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第四十九話
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「何かおかしい......」
海の宮殿に近づくと、宮殿から泡が立ち上がっている。
「なんだ!? アルピュリア!!」
王子は先に潜っていった。
「いこう!」
おれたちはあとについていく。 すると宮殿から何本もの巨大な触手のようなものが飛び出してうごめいている。
触手はマーメイドたちをからめとっていた。
「あれは!?」
「マサトさま!!」
したでマリクシアとマーメイドを守りながら、コゴルとアミネイアが戦っていた。 しかし泳ぎながらでうまく立ち回れてはいない。
「これはどうしたんだ!?」
「アルピュリアだ...... アルピュリアからあの触手が伸びて宮殿を破壊した」
そういうマリクシアが指差す方に一人のマーメイドがいて、その体から触手が生えているようだった。
「あれはなんだ!?」
コゴルたちが避難させていたマーメイドにきく。
「......わからん。 ただ黒衣の化者《ダークレイス》がアルピュリアさまに与えたものが、アルピュリアさま自体を取り込んだようだ......」
そう唇を震わせながらいう。
「しかたないな。 コゴルはマーメイドたちを守れ。 あれはおれがやる」
おれは空気の精霊で二人を包んだ。
「はい!」
「わたしはともに!」
「私もいくよ!」
キュルアがそういってついてくる。
アルピュリアに近づくと、トルキアが迫ってくる触手を魔法でかわしている。
(かなりやるなトルキア)
「アルピュリア! 私だ! トルキアだ!」
「うぁぁぁあ!!」
半狂乱となっているアルピュリアにその声は届いていないようだ。
「くっ!」
「キュルア! 王子をサポートしてくれ」
「わかった!」
(どうする? 倒すのは可能だが、それでは...... あれか、今ならやれそうな気がする。 ただ時間が必要だ)
「アミネイア! あれを少しの間、抑えきれるか!」
「はい! お任せを!!」
アミネイアはアルピュリアの触手をかわし近づくと、爆発的な魔力を放った。
「フリージングストーム」
放ったアミネイアは凍りついていき、アルピュリアも巻き込んで凍りはじめる。
(無茶だな! いくら耐久力に優れたリザードマンでも凍死するぞ!)
おれはアルピュリアこ触手に触れ魔力を調べる。
(あった。 ただ二つある。 どっちだ!)
「王子!! アルピュリアに話しかけてくれ!」
「わかった!! アルピュリア! 私だ! トルキアだ! 答えてくれ!!」
「あぅぅ...... あう、と、トルキ......ア」
するとアルピュリアの中の魔力が光る。
「こっちがアルピュリアか!! ならもうひとつが負の力!」
おれはもうひとつの方の魔力を圧縮する。
「ぐっ!」
それはおぞましいほどの、邪悪な感情、憎悪や怒りに満たされていて、おれへと流れ込んできた。
「くっ...... 憎い、消えろ...... ダメだ! 気を確かに! おれがやらないと......」
流されそうになる意識を保ちながら、負の力を正の力へと変換する。
少しずつトルキアの声とともに、アルピュリアの魔力が大きくなっているのがわかる。
(あと少し......)
そして黒いよどんだ魔力は消えていき、おれの手の中に結晶として残った。
「すみません...... わたし」
そうアルピュリアはトルキアの横で頭を下げた。 マーメイドの壊れた宮殿内におれたちはいた。
「わたしからもあやまろう」
そうトルキアも頭を下げた。
「しかし、マーメイド族を危険にさらしたのは、長として許すわけにはいかない」
長に戻ったマリクシアが厳しい口調でそういう。
「まあ、黒衣の化者《ダークレイス》に感情の弱いところをつかれたのだからしかたないよ」
「だが、なんの罰もなくすませれば、種族としての律を失う。 ゆえにアルピュリアは追放する」
「お待ちください! マリクシアどの! それはあまりにも! 悪いのは黒衣の化者《ダークレイス》でしょう」
そうアミネイアがとめた。
「確かに経緯としてはな。 結果は結果だ」
「わかりましたお母様。 私はここよりでます。 でもトルキアさまだけは、ここでかくまってください!」
そう懇願した。
「私もともにいく!」
「なりませんトルキアさま。 あなたは王として国を守る責務があります」
そう覚悟を決めたアルピュリアがトルキアにいい、海上へと向かった。 そのあとをキュルアもおっていく。
(彼女なりの覚悟だな)
「アミネイア、コゴル少し話がある」
「はい! お任せください」
「わかりました」
二人に伝えるとコゴルはアルピュリアについていった。
「トルキアどのは安全になるまで、ここでかくまおう。 それが唯一わたしができること」
そうマリクシアがいうと、暴れるトルキアは歌で眠らせられた。 そして他のマーメイドたちとともにアミネイアを護衛につけた。
「さすがに厳しすぎない」
「そうだな。 しかし長として種族を守るのが役目。 我が娘といえどこのまま許すわけにもいかない」
マリクシアは苦悶の表情をしている。
(娘だったのか、ならマリクシアも辛いな)
「......まあ、それはいい。 それでおれたちと仲間になってくれるの」
「ああもちろん。 ここまでご助力くれたこと、マーメイド族として感謝している。 傘下となろう」
そうマリクシアがいった。
(ひとつの問題は解決した。 さて、どうするか...... トルキアを狙う黒衣の化者《ダークレイス》もいるし、一応手はうったが、厄介だな)
おれは思案していた。
海の宮殿に近づくと、宮殿から泡が立ち上がっている。
「なんだ!? アルピュリア!!」
王子は先に潜っていった。
「いこう!」
おれたちはあとについていく。 すると宮殿から何本もの巨大な触手のようなものが飛び出してうごめいている。
触手はマーメイドたちをからめとっていた。
「あれは!?」
「マサトさま!!」
したでマリクシアとマーメイドを守りながら、コゴルとアミネイアが戦っていた。 しかし泳ぎながらでうまく立ち回れてはいない。
「これはどうしたんだ!?」
「アルピュリアだ...... アルピュリアからあの触手が伸びて宮殿を破壊した」
そういうマリクシアが指差す方に一人のマーメイドがいて、その体から触手が生えているようだった。
「あれはなんだ!?」
コゴルたちが避難させていたマーメイドにきく。
「......わからん。 ただ黒衣の化者《ダークレイス》がアルピュリアさまに与えたものが、アルピュリアさま自体を取り込んだようだ......」
そう唇を震わせながらいう。
「しかたないな。 コゴルはマーメイドたちを守れ。 あれはおれがやる」
おれは空気の精霊で二人を包んだ。
「はい!」
「わたしはともに!」
「私もいくよ!」
キュルアがそういってついてくる。
アルピュリアに近づくと、トルキアが迫ってくる触手を魔法でかわしている。
(かなりやるなトルキア)
「アルピュリア! 私だ! トルキアだ!」
「うぁぁぁあ!!」
半狂乱となっているアルピュリアにその声は届いていないようだ。
「くっ!」
「キュルア! 王子をサポートしてくれ」
「わかった!」
(どうする? 倒すのは可能だが、それでは...... あれか、今ならやれそうな気がする。 ただ時間が必要だ)
「アミネイア! あれを少しの間、抑えきれるか!」
「はい! お任せを!!」
アミネイアはアルピュリアの触手をかわし近づくと、爆発的な魔力を放った。
「フリージングストーム」
放ったアミネイアは凍りついていき、アルピュリアも巻き込んで凍りはじめる。
(無茶だな! いくら耐久力に優れたリザードマンでも凍死するぞ!)
おれはアルピュリアこ触手に触れ魔力を調べる。
(あった。 ただ二つある。 どっちだ!)
「王子!! アルピュリアに話しかけてくれ!」
「わかった!! アルピュリア! 私だ! トルキアだ! 答えてくれ!!」
「あぅぅ...... あう、と、トルキ......ア」
するとアルピュリアの中の魔力が光る。
「こっちがアルピュリアか!! ならもうひとつが負の力!」
おれはもうひとつの方の魔力を圧縮する。
「ぐっ!」
それはおぞましいほどの、邪悪な感情、憎悪や怒りに満たされていて、おれへと流れ込んできた。
「くっ...... 憎い、消えろ...... ダメだ! 気を確かに! おれがやらないと......」
流されそうになる意識を保ちながら、負の力を正の力へと変換する。
少しずつトルキアの声とともに、アルピュリアの魔力が大きくなっているのがわかる。
(あと少し......)
そして黒いよどんだ魔力は消えていき、おれの手の中に結晶として残った。
「すみません...... わたし」
そうアルピュリアはトルキアの横で頭を下げた。 マーメイドの壊れた宮殿内におれたちはいた。
「わたしからもあやまろう」
そうトルキアも頭を下げた。
「しかし、マーメイド族を危険にさらしたのは、長として許すわけにはいかない」
長に戻ったマリクシアが厳しい口調でそういう。
「まあ、黒衣の化者《ダークレイス》に感情の弱いところをつかれたのだからしかたないよ」
「だが、なんの罰もなくすませれば、種族としての律を失う。 ゆえにアルピュリアは追放する」
「お待ちください! マリクシアどの! それはあまりにも! 悪いのは黒衣の化者《ダークレイス》でしょう」
そうアミネイアがとめた。
「確かに経緯としてはな。 結果は結果だ」
「わかりましたお母様。 私はここよりでます。 でもトルキアさまだけは、ここでかくまってください!」
そう懇願した。
「私もともにいく!」
「なりませんトルキアさま。 あなたは王として国を守る責務があります」
そう覚悟を決めたアルピュリアがトルキアにいい、海上へと向かった。 そのあとをキュルアもおっていく。
(彼女なりの覚悟だな)
「アミネイア、コゴル少し話がある」
「はい! お任せください」
「わかりました」
二人に伝えるとコゴルはアルピュリアについていった。
「トルキアどのは安全になるまで、ここでかくまおう。 それが唯一わたしができること」
そうマリクシアがいうと、暴れるトルキアは歌で眠らせられた。 そして他のマーメイドたちとともにアミネイアを護衛につけた。
「さすがに厳しすぎない」
「そうだな。 しかし長として種族を守るのが役目。 我が娘といえどこのまま許すわけにもいかない」
マリクシアは苦悶の表情をしている。
(娘だったのか、ならマリクシアも辛いな)
「......まあ、それはいい。 それでおれたちと仲間になってくれるの」
「ああもちろん。 ここまでご助力くれたこと、マーメイド族として感謝している。 傘下となろう」
そうマリクシアがいった。
(ひとつの問題は解決した。 さて、どうするか...... トルキアを狙う黒衣の化者《ダークレイス》もいるし、一応手はうったが、厄介だな)
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