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第三十二話
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「ありがとうシンゴ助かりました」
フィアナ王女は城まで戻るとあらたまって礼をいった。
「それにしてもバルティン侯爵が魔人と連なっているとは......」
アスンハルトさんが考えるようにいった。
「ええ、尋問中だけれど魔人と取引してたようね。 正直大したことは知らされてなかったみたい。 ただ私がさらわれたのはやはりこの指輪のせいね」
そういってフィアナは指輪をみた。
「おそらく、封印を解かれることを阻止したがっていました。 ぼくたちが聞いた魔人の話からでは、王女の魔法は大魔王が与えた魔法らしいですね」
「......大魔王の魔法、確かに王族にはかつて賢者より授かった魔法が宿るとされているわ。 その賢者が大魔王なのね。 そして所有者が死ねばほかの王族にうつるとも」
「それで王女はすぐに殺されなかったわけですか...... どこにうつるかはわからないからですか。 しかしその魔法はどのような魔法なのですか?」
アスンハルトさんが王女に聞くと、王女はうつむいた。
「......わからない。 ただ強大な魔法があるとしかきいてないわ。 大魔王は戦いを好まなかったときく、人間のためになにかの魔法をあたえたのは間違いはないでしょうね」
「フィアナ王女、その魔法を魔人が警戒しているのは間違いない。 魔法の封印をとくのはやめておいたほうがいい......」
ぼくがそういうと、アスンハルトさんもうなづいた。
「フィアナさま。 私もシンゴの案がよいかと、封印を解かなければあなたが狙われることもないでしょう。 その指輪預けられたらどうでしょうか」
「......そうね。 なにかわからない魔法のためにこれ以上他者に迷惑をかけられないわね。 ......わかったわ。 指輪はシンゴに預けましょう。 戦闘力のあるシンゴの方が安全だわ」
そういってフィアナ王女は指輪を外しぼくに手わたした。
「本当にいいのかシンゴ? 人間にとって切り札のような魔法なんだろ。 王女が所有しておいた方がいいんじゃないか?」
ハリファがそう眉をひそめる。
「ああ、ただまた狙われかねない。 それよりは手放した方が安全だ」
(それに...... 王女の話、あれが本当なら)
「そうだシンゴのいうとおり王女が狙われては困る。 この国は魔法などなくても安全だからね。 あれ? ギンチヨさんはどこにいったんだ?」
そうアスンハルトさんはきいた。
「ああ、使いに出したんです。 少し気になることがあって。 それよりアスンハルトさん取引はどうなってますか」
「うむ、今までの取引に加え、君たちのところの鉱物や織物も扱ってるから、かなりの利益を出しているよ。 うちももうけさせてもらっている」
そう笑顔でこたえた。
「それはよかった。 ではぼくらは冒険者ギルドに向かいます」
「ああ」
アスンハルトさんとわかれた。
「そんな......」
ハリファの顔が青ざめている。 ぼくたちが島にかえるとハイドラが攻められているとの一報が届いたからだ。
「それで相手は」
「どうやらザイルディードという国です。 王は深王リューガリアだと......」
そうシャスタが険しい顔でいう。
「深王...... 五大魔王か」
「私はかえる!」
ハリファがでていこうとするのをバルスーンは止めた。
「お待ちくださいハリファさま。 ルテイシアさまからハリファさまは動くなと伝えられています」
「どうして!?」
「多分、ここに兵がくるからだろうな」
「ええ、おそらくハイドラと同盟している我が方にも兵は向けられるでしょう」
カイザ、ブラスがそういった。
「......そのようだ」
ガイラがいうと、ルミア、ミミアが飛んできた。
「来ました! マーマンからの連絡では、島に船にのった亜人種たちが迫ってきてます!」
「その数、およそ2000!!」
「2000か、こちらは兵は500、十分勝てると思っているのでしょうね」
グラブはそうつぶやく。
「それでミミア、向こうの魔人は?」
「およそ三人ですシャルロットさま」
「それならシャルロット、ハリファ、ぼくで押さえられるな。 ハリファ、ここを守りきってから、ハイドラに向かうぞ」
「......わかった、やるわ。 ここがすんだらハイドラにむかうわよ。 でも本当に魔人はともかく、ここの少ない兵数で戦えるの」
「ああ、向こうには亜人種族と魔人には大きな壁がある。 そこがぼくたちとは違う、戦えば必ず勝てる」
島を防衛するため、全員を配置につけた。
フィアナ王女は城まで戻るとあらたまって礼をいった。
「それにしてもバルティン侯爵が魔人と連なっているとは......」
アスンハルトさんが考えるようにいった。
「ええ、尋問中だけれど魔人と取引してたようね。 正直大したことは知らされてなかったみたい。 ただ私がさらわれたのはやはりこの指輪のせいね」
そういってフィアナは指輪をみた。
「おそらく、封印を解かれることを阻止したがっていました。 ぼくたちが聞いた魔人の話からでは、王女の魔法は大魔王が与えた魔法らしいですね」
「......大魔王の魔法、確かに王族にはかつて賢者より授かった魔法が宿るとされているわ。 その賢者が大魔王なのね。 そして所有者が死ねばほかの王族にうつるとも」
「それで王女はすぐに殺されなかったわけですか...... どこにうつるかはわからないからですか。 しかしその魔法はどのような魔法なのですか?」
アスンハルトさんが王女に聞くと、王女はうつむいた。
「......わからない。 ただ強大な魔法があるとしかきいてないわ。 大魔王は戦いを好まなかったときく、人間のためになにかの魔法をあたえたのは間違いはないでしょうね」
「フィアナ王女、その魔法を魔人が警戒しているのは間違いない。 魔法の封印をとくのはやめておいたほうがいい......」
ぼくがそういうと、アスンハルトさんもうなづいた。
「フィアナさま。 私もシンゴの案がよいかと、封印を解かなければあなたが狙われることもないでしょう。 その指輪預けられたらどうでしょうか」
「......そうね。 なにかわからない魔法のためにこれ以上他者に迷惑をかけられないわね。 ......わかったわ。 指輪はシンゴに預けましょう。 戦闘力のあるシンゴの方が安全だわ」
そういってフィアナ王女は指輪を外しぼくに手わたした。
「本当にいいのかシンゴ? 人間にとって切り札のような魔法なんだろ。 王女が所有しておいた方がいいんじゃないか?」
ハリファがそう眉をひそめる。
「ああ、ただまた狙われかねない。 それよりは手放した方が安全だ」
(それに...... 王女の話、あれが本当なら)
「そうだシンゴのいうとおり王女が狙われては困る。 この国は魔法などなくても安全だからね。 あれ? ギンチヨさんはどこにいったんだ?」
そうアスンハルトさんはきいた。
「ああ、使いに出したんです。 少し気になることがあって。 それよりアスンハルトさん取引はどうなってますか」
「うむ、今までの取引に加え、君たちのところの鉱物や織物も扱ってるから、かなりの利益を出しているよ。 うちももうけさせてもらっている」
そう笑顔でこたえた。
「それはよかった。 ではぼくらは冒険者ギルドに向かいます」
「ああ」
アスンハルトさんとわかれた。
「そんな......」
ハリファの顔が青ざめている。 ぼくたちが島にかえるとハイドラが攻められているとの一報が届いたからだ。
「それで相手は」
「どうやらザイルディードという国です。 王は深王リューガリアだと......」
そうシャスタが険しい顔でいう。
「深王...... 五大魔王か」
「私はかえる!」
ハリファがでていこうとするのをバルスーンは止めた。
「お待ちくださいハリファさま。 ルテイシアさまからハリファさまは動くなと伝えられています」
「どうして!?」
「多分、ここに兵がくるからだろうな」
「ええ、おそらくハイドラと同盟している我が方にも兵は向けられるでしょう」
カイザ、ブラスがそういった。
「......そのようだ」
ガイラがいうと、ルミア、ミミアが飛んできた。
「来ました! マーマンからの連絡では、島に船にのった亜人種たちが迫ってきてます!」
「その数、およそ2000!!」
「2000か、こちらは兵は500、十分勝てると思っているのでしょうね」
グラブはそうつぶやく。
「それでミミア、向こうの魔人は?」
「およそ三人ですシャルロットさま」
「それならシャルロット、ハリファ、ぼくで押さえられるな。 ハリファ、ここを守りきってから、ハイドラに向かうぞ」
「......わかった、やるわ。 ここがすんだらハイドラにむかうわよ。 でも本当に魔人はともかく、ここの少ない兵数で戦えるの」
「ああ、向こうには亜人種族と魔人には大きな壁がある。 そこがぼくたちとは違う、戦えば必ず勝てる」
島を防衛するため、全員を配置につけた。
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