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第三十七話
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冬となり雪が降り始めた。
「うお!! 雪だ!」
「なにはしゃいでんの...... 雪なんてただ寒いだけじゃない」
「......こどもね」
そう暖炉前から、ピクリとも動かないデュセとリーシェがそういう。
「まあ、アルラウネやフェアリーは雪が苦手なんですよ」
ネオンが微笑みながらお茶とお菓子をもってきてそういった。
「当たり前でしょ。 根がこおるし生き物はいなくなるし」
「羽が動かせなくなるから、木の家に引きこもってすごすのよ。 退屈でしかたない」
二人ともお茶とお菓子にありつきながら、そうぼやく。
「そういえば、前にゴブリンたちも雪でこまってるっていってたけど、みんな大丈夫かな」
「ええ、ほとんどの地域に暖炉と建築技術が伝わりましたから、問題ありません。 サクトさまからもそう手紙がきております」
コゴルがそういう。
「我が方も雪が降ると、死者がでてましたが今年は暖かく過ごせるとのこと」
バーンが笑顔でそういうと、アミネイアがつづいていう。
「ええ、私どもも雪が降ると、食料がなくなり飢えと寒さに苦しんでいましたが、マサトさまの配慮のおかげで今年はそれもありません」
「ならよかった。 かなり生活が向上しているようだ。 あとは奴らの動向だ」
「それですがハストワーンがなにやら動いているようですね」
ネオンが不安げにいう。
「ああ、サクトからそういう話がある。 かなり戦争が近づいているようだ」
「我々モンスターが戦っていたのは主に安全な生活のため、人間たちはそれなりに安全で生活も昔の我らに比べれば豊かだ。 なのになぜ戦うのでしょう?」
コゴルはそう眉をひそめる。
「かつての確執...... 地位や保身かな。 ハストワーンは新しく宰相となったガルクーロが己の力を国民に誇示するために、領土拡張をしたいらしいとアルデアがいっていたよ」
「まあ我らも確執があったが、地位や保身では戦争はしない」
「ええ、いま生活が改善して関係も良好です」
バーンとアミネイアはうなづいている。
「まあ、人間は私たちを魔物と呼び嫌悪するけど、どっちが魔物かわかんないわ」
リーシェは自分用の小さなコップでお茶をのんでいる。
(耳のいたい話だな)
「ハストワーンとラルトレンの戦争を防ぎたいが、なにか方法はあるかな」
「そのガルクーロとかいう宰相を、さっさと殺しちゃえばいいんじゃない」
物騒なことをデュセがいう。
「それじゃ、ラルトレン側がおこしたことにされて戦争になりますよ!」
あわててネオンがいう。
「まあ宰相の座から落としてしまえばいいんだが...... サクトからの情報では、なにやら悪事に手を染めているらしい」
「悪事ですか?」
「ああ、それを調べようリーシェ」
「ええ!? 私寒いの嫌いなんだけど!」
「我らも」
「ええ、黒衣の化者《ダークレイス》に顔はしられていませんから」
ブーブーいうリーシェとバーンとアミネイアを連れてハストワーンにむかった。 デュセはくるか迷っていたが、寒さがいやなようで残った。
「なんか静かだな」
おれたちはハストワーンの首都クライトへはいったが、しんとしていて人通りも少なく陰鬱な空気がただよう。
「ええ、冬とあうのもあるのでしょうが、みなうつむいて活気もありませんね」
「戦争を察知してのことでしょうか。 とりあえずここにある店舗に向かいましょう」
バーンとアミネイアはそういった。
おれたちの店につくと、雇っていた人間の青年ジェラルドが出迎えてくれた。
「マサトオーナー、よくいらっしゃいました。 この店舗を任されているジェラルドです」
「ジェラルド。 いまこの国の状況教えてくれる?」
「そうですね。 あまりいいとは思えません...... 軍備のためにと増税され、生活が悪化していて国民も疲れている。 こちらも利益がでていないのが現状です」
「それは仕方ないな。 それで国民の不満があるのに軍備強化していると聞いたけど?」
「......よくは、ただ財政状態もあまりよくはないですし、他国への侵攻で国民の不満を押さえようとしているのかもしれません」
不安げにジェラルドがいう。
(それで戦争...... 国民の目をそらしたいのか)
「ガルクーロが怪しい動きをしているらしいの?」
「......ええ、宰相はどうやら、怪しいものたちと繋がりがあるというのが、もっぱら商人の間では噂になっています。 ただ何をしているかは、いま調べていますが確実にはわかりません」
ジェラルドはそういった。 おれたちは調べるため商人として城へ納入しにいくことにした。
「どうやら、侵攻をたくらんでいるのは本当のようですね」
バーンが軽々と積み荷を荷馬車にのせている。
「ああ、ただ国民の不満もある。 このまま戦争などすれば不満が爆発しかねないだろうに......」
アミネイアがおれを手伝いながら眉をひそめる。
「うん、確実に勝てる自信があるのかもしれないな」
「それって黒衣の化者《ダークレイス》が関わってるってこと?」
ポケットのなかからリーシェがいう。
「ああ、多分...... なんとかガルクーロの悪事を調べられればいいが」
納荷車にのり、おれたちは城へ向かった。
「うお!! 雪だ!」
「なにはしゃいでんの...... 雪なんてただ寒いだけじゃない」
「......こどもね」
そう暖炉前から、ピクリとも動かないデュセとリーシェがそういう。
「まあ、アルラウネやフェアリーは雪が苦手なんですよ」
ネオンが微笑みながらお茶とお菓子をもってきてそういった。
「当たり前でしょ。 根がこおるし生き物はいなくなるし」
「羽が動かせなくなるから、木の家に引きこもってすごすのよ。 退屈でしかたない」
二人ともお茶とお菓子にありつきながら、そうぼやく。
「そういえば、前にゴブリンたちも雪でこまってるっていってたけど、みんな大丈夫かな」
「ええ、ほとんどの地域に暖炉と建築技術が伝わりましたから、問題ありません。 サクトさまからもそう手紙がきております」
コゴルがそういう。
「我が方も雪が降ると、死者がでてましたが今年は暖かく過ごせるとのこと」
バーンが笑顔でそういうと、アミネイアがつづいていう。
「ええ、私どもも雪が降ると、食料がなくなり飢えと寒さに苦しんでいましたが、マサトさまの配慮のおかげで今年はそれもありません」
「ならよかった。 かなり生活が向上しているようだ。 あとは奴らの動向だ」
「それですがハストワーンがなにやら動いているようですね」
ネオンが不安げにいう。
「ああ、サクトからそういう話がある。 かなり戦争が近づいているようだ」
「我々モンスターが戦っていたのは主に安全な生活のため、人間たちはそれなりに安全で生活も昔の我らに比べれば豊かだ。 なのになぜ戦うのでしょう?」
コゴルはそう眉をひそめる。
「かつての確執...... 地位や保身かな。 ハストワーンは新しく宰相となったガルクーロが己の力を国民に誇示するために、領土拡張をしたいらしいとアルデアがいっていたよ」
「まあ我らも確執があったが、地位や保身では戦争はしない」
「ええ、いま生活が改善して関係も良好です」
バーンとアミネイアはうなづいている。
「まあ、人間は私たちを魔物と呼び嫌悪するけど、どっちが魔物かわかんないわ」
リーシェは自分用の小さなコップでお茶をのんでいる。
(耳のいたい話だな)
「ハストワーンとラルトレンの戦争を防ぎたいが、なにか方法はあるかな」
「そのガルクーロとかいう宰相を、さっさと殺しちゃえばいいんじゃない」
物騒なことをデュセがいう。
「それじゃ、ラルトレン側がおこしたことにされて戦争になりますよ!」
あわててネオンがいう。
「まあ宰相の座から落としてしまえばいいんだが...... サクトからの情報では、なにやら悪事に手を染めているらしい」
「悪事ですか?」
「ああ、それを調べようリーシェ」
「ええ!? 私寒いの嫌いなんだけど!」
「我らも」
「ええ、黒衣の化者《ダークレイス》に顔はしられていませんから」
ブーブーいうリーシェとバーンとアミネイアを連れてハストワーンにむかった。 デュセはくるか迷っていたが、寒さがいやなようで残った。
「なんか静かだな」
おれたちはハストワーンの首都クライトへはいったが、しんとしていて人通りも少なく陰鬱な空気がただよう。
「ええ、冬とあうのもあるのでしょうが、みなうつむいて活気もありませんね」
「戦争を察知してのことでしょうか。 とりあえずここにある店舗に向かいましょう」
バーンとアミネイアはそういった。
おれたちの店につくと、雇っていた人間の青年ジェラルドが出迎えてくれた。
「マサトオーナー、よくいらっしゃいました。 この店舗を任されているジェラルドです」
「ジェラルド。 いまこの国の状況教えてくれる?」
「そうですね。 あまりいいとは思えません...... 軍備のためにと増税され、生活が悪化していて国民も疲れている。 こちらも利益がでていないのが現状です」
「それは仕方ないな。 それで国民の不満があるのに軍備強化していると聞いたけど?」
「......よくは、ただ財政状態もあまりよくはないですし、他国への侵攻で国民の不満を押さえようとしているのかもしれません」
不安げにジェラルドがいう。
(それで戦争...... 国民の目をそらしたいのか)
「ガルクーロが怪しい動きをしているらしいの?」
「......ええ、宰相はどうやら、怪しいものたちと繋がりがあるというのが、もっぱら商人の間では噂になっています。 ただ何をしているかは、いま調べていますが確実にはわかりません」
ジェラルドはそういった。 おれたちは調べるため商人として城へ納入しにいくことにした。
「どうやら、侵攻をたくらんでいるのは本当のようですね」
バーンが軽々と積み荷を荷馬車にのせている。
「ああ、ただ国民の不満もある。 このまま戦争などすれば不満が爆発しかねないだろうに......」
アミネイアがおれを手伝いながら眉をひそめる。
「うん、確実に勝てる自信があるのかもしれないな」
「それって黒衣の化者《ダークレイス》が関わってるってこと?」
ポケットのなかからリーシェがいう。
「ああ、多分...... なんとかガルクーロの悪事を調べられればいいが」
納荷車にのり、おれたちは城へ向かった。
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