オルタナティブバース

曇天

文字の大きさ
57 / 60

第五十七話

しおりを挟む
 おれたちは頂上の見える位置にきていた。

「モンスターもいない。 全部倒されたあとか......」

 リンキュルが上をみてそういう。

「......リンキュルお前なんか隠してないか?」

 おれは気になってたことを聞いた。

「......そんなことはいいだろう。 早くいこう」

「待って、このままだと気になって集中できないの。 さっきいいかけた。『私はどうせ生きてない』って」

「......お前たちも私に、いや私たちに隠しているだろう」

(やはり......)

 おれはアイと顔を見あわせる。

「......アーカイブにアクセスしたことでしったのか」

 そういうと、リンキュルは静かにうなづいた。

「私たちは生きてないんだろ......」

 そうつぶやく。

(やはり、気づいていた)

「ああ、プログラムでつくられたAIだ」

 それからアイは詳しくリンキュルに説明した。

「......やっぱり、おかしいとは思っていた。 なぜプレイヤーは私たちをNPC《ノンプレイヤーキャラクター》と呼ぶのか。 なぜ簡単に戦争し、こんなに私たちの命を軽く扱うのか...... と」

「すまない。 ショックを受けるかと思って、伝えられなかった」

「......そりゃそうだよな。 ただのゲームの駒なんだから、人間扱い何てされない......」

 そう悲しそうに涙をため笑う。 おれたちは言葉を失った。

「このエレナは同じ様にアーカイブにあったもので人格を作ったんだ。 私と同じ人形だ」

「でも、おれたちがリンキュルやテラリスを仲間に思ってるのは本当だ。 自分でもおかしいが、最初はプログラムだと...... もしプレイヤーとお前たちを天秤にかけられたら、おれは迷う......」

「そうだね...... 私たちは何が生きているっていえるのかわからなくなっている」

 おれたちがそういうと、リンキュルは少し沈黙して口を開く。

「......先へすすもう。 まずは廃鬼人《ディスコードオーガ》をとめて仮世の王に会わないと」

「そうだな...... この話はあとだ」

 リンキュルはうなづく。

 おれたちは頂上へとすすんだ。


「ここは......」

 おれたちが頂上にすすむと、そこで二人が戦っていた。

「ぐはっ!!」

「レキさん」

 そうふきとばされたのはレキさんだった。

「あいつは......」

 リンキュルがおどろく。

「あれはラーシェ!!」

 そこにいたのはラーシェだった。

「......きましたか」

「なんでお前が! ギルドマスターはどこだ」

 リンキュルがそう叫ぶ。

「......私ですよ。 廃鬼人《ディスコードオーガ》のギルドマスターは」

「なっ!? NPC《ノンプレイヤーキャラクター》が! ギルドマスター!?」

 驚くおれたちにラーシェは告げる。

「別におどろくことはないでしょう。 私たちはこの世界では自由意思を与えられている。 一応ね...... ギルドをつくるぐらい簡単なこと」

「お前たちはこの世界を支配したいんじゃなかったのか?」

「......いいえ」

「だったらなんで、戦争なんかするんだ!」

「滅ぼしたいからですよ。 この世界の人間...... いえNPC《ノンプレイヤーキャラクター》を......」

 そう事も無げにいう。

「どういうことだ......」  

「私が古代人といえば、お分かりになるかとおもいますが......」

「!?」

 おれたちが動揺するとリンキュルがまえにでた。

「......お前も知ったのか」

「ええ、リンキュルさん。 私も知っていましたよ。 一万年以上前からね......」

「そんな...... じゃあなんで」 

「私たち古代人は発展した先に自らの起源と事実にたどり着いた。 それが自分たちはプログラムでつくられた偽りの存在だということ、その事に絶望したものは自死や発狂をし文明がおわる」

「そんなにショックだったのか......」 

「いいえ、正確にはプログラムのバグですよ。 AIの高度な演算能力をもってしても、完璧なものなどつくれはしないのです」   

 ラーシェは冷静に感情を出すことなくそういう。

「そして、一部はデータへと戻ることにした。 あなたたちもあったはず、とても高い知能をもつモンスターとね」

「そうか、アラクネ、クラーケンやスケルトンロードか...... それでお前はなぜ人々を消そうとしている」 
 
「私はNPC《ノンプレイヤーキャラクター》の世界がつづくのが我慢ならなかった。 我々はただの人形...... 人間たちの道具...... でも消えるには人間が関与することが必要だった」

「まさか......」

「ええ、あなたたち人間をここにとどめたのは私ですよ。 ゲームのプログラムに関与して、あなたたちをこの世界に閉じ込めた。 でないとこの世界を終わらせられないですからね」

「それでどうするつもりなの?」

 アイがいうと、ラーシェはうすくわらう。

「簡単な話...... 仮世の王を倒せばいい、そうすればこの茶番劇はおわる......」

「その仮世の王とはどこにいる?」

「おそらく、この上......」

 そう上の方を指差す。

 ですが、その前にあなたたちを排除します。 あなたたちは我々人形の世界をこのまま続けさせようとしていますからね」

 そういってラーシェは剣を構えた。 

 おれたちがかまえる。

「無駄ですよ。 私のレベルは99でカンストしていますから」

(レベル99!?)

「くっくく...... そうか、ここまでか......」

「レキさん!?」

 レキさんがフラフラとたちあがった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...