罪咎《ざいきゅう》の転移者 ~私の罪と世界の咎~

曇天

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第二十二話

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「ああ! リンさん、アエルさん!」

 ギルドに入ると、目かあったマムラさんがあわてて近づいてくる。

「お会いしたいというかたが参っていらっしゃいます!」

 焦るマムラさんに私たちは奥の部屋にとおされた。 

 部屋でバルメーラ大臣がソファーに座っていた。

「ああ、待たせてもらっていた」

 そして前のソファーに座る。

「それでどうなりました」

「説明しよう」

 あれからラグオーンとヤゼルオ伯爵は逮捕され裁判を受けるという。 かなりの重罪となるらしい。

「それで私たちの町と商人たちの件は」

「うむ、税金さえ払ってもらえれば、二つの町と難民の処遇はリンに一任する。 特に害があるわけではないからな。 商人たちも本人たちが納得するなら、そちらに向かうことは許可しよう」

「ありがとうございます」

「やったなリン!」

 アエルは喜んでいる。

「それでひとつ質問があるのですが?」

「何かな?」

「メモリアとはなんなのですか? 特に害悪もないのに禁忌とされている。 それほどのものとも思えません」

 大臣に気になっていたことを聞いた。

「ふむ、それはもはや信仰のようなものだ」

「信仰?」

「古代よりあの薬は禁忌とされている。 なぜかという合理的な答えはない。 ただ使用を禁じられているというだけだ。 私は酒やタバコのように快楽に溺れることを禁じるという意味合いなのかと解釈しているが...... 死罪は重すぎであろう。 少し考えねばなるまい」

 バルメーラ大臣も納得いかないのか、けげんな顔をしている。
 
「......しかし、あの地下にみたことのない機械があったんですが、あれはどこから」

「ふむ、ゼヌエラだろうな」

(やはり......)

「ゼヌエラが関わっているのですか」
 
「ああ、ラグオーンはゼヌエラに繋がっていて、あの機械を手に入れたらしい。 もしかしたら快楽でこの国を惑わせるのが目的なのかもしれないと言ってはいたが、どうにもふに落ちん」

(やはり大臣もなにか引っ掛かっているようだ)

「あの機械、とてもここで作れるものではなかった。 ゼヌエラはそれほど進んだ文明を持っているのですか」

「いや、あれはおそらく遺物だろう」

「遺物? 古代のものということですか?」

「ああ、古代遺跡から度々あのような機械が見つかることがある」

(魔封珠みたいなものか......)

「それはこちらでも調べている。 それより今日ここにきたのは、お願いがあったからだ」

「お願い?」

「実は国の各地でモンスターが異常に繁殖している。 おそらくスタンピードが起こる前兆なのではと危惧しているのだ......」

「スタンピード? なんですかそれは?」

「モンスターが異常にふえて、群れになって襲ってくる現象だ」

「ではナーフやアーフィルドも」

「多分...... 前兆のひとつだろうな」

 そう聞いたアエルにバルメーラ大臣は答えた。

「それはよくあることなんですか?」

「そうだな。 遥か昔からあるという。 私が生きている間には三度あった。 50年前、30年前、そして10年前...... 定期的に起こる現象だ」

 バルメーラ大臣はそう思い出すようにこたえた。

「スタンピードがその時起こった理由はあるのか?」

 アエルが聞いた。

「......わからないな」

 わかりかねるといった風だった。

(嘘はついていないな......)

「それでそのスタンピードを止めろという依頼ですか」

「ああ、他の冒険者たちにも依頼はしているが、強力なモンスターがいる地域のものは受けてはもらえん。 軍を派兵するにも今は隣国のゼヌエラと緊張状態だから難しい......」

「そこで私たちに...... か」

「そうだ。 依頼料は言い値で払おう。 頼まれてくれないか」

「さすがに我らだけというのは......」

 アエルが難色を示した。

「ケイレスたちはそなたたちがいくのならばと、何名かは承諾をとっておる。 我らの騎士団も付き従わせよう。 新人だが優秀なものたちだ」

(私たちの名前をだしにして、ていよく新人の実戦での訓練もかねてか...... ただ、心は平静だ。 この人強(したた》かだな。)

 その穏やかそうな老人をみる。

「わかりました。 そのお話お受けします」

「ありがとう」

 そうバルメーラは礼をいう。

 サフィナさんに商人の紹介をしてもらったあと、私たちはスタンピードを止めるために行動することにした。
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