オルタナティブバース

曇天

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第二十九話

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「うっ...... ここは」

 ベットに寝かせた少女リンキュルが目を覚ました。

「き、貴様! いつっ!」
 
 頭を抱えている。

「リンキュルさっきはすまなかった不本意なんだ!!」

 おれは土下座した。

「きれいな土下座だな」

「やりなれてるんじゃない土下座」

「ドゲザってなんだ?」

 みんなが後ろでそういう。

「くっ! なんなんだお前たちは! 一体ここになんのようだ!」

 少女はたんこぶを触りながら、目に涙をためている。

「リンキュルに仲間になってもらいにきた」

「はっ! 仲間になんかなるか! あんなことしといて」

 じっとこちらをにらんでいる。

「ごめん! それは本当に! でも仲間になってほしいんだ」

 おれは床に顔を伏せた。

「ごめんなさいリンキュル。 私たちは危険なものたちに狙われているの。 あなたの力が必要なの」

「ああ、私ルーテシア王女テラリスからも頼む。 仲間になってくれないか」

「ええ! テラリスは姫様なのか!」

 ヤマトが驚いている。

「ルーテシアの王女がなぜ...... いやだね。 人間たちとは関わりたくないんだ」

「リンキュル何でもお願いは聞こう。 だから仲間になってほしい」

 そうリンキュルの目を見つめる。  

「何でも...... ねえ。 じゃああるものをとってこい。 それをもってきたら仲間になってやる」

 そうすこし意地悪な顔をして、リンキュルは口許に笑みを浮かべた。


「【万年雪の結晶】か...... テラリスは知ってるか?」 

「ああ、聞いたことはある。 絶対に溶けない結晶のことだ。 とはいえ、おとぎ話だがな」

 リンキュルはおれたちにそれをとってこいといった。 そしてユニークシナリオ【ゴーレムマスター】が始まった。

「【万年雪の結晶】があるのはヤルクゼエト山の【結氷洞窟】らしいな。 ヤルクゼエトは誰も入らない氷の世界だ。 あまりの寒さでモンスターしかいないといわれている」

 おれたちは町へと転送石でもどり、山に入る前に防寒着をかい、ヤルクゼエト山へと向かった。


 「ここがヤルクゼエト山......」  

 吹雪で前が見えないなか、山を登る。

「どうなってんだ。 ここら一帯だけこんな寒いなんて......」

「分からないな。 ただ前すら見えない......」 

「みんなこっち、そっちに進むと崖下に落っこちるよ!」

 おれたちはアイの透視でなんとか前に進んでいた。

「この風と雪だと途中でテントもおけないな」

「こんなリアルに寒さを表現しなくてもいいだろ!」

(確かに、体感でもかなり寒い。 雪の冷たさもかなりリアルだ) 

「もう少し先にいけば広いところに出るわ。 そこで休憩しましょう」

 おれたちはその広場で【大地の宝玉】をつかい、かまくらをつくると中にはいる。


「やっと火がついた」

 中で火をつけ暖をとる

「ふひぃ、さみぃ......」

 ヤマトはぶるぶると震えている。

「これでも私たちの身体能力が上がっているから耐えられるんだよ、 現実なら死んでる」

 アイがそういった。

「だな。 かまくらだって筋力がないと、こんな簡単にはつくれないしな」

「そうか、でもあの穴塞がなくていいのか。 寒いんだけど」

「一応呼吸用だよ。 もしこのゲームで酸素なんかが必要なら、密閉すると死ぬだろ」

「このゲーム、どこまでリアルを求めてんだよ......」

 ヤマトは愚痴をいう。

「とりあえず食事ができた。 食べよう」

 テラリスがスープをつくってくれた。

「うまい!」

「おいしい!」

「うめぇ! 姫様なのに料理とかできるんだな」

「ああ、一応なんでもこなせるようにと最低限の教育は受けた」

 そうテラリスは笑顔でヤマトに答える。

(よく考えればテラリスたちNPC《ノンプレイヤーキャラクター》はこっちの時間でそれだけの経験をして人生を生きてきた......  この先、彼らに何か不測の事態が起こったとき、おれはどうする?)

 そう思っていると、アイはこちらを見つめていた。 

(いや、いまはよそう...... さきに万年雪だ)


 次の日になり、吹雪が止んだので先へと進む。

「あったわ」

 アイのいうとおり、そこには洞窟がある。

【結氷洞窟】と表示される。

「ここか......」

 奥へとすすむ。 次々氷のモンスターがでてくるが、アイの炎とおれの風の連携技フレイムソーサーで蹴散らす。

「何かを覚えた!」

 テラリスがそういう。

「スキルか」

「ああ、【凍刃】フリーズブレイドだ。 相手を凍らせる。 ここじゃあまりつかえんな」

(戦いで目覚めるスキルか...... 確かに戦っていると何かを思い付きそうになる。 これのことか)

「......この奥にボスがいる。 多分狼ね」

 アイは奥を透視していった。

「このシナリオ【ゴーレムマスター】の推奨レベルは40。 おれたちはテラリスが31、アイが28、おれが26、ヤマトが20か......」

「正直かなり分が悪いな......」

「だけど、サナの剣があるよ」

「ああ、止めをたのむ」

 おれたちは奥へと進んでいく。 

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