異世界ダンジョンさん ~ダンジョンに転生したぼくは、世界の終わりに抗う者となった~

曇天

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第四十四話「甲殻の鎧と鏡剣、七賢者の影」

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「これがグレミンス鉱石の鎧か」

 それは青白く光る光沢のある立派な鎧だった。 グルコフたちドワーフが装備を作ってくれた。

「普通は希少過ぎて他の金属と合金を作るんですが、甲殻王さまのご協力で大量に使えたんです。 武器には柔らかすぎて使えませんが、皆の分もありますよ」

「よし、みんなにも装備を身に付けてもらおう」

「それと、カイさまの小手《ガントレット》には仕掛けをしております」

「仕掛け?」

「魔力に反応して小手から刃がでるのです。 剣を使うのが苦手とおっしゃってたので......」

 魔力を加えると、左右の小手から刃がでてきた。

「おお、これは使える。 ありがとう!」

「喜んでいただけて光栄のいたり。 魔力を止めればひっこみますので...... それで頼まれていたこの剣ですが」

 グルコフはぼくが調べてもらっていた鏡剣を手にしている。

「なにかわかった?」

「かなり古いものですな。 魔法がかかっているようです。 魔力を込めると魔法を反射する能力を持ちます」

「魔法を反射...... そんな能力かあったのか。 まさしく鏡の剣だ」

「ええ、かなりの逸品。 しかしこれをどこで......」

「この神園の50回の宝箱にあったんだ」

「ふむ、かつてドワーフが作った【リバースブレイド】かもしれませんな......」

「そうなの?」

「ええ、すこし調べさせてもらってよろしいですかな? 作り方がわかるかもしれません」

「ああ、こちらこそ頼むよ。 戦力を強化することになる」

「ここの兵力では不足ですか...... 私がみる限り一国ともわたりあえそうですが?」

「帝国と法王国の動向がわからない。 もしかしたら戦争になるかもしれない。 それに七賢者もあと四人もいる...... できるだけ準備をしておきたいんだ」

「わかりました。 あなたを信頼しておりますゆえ、我々ができることをしましょう」

 グルコフは微笑んでさがった。

(なにもないわけがないよな...... この世界が終わろうというのだから)

 人ではなくなってはいるが不安が胸に去来する。

 そしてその不安が現実のものになった。


「本当かい? ダンジョンさん」

 ミミックさんがきいた。

「ええ、何者かがサロマスにある、ぼくのダンジョンにはいってきています」

「探索者では?」

「いやリガイア違うな。 宝箱を無視してモンスターを圧倒して最下層を目指している。 皆、同じような頭からローブをかぶっているが鎧はまとっていない」

「それでは騎士でもなさそうですね」  

「では、国でもないのでしょうか?」

 ジェスカとディガルがいう。

「わからないが、1000人はいる」

「1000人!? まずいよ!」

 ユグナはあせるよう周囲を飛び回っている。

「ああ侵攻スピードが早い、素人ではなそう...... それに後ろに二人、他のものたちとはちがう。 すごい魔力を感じるな」

「どんな風体だい?」
 
「一人は背中に人ぐらいの大剣をもち、左目に眼帯をしています。 もう一人は左右の目の色がちがう老婆のようで杖をもっています」

「......その二人、おそらく七賢者の剣士が【グレンザ】と老婆が【リビラジス】だな」

「七賢者が二人...... どうしますかカイさま」

 リガイアたちがこちらをみる。

「まずは人喰島に、みんなを一時退避させておこう。 そして階層におびき寄せ迎え撃つ。 グルコフ、非戦闘員を通路から馬車で逃がして、島についたら甲殻王にみんなを守ってもらってくれ」

「わかりました。 しかし我らも戦ったほうがよろしいのでは?」

「いや、ここを落とされることも想定して、ぼくたちも逃げられるようにしておきたい。 避難所がおとされないように甲殻王とフェアリーたちと守っておいてくれないか」

「御意」

 グルコフが頭をさげると、ドワーフたちはでていった。

「よし部屋を分けるからジェスカ、ディガル、リガイアは獣人、マーマンたちで兵士たちを抑えておいてくれ。 ユグナとミミックさんでリビラジスを。 ぼくはグレンザと戦う」

「......七賢者だよ。 一人でいけるかい?」

 ミミックさんはそういう。 その目には不安がのぞく。

「ここはぼくの体ですよ。 任せてください」

「いい答えだ。 私も本気をだそうかね」

 ぼくたちは迎え撃つ準備をする。
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