オルタナティブバース

曇天

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第六話

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 かなり大きな部屋が前にある。 さっきからアイが警戒している。

「いる?」 

「ええ、でもここまでのことから考えると多分ボスみたい。 部屋にはいると逃げられない可能性もあるから、どうする?」

 アイはおれを見る。

「......レベル10まで上げたいけど、正直これ以上ポーションもMPも減らすのは危険、一旦帰るか、でもこのレアシナリオは一回チャレンジのみの限定みたいだし......」

「なにか手にいれられるにしても、かなり危険だけど......」

「死んだら終わりか...... だけどレアシナリオとはいえ序盤のシナリオ。 そこまでの難度があるとは思えない」

「確かにボスも特殊な攻撃はあまりしてこないはず...... 倒したあともリスポーンポイントまで転送する【転送石】もあるし、アイテムをここで使いきれる」

 温存しておいたクリアを呼ぶ。

「よし...... やはりいこう」

「うん、そうだね」

 覚悟を決めて部屋にはいる。 部屋の中は広く天井も高い。 その天井は大きな鍾乳石が敷き詰められているように無数にある。 それはまるで大きな針の天井のようだ。

「あれは......」

 その大きな鍾乳石のひとつになにかがくっついている。 それは地面へと降ってきた。

 ベチャ!!

 振動と土煙がこちらに向かってきた。 煙が散るとそこには人より大きなとかげのような生き物がいる。

「うっぷ! なんだ、とかげ!!」

「ゲルゲッコー! ヤモリよ!」

 その光沢のある緑色のヤモリは、ゆっくりと歩く。

 後ろに下がるとなにもないところに壁がある。

「やはり、逃走不可か! やるよ!」

「うん!」 

 おれたちは迎えうつためにかまえた。

 さっきまでゆっくり歩いていたゲルゲッコーが、突然スピードを上げ迫る。

「えっ!?」

「ファイアショット!!」

 とっさに動けないおれの横から炎が放たれた。

「ギャオ!」

 炎に驚いてゲルゲッコーは怯んだ。

(よし!)

「クリア! 同時に攻撃だ!」

 おれとクリアは怯んでいるゲッコーに攻撃する。

「ペッ!」

 ゲルゲッコーは口をあけると緑の液体をはいた。

 それをなんとなかわすと、ジュウジュウと地面から煙が立ち上る。

「毒か酸か!」

 ゲルゲッコーがもう一度口をあける。

「させるか!」

 ウインドスラスターで風を放ち、口を切り裂く。

「ギャ! ギャオ!」

 ゲッコーが横に逃げ、壁をはって天井へと向かう。

「私が!」

 アイが炎の弾を天井にうつが、ぬるぬるとゲルゲッコーはかわし、緑の液体をおれたちに向かって広範囲にはきだした。

「うっ!」

 何かが焼ける匂いがした。

「少し体にかかった......」 

 痛みと共にみるまにHPが減っていく。

「ポーションを!」

 回復するもどんどんHPがへる。

「毒か...... スリップダメージがきつい!」

「スリップダメージはHP1でとまるから、回復を全部サナにまわすよ!」

「だめだ! この痛み増してる! 多分体力が少なくなるほど、痛みが強くなる! HPがあっても気絶するか動けなくなる!」

 おれたちは上に攻撃を放つが、ぬるぬると鍾乳石の間をゲルゲッコーは逃げる。

(当てづらい! 相手を削りきる前にこっちの回復がつきる! 何とかしないと!)

 ドン!

 クリアにぶつかられる。

「えっ!」

 ドスン!!

 鍾乳石が落ちてきてギリギリのところに刺さった。

「これか...... 助かったよ。 フィールドのオブジェクトも演算で動いているのか、それなら実際に当たったら死にそうだな」

 クリアがピョンピョンと高く跳ねている。 それはなにかを訴えているようだ。

(なんだ。 あいつに当てられるっていうのか。 いや体当たりしてもらうにも天井まで届かない...... しかも鍾乳石に不用意に当てると落ちてくる。 いや)

「アイ、ゲッコーじゃなくて鍾乳石を狙って!」

「えっ!? わ、わかった!」

 ドン、ドン、ドン、おれたちは鍾乳石を狙って攻撃を放つ。

 次々と鍾乳石が地面に落ちてきた。

「クリア! 鍾乳石をとんでいけ!」
 
 クリアが落ちてくる鍾乳石に引っ付くと、次々と落ちてくる鍾乳石にとびうつる。

 そしてゲルゲッコーに体当たりをした。 

「ギャワ!」

 ゲルゲッコーはそのまま地面に落ちてくる。 

「アイ、天井を攻撃だ!」

 おれたちは天井に残り全ての攻撃を放つと、落ちてきた鍾乳石のひとつがゲルゲッコーを押しつぶしたさ。

「ギャオォォ!!」

 ゲルゲッコーはそうなくと光になって消えた。

「やった......」

「なんとかなったね......」

 すぐに【転送石】で宿へと転送した。


「さすがにレアシナリオ。 やっぱり簡単じゃなかった」

「でもレベルは3も上がったし、名声も100になったよ!」

 アイは喜んでいる。

「ただお金ほほとんどは入らなかったし、このアイテムだけ」

 おれは手の上の光る葉っぱをみた。

「聖葉。 本当に葉っぱだ」

「レアアイテムではあるんだろうけど...... テキストには『天樹への鍵』としか書いてない。 そんな場所があるのかな」

「天樹はこの世界にある巨大な木だよ。 まあ、多分他のシナリオへのキーアイテムだね」

 おれたちは宿を出て、町でポーションなどを補給する。

「さて次は」

「レキさんの情報では、メインシナリオ【ガイヤス防衛戦】だよ。 この先のガイヤスって言う街がモンスターに襲われるので、そこを防衛するみたい」

「そんな何回も同じイベントがあるの?」

「このゲームのシナリオはプレイヤーがそのシナリオをクリアすると、次のプレイヤーのためにAIが話の整合性をとるの。 そして新しいシナリオができるんだよ」 
 
「ふむ、ならまたできるということ?」

「そう。 報酬なんかは変わらないけどね」

 おれたちは進みがてらモンスターと戦って、お金を稼ぐ。

「当面武器、アクセサリーは買い換えなくてもいいね」

「うん」

 そうこうして、おれたちはガイヤスという街についた。
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