失ってる!)

「その鎧...... 大したものだ。 この空間すら切り裂く魔法剣【ザウガースト】で切れないとはな。 だが傷はうける。 時間の問題だな」

(そう...... これ以上のダメージは意識が保てなくなる。 勝負を決めないと)

「お前たちは何のために魔核石を使っている。 この世界が終わるならそんなことをしても無駄だろう」

「......我らはこの世界より次の世界に向かう」

(次の世界......)

「転生か......」 

「まあそんなところだ。 お前たちはもはやこの世界と共に死ぬ...... 我らは次代に知識をもたらさねばならぬ」

「勝手なことを」

「それが運命というものだ。 運命は抗っても無駄...... お前たちの滅びは決まったこと、お前がここで死ぬのも確定した未来」

 そういうとグレンザたちはぼくの周りを囲み、剣を構えた。

「それなら抗わせてもらう......」

「なに、地面が!!?」

 地面が波のようにうねるとぼくと同じ体が10体現れた。

「なんだと、幻覚!!」

 それぞれがグレンザと対峙する。

「いやちがう! 我と同じ......」

「そうだ。 全てが実体...... ここはぼくの中なんだよ」

 全員のぼくが体を収縮する。

「貴様なんだ! なんなんだ!!?」

「ぼくか、ぼくはこのダンジョンそのものだ!!」

「なっ......」 

 一斉に収縮を解放したぼくは、巨大な弾丸のように周囲の空気を切り裂いて、グレンザ全てにぶつかる。

「がはっ!!」 

 グレンザの受けようとした剣は小手から伸ばした刃によって折れ、全てのグレンザを壁へとめり込ませた。


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